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道化の僕が勇者の君を救いたい~追放された転生遊び人はゲーム知識で無双する~  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第二章 カスティーニャ編

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第48話 死の鎌!


 青空の広がる朝。

 冒険者ギルドで一応の依頼を確認した僕は、オイゲンに強化を頼んでいたイヤリングを回収した後、村を出た。

 イヤリング『虫の知らせ』は強化されて『第六感』という名称のユニークになっていた。

『第六感 気配探知 危険感知 回避25% 運+25』


 気配探知に加えて危険感知のパッシブスキルも手に入れた。これで危険な敵や罠を事前に知ることができる。あと回避や運の値も上昇してありがたい。



 新装備にほくほくしつつ、僕は東へ向かった。

 南東にある森の北側を迂回するように走り抜ける。というか早かった。

 景色が飛ぶように後ろへ流れていく。


 ネズミダンジョンで最後のハピネスリング狩りを行う前に、強化素材を手に入れておこうと考えた。

 向かう先は森の向こうにある、一段強い魔物が出る森。死の森に隣接している。

 そこにジャイアントスパイダーがいる。倒してスパイダーシルクを手に入れるつもりだった。


 快適な速度で、短い草の生える緑の草原を駆け抜ける。

 風が顔に当たって心地よい。髪とマントが激しく後方へなびく。

 消滅と気配探知を発動しているので、魔物を気にせず走ることが出来た。

 


 小一時間ぐらい走ると小動物の森を通り過ぎて、さらに向こう側の森が見えてきた。

 薄暗くて鬱蒼とした森だった。心なしか木々もねじ曲がっているように見える。

 近づくにつれて、ざわざわと枝の葉が揺れて鳴る。


 僕は少し速度を落として森へ入った。洗い立てのマントはすでに乾いていた。

 乱れた息を整えながら垂れ下がる木の枝をかき分けて歩いて行く。

 しばらくは小さな動物の気配を察知するだけだった。


 ――と。

 唐突に危険を感じて頭の後ろがひりひりした。

 なんだろう? 熊か、狼か。


 用心しながら近づいていくと、木々の向こうに見えたのは大きなカマキリだった。体長が2メートルぐらいある。

 森の中の少し開けた広場にいて、木の陰に隠れるようにして周囲を警戒している。頭の上の短い触角を探るように動かしていた。

 横を素通りしようと思ったけれど、両手の大きな鎌を胸に引き寄せて臨戦態勢を取っている。

 ――ん? 僕の存在がバレた?


 音も気配も全部消えてるはずなんだけど。

 不思議に思いながらカマキリに近づく。

 たぶん『デスシックル』だと思いつつ鑑定で見る。

--------------------

種族:デスシックル Lv20

攻撃力80 防御力120

HP160 MP20

スキル:『即死1%』『斬る』『双鎌乱舞』

--------------------

 やっぱりデスシックルで合ってた。


 初級の虫の中では強い方というか、嫌らしい敵。下の上か中の下ぐらいはある強さ。

 防御が高くて初心者だとなかなか倒せない。

 そして『双鎌乱舞』という一撃は弱いけど手数の多い連続攻撃をされるうちに、たった1%の即死が発動して死ぬ。


 でもLv20なら2と5の倍数だから即死75%か。

 ――あ、ハーデスリング装備してない。


 僕はアイテムボックスからハーデスリングを出して装備した。

 するとブブブッと重い羽音がした。

 見れば白い綿のような体毛を首回りと手足に生やした大きなミツバチが飛んできた。体長50センチぐらい。


 ハニービーだ。

 危険感知が反応しないぐらい弱い敵。巣を壊せばハチミツが手に入る。

 ハチミツ欲しいなと思った瞬間、カマキリの腕が素早く伸びた。

 鎌で挟むようにハニービーを捕らえる。


「キキキ――ッ」

 

 ハニービーは悲鳴のような鋭い声を上げた。

 ――あっ。ハチミツが。

 僕は毒竜の蛇剣を手に取った。


 ひゅうっと素早く振って、鞭のようにうねらせて攻撃した。

 ザンッ! と切っ先が強く当たってカマキリの首を切り飛ばした。

 これでもうミツバチを食べることは出来ない。でも即死は発動しなかった。

 

「もう一回!」

 

 縮みかけた蛇剣を振るって斜めに斬る。

 両腕を切り飛ばし、腹も切り裂く。

 鎌から解放されたハニービーはブブブッと羽ばたいて空へ飛ぶ。

 カマキリは木漏れ日の差す広場の地面に倒れて死んだ。即死が発動しないまま倒すとは。素材の鎌が飛んでくる。

 


 これでハニービーが逃げる方向を追えば、巣の場所がわかるはずだ。

 久々に甘い物が食べられそう。単純にパンに付けて食べるだけでもお菓子がわりになりそうだ。


 ――と、思ったら。

 ミツバチは広場の上空を周回した後、僕の頭の上へ帽子のように乗ってきた。


「チチチッ」


 喜ぶような声が聞こえた。

 なんだか懐かれた気配。

 さらに頭の上で、片方だけ羽根をブブッと鳴らす。


「そっちに行けってこと?」


 ブブブッと肯定するような音。



 合ってるのかいまいちわからない。

 そもそもなんで懐かれたのかもわからない。テイマーじゃないのに。

 ――それともテイマー用の首輪をしてるせいかな?

 MISOではそんなシステムはなかったけど。


 現実となったこの世界では、何か違うのだろうか。

 疑問に思ったけど今は、ハニービーが示す方向へと歩いて行った。

 ハチミツ貰えるかなと思いつつ。


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