第4話 初めてのレベルアップ
死の森の中。
僕はタイラントボアを倒してLvアップした。
だけど僕は周囲を見渡して身を隠せる場所を探す。
いろいろ確認したいが、先に安全を優先しないと。
僕は葉っぱの密度が多い鬱蒼とした茂みを見つけると、枝を持ち上げつつ這って中へ入り込んだ。
すぐにステータス画面を呼び出す。
――って、よかった。自分のステータスはゲームと同じように見ることができた。
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名前:ユート(ユーティウス・プエル・コムス・ド・ラランティウム)
種族:人間 性別:男 年齢:15歳
職業:遊び人 Lv:12(ST:33)
筋力:F 敏捷:F 智慧:F 運:SS
HP:40 MP:12
スキル(SP:45)
攻撃スキル:
下級:『突きLv4』
補助スキル:
下級:『みかわしステップLv1』
その他スキル:
『サイコロアタック』『運777アップ(残り64秒)』
称号:
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ふむ。ステータス画面はゲームと一緒だと思った。
Lvも12まで上がってる。さすが中級モンスター。
でも確認は後だ。
すぐにスキル画面を呼び出して『みかわしステップ』をLv10まで上げた。
スキルは一つ上げるのにスキルポイント(SP)が1必要。
下級スキルの上限はLv15。中級はLv30。上級はLv50。
無駄にまんべんなくスキルを取っていくと、上級スキルを一つぐらいしかマスターできなくなる。Lvは99までしか上がらないので、詰み状態の器用貧乏キャラとなる。
レベルが一つ上がるたびにSPは4しか手に入らないから。
そしてみかわしステップがLv10になると、中級スキルの『ボックスハイド』が開放される。
僕は即座に『ボックスハイド』をLv21まで上げた。
手品に使うような箱に隠れると、姿が見えにくくなるスキル。
Lv11で茫漠(敵から見つかりにくくなる)の効果、Lv21で透明(敵から見つからなくなる)の効果が発生する。Lv31で消滅(一切感知されなくなる)もあるけど今は物理的に無理なので保留。
ボックスハイドはパッシブスキルなので、すぐにONにする。
これで自分の姿は敵から見つからなくなったはずだ。
ほっと安堵の息を吐いて、僕はステータス画面を見ながらさらに考える。
残りSP15。『突き』をLv5にして、新しく解放された『投擲』に1振っておく。
残りSP13は中途半端なので保留でいいや。というか突きがLv4だったのは勝手にポイントが振られていたのか。
さて。安全になったところで、さらに考える。
疑問点がいくつもあった。
まずはフォーチュンクッキー。
なぜゲームと同じ課金アイテムがこの世界にあったのか。
ゲームだと日本円で購入したけれど、ここは異世界。
この世界のお金『ゴート』で購入できるのだろうか?
1ゴートはだいたい1円ぐらいだけど。
もう一つの疑問は勇者だった。
MISOでは、勇者はランダムに選ばれるのではなかった。
前回の魔王イベント終了後から、そのサーバーで『もっとも課金した人』が選ばれた。廃課金者へのご褒美みたいな感じ。
じゃあ、この世界でも一番お金を使った人が選ばれる?
それはあり得ないと考える。
だってイーリスは村娘だ。
お金なんて、貴族だけど妾の子だった僕より持ってなかった。
それなのに勇者になった。
もっと思考を加速させる。
ゲームの運営と言えば、プレイヤーにとっては神のごとき存在だ。
じゃあ運営に最も課金した人とは、神にもっとも貢献した人と言えるのではないか?
イーリスは人助けを誰よりも頑張っていた。
魔物退治や山賊退治だけじゃなく、荷物を抱えたお婆さんや、孤児院の子供たちの世話までしていた。
神に貢献したと言えるのではないか。つまりお金じゃない。
僕はゲーム画面を思い出しつつ、目の前に表示されているステータス画面の上の方を探った。
――確かこの辺に課金アイテムショップを開くアイコンがあったはず――。
指先で何度も虚空を突いた。
数度目でブォンッと言う音とともに、課金ショップ画面が開いた。
「やった! ――ん?」
前世で見慣れた課金ショップ画面。
しかし、『日本円』が表示されていた部分が『貢献ポイント』に変わっていた。
僕の貢献ポイントは約1万3千もあった。
――きっと、イーリスを手伝っていたからポイントが増えたんだ。
僕は拳を握りしめて叫んだ。
「買える!」
僕は速攻で課金アイテムである『アイテムボックス2個』と『解体ナイフ』を購入した。
解体ナイフは4800ポイント。アイテムボックスは50枠で3000ポイント。
アイテムボックスは最大5個まで買えた。
使用ポイント10800。残り約2200ポイント。
中途半端なポイントになったので残しておくことにする。
どうすればポイントが増えるかわからないけれど、800ポイント貯めればもう一つアイテムボックスが買える。
また、この先『フォーチュンクッキー3個』で500ポイントを購入するかも知れないし。
とりあえず二つを購入したことで、解体ナイフの効果が発動した。
近くにあったタイラントボアの死体が、分解されながらアイテムボックスに収納される。
アイテム欄にタイラントボアの肉と牙と毛皮と石が追加されていた。
魔石? いや、違う。なんだこれ。『鑑定』がないから物品の名称と効果がわからない。
タイラントボアからドロップするのは革系の防具だった気がするけど、今はまあいいや。
「よしっ」
解体ナイフは一見高く見えるかも知れないが、倒した敵からドロップしたアイテムを自動でアイテムボックスに収納してくれる。
敵を倒しっぱなしにしてもいい。ゲームですら手動でボタン連打が大変だったから手作業で解体なんて途方もなく厄介だろうと思われた。
――これで狩りがずっと楽になった。
僕は茂みの中、これからどうするか考えた。
当然、愛するイーリスを助けたい。
でも今のままではダメだ。賢者にならないと。
賢者をやるためには装備が必要。
そのためには運キャラをやらなければ。
僕はステータスポイント(STP)をすべて運に振った。
ただし確認しながら1ずつ上げていく。
そして15上げたところで運の表記がEに変わった。
「ということは……」
HPは筋力値の二倍+敏捷値。
MPは智慧値の二倍。
遊び人はLvが上がるごとに敏捷と運が1ずつ上がる。
さらに前世の記憶からマスクデータを参照する。
F: 1~ 50
E: 51~ 100
D: 101~ 200
C: 201~ 300
B: 301~ 450
A: 451~ 600
S: 601~ 800
SS: 801~1200
SSS:1201~
という風になっていた。
これらの数値から逆算して初期値を導き出す。
筋力:8 敏捷:11 智慧:6 運:25だと思われた。
これがわかれば、今後もどうするかの目安になる。
最終的には運を801か1201にしたかった。
「てか、智慧6って。平均10らしいから勉強苦手だったわけだ。――まあ、そろそろ行くか」
僕はスキル『ボックスハイド』を切らさないように注意しながら、茂みから外へ出た。
まだ外は木漏れ日が差している。
――次は。
Lvが上がってから取りに来ようと思っていたアイテムを取りに行く。
初期の運キャラにとっては必需品とも言える武器。
それは、死の森の外れの館にある。
僕は辺りに注意しつつ、慎重に歩いて行った。




