第39話 鼠王の大きな宝箱
本日2話目
ネズミダンジョンの地下二階。
僕はモンスターハウスのあった隠し部屋へ向かっていた。
昨日、宝箱を取り忘れたからだ。
内心ちょっとウキウキしていた。
だって言わば、Aランクのゴールデンキングラットが守っていた宝だ。
――ユニーク以上のアイテムを期待してもいいのでは?
僕はモデルのようなウォーキングで、颯爽と通路を歩いて駆け抜け、隠し通路の前までやってきた。
隠し通路の扉は閉じていたので、また壁の一部を押し込んで開ける。
そして隠し部屋まで来て、入り口から部屋の中を窺う。
広い部屋の中、マジックリングラットが3匹ほど所在なさげにうろついていた。
――全部は復活していないみたいだ。
でも一応用心して、指輪を一つ外してさっき拾った『命の指輪』に付け替える。
それから部屋の中へ入った。
毒竜の邪剣を振るいながら部屋の奥まで進む。
ただしボスが出現する部屋の真ん中を避けながら。
ネズミを3匹倒すと、部屋の中央にジュエルラットが出現した。
――危なっ。用心しておいてよかった。
まあジュエルラット単体ではもう僕の敵じゃない。
剣を振るってサクッと倒す。
ドロップした指輪が光ながら飛んできて、マジックボックスへ収納される。
――さあ、宝箱だ。
僕は大きな宝箱に近づいて蓋を開けた。
「あれ?」
大きな箱の中は空っぽに見えた。
おかしいと思い、身を乗り出して箱の中を見る。
すると、箱の底の隅っこに、禍々しい小さな生首が入っていた。親指ぐらいの大きさ。
緑の顔に血走った目が四つあり、苦悶の表情を浮かべている。
「えええ――っ! マジかぁ!」
僕は悔しさのあまり叫んでいた。
――ユニークはユニークなんだけどっ! いや、ユニークレアか。
『亡者の怨念 混乱 即死10% 状態異常攻撃25% 状態異常抵抗50% 魔攻75% 魔防100%(スキルレベル+3)』
めっちゃ強いし、魔法職にとって最終装備の一つと言っていい装飾品だけど。
説明文には『大量の怨霊の恨みが凝縮したイヤリング。女性キャラ専用。呪術師専用。』とある。
男の僕には装備できない。したところで効果が出ない。
ちなみに女性の呪術師が装備すると、最後のスキルレベル+3も適用される。
僕は手の中のイヤリングを見ながら顔をしかめて唸る。
「う~ん。一人、呪術師の知り合いがいるんだけどさぁ……」
見た目からして不気味で禍々しい。
しかもよく見ると手のひらの中で震えていた。
耳を澄ませると微かにギチギチと歯ぎしりをし、ぅぁぁ……と苦悶の声を呟いている。
……持ってるだけで呪われそう。ベヘリット並みに不気味だ。
ゲームだと「めっちゃ強い装備だ!」と思うだけで見た目は気にならなかったけど、現実だとゲーム以上に存在感がやばくなっていた。
こんなのプレゼントしたらきっと嫌われる。確実に新手の嫌がらせだと思われてしまう。
――うーん。
ソフィーがもっと呪術師として自覚を持ち、年齢も20歳とかせめて成人年齢の15歳に到達するまでは、渡さない方がいいんじゃないか?
子供には不気味すぎて刺激が強すぎるだろう。確実に夜中一人でトイレに行けなくなりそう。
「しまっとこ」
僕は見なかったふりをしてアイテムボックスに放り込んだ。
その後は隠し部屋を出た。
入り口を塞いでいた岩を積み上げて元に戻して隠し通路を出る。
あとは地下二階の宝箱を回収した。残りは3つあった。
マップは覚えているので迷うことなく移動して魔物を倒して宝を手に入れた。
手に入ったのは『ハイヒールポーション』に『ハイキュアポーション』。
そして『水てぶくろ』だった。
『水てぶくろ』はノーマルレア。
元は布の手袋だったらしく防御力はないものの『防水』と『水抵抗30%』が付いていた。
まあ今はいらない、というか今後も必要なさそう。
むしろ洗濯や食器洗いなど、水場の仕事に役立ちそう。
ソフィーかマーサさんにあげようかな。
とりあえず、これで地下二階は終了。
僕は地下三階を目指した。




