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道化の僕が勇者の君を救いたい~追放された転生遊び人はゲーム知識で無双する~  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第二章 カスティーニャ編

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第69話 フェアリーエルフを指導


 落ちこぼれ組が勝利した次の日。

 僕は広場にいた。目の前には五十人ぐらいのフェアリーエルフたちが並んで立っている。

 『鑑定』で見ると、弓師と狩人が半々ぐらいだった。



 僕は一人一人を鑑定しつつ指導する。


「ふむ。君は上級スキルの『グランドアロー』が取りたいんだね?」


「はい。一撃必殺の攻撃に憧れてまして……でもなかなか習得できずにいます」


「その原因は中級スキルの『スナイプアロー』のレベルが足りてないからだよ。Lv10になるまで練習頑張って」


「はいっ! ユート先生!」


 こんな感じで上達するのに必要な下級スキルや中級スキルを教えていく。 

 夕暮れになるころには、全員が望みの上級スキルを手に入れていた。



 西の空が赤焼けに染まるころ。

 広場にいる五十人のエルフたちは、涙ながらに感謝の声を上げた。


「欲しいスキルが取れました!」「私もです! ユート先生は素晴らしい」「一生、恩に着ます!」


 口々に感謝の言葉を言われて、僕は照れながら頭を掻くしかなかった。

 ――前世の知識を伝えているだけなのに感謝されて、なんだか後ろめたくてしかたがなかった。


 そしたら救いの神のようにシェリルが現れた。


「夕飯ができました、ユート先生」


 と呼ばれたので、僕はみんなにお別れを言って帰ることにした。

 

 

 シェリルの家に向かう途中、村のあちこちから訓練する声が聞こえた。


「みんなまだ頑張ってるんだ」


「ユート先生のおかげです。伸び悩んでいたところに、すぐに上達できる教えを頂けたのですから」


「うん。みんなの役に立てて良かったよ」


 僕は課金アイテム購入欄の貢献ポイントを見ながら言った。

 すでにポイントは1500以上入っていた。

 ――うはうはだ。


 この村に再訪した目的もだいぶ達成できた。

 まあ、自分のためにやったことなので、あんまり感謝されてもむず痒かった。



 ――と。

 家に近づいて森の木々が深くなったころだった。

 僕の持つスキル『危険感知』が発動して、僕は周囲を警戒した。


 すると、藪を掻き分けてジャンが現れた。

 僕とシェリルを見る目が血走っている。


「よくも、よくも……! お前が村に来たせいで、俺の未来はめちゃくちゃだ!」


「なんですか、ジャン? あなたはユート先生に負けたんですよ?」


「うるさい! この半端物が! 俺を侮辱しやがって――ッ! 殺してやる!」


 ジャンが杖を振るった。

 巨大な竜巻が発生するとともに、竜巻の中に青い肌をした巨人が腕組みをして現れた。

 ――風の上位精霊、ジンだ。



 シェリルが整った顔に焦りを浮かべて叫ぶ。


「何をしてるのですか! 村の中で上位精霊を呼ぶなんて、どれほどの被害が出ると思ってるのですか! 許されないことですよ、ジャン!」


「うるせぇ! みんな細切れになっちまえ!」


 ジャンが命令すると、ジンが両手を広げた。

 夜空に暗雲が立ち込め、渦巻き始める。


 ――これはいけない。

 風の上級魔法『乱刃大嵐《ブレイドストーム》』だ。

 みんな村のあちこちでバラバラに練習している。多くのエルフたちは無防備だから甚大な被害が出かねない。


 僕はアイテムボックスから箒を取り出すと、ジャン目掛けて走った。

 しかしジャンは僕の振り下ろした箒を軽々と避けて空へ飛んだ。


「当たるかよ! ――死ねぇ!」


「学習能力がないんだね」


「は? なにを言って――」


 ジャンが言い終わる前に、僕はジャンのすぐ上へと『瞬間移動』した。

 思いっきり箒を振り下ろす。

 ゴッと鈍い音がして、ジャンは地面へと叩きつけられた。

 さらにシェリルの放った青白い矢がジャンを貫く。バチバチッと放電した。


「ぎゃぁああああ!」


 魔弓師のスキルの一つ『ライトニングアロー』。

 複数の敵を貫通する上、麻痺を付与する魔法の矢だった。



 ジャンは尻を上に突き出して地面に倒れた。プリケツ大往生。

 青い肌をした上位精霊のジンは掻き消えるようにいなくなった。

 僕はシェリルを見る。


「村長のところへ連行した方がいいかな?」


「はい。お供して事情を説明します」


「ありがと」


 僕らはジャンをロープでぐるぐる巻きにした後、村長アンリの下へ向かった。

 ――ジャンを引きづりつつ。



 その後は、シェリルの口利きもあって、ジャンの起こした問題は穏便に処理された。

 アンリは言う。


「すまなかった、ユート殿。厳罰に処すると誓おう」


「村に被害が出なくてよかったです。――それじゃ」


 僕は挨拶をして別れた。

 途中振り返ると、アンリは渋い顔をしつつ溜息を吐き続けていた。


 その後は家に帰って、シェリルと母親ミレーヌの作ってくれた夕食を堪能したのだった。


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