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道化の僕が勇者の君を救いたい~追放された転生遊び人はゲーム知識で無双する~  作者: 藤七郎(疲労困憊)


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第37話 ダンジョン探索


 午前中の森の中。

 僕は薬草を採集しつつ、ダンジョンに向かって歩いていた。


 今日は薬草採集の依頼はなかったけど、たぶん明日は5束(50本)の依頼が出る。

 僕が今日ポーションを5本買ったから。

 ものすごく小さい経済圏。


 たぶん物品や食事に支払うお金の側面に印を付けて渡したら、ギルドの支払いでそのお金が戻ってくるんじゃないかと考える。

 たぶん間違いない。


 まあ前世の知識と『鑑定』を使えば薬草採集なんてすぐ終わった。

 余裕を持って百本ほど採集しておく。


 

 それからダンジョンに来た。

 一階は相変わらずネズミ以外の魔物が多い。

 ボックスハイドで『消滅』を発動させて、タゲられることなくさっさと奥へ移動する。


 階段を降りて地下一階へ。

 磨かれた石でできた通路。

 僕は昨日とは違うルートを進む。


 宝箱を回収するため。といっても地下一階は薬草や皮の防具、鉄の武器しか出ない。

 そもそもこのダンジョンは地下三階までしかない初級ダンジョン。

 宝箱には期待できなかった。


 でもまあゲイルにダンジョンの場所教えると言ってしまったし、他の冒険者が来る前に全部回収しておこうと思った。



 通路の角をいくつか曲がってあまり広くない部屋に入る。

 入った瞬間、僕は「あれ?」と声を上げた。


 部屋の中には二足歩行のネズミ、ヌートリアンが三体いた。

 木の棒を持って、ぼーっと立っている。

 部屋の隅には古びた宝箱がある。


 ヌートリアンは地下二階からの出現だったはずだけど……。

 全体的に魔物が強化されているのかもしれないと思うことにした。

 

 ヌートリアンで気を付けなくていけないのは、棍棒キックと棍棒パンチ、それに棍棒噛み付きに注意が必要だ。

 棍棒は使ってこないので、初見だと不意を突かれてやられる。



 てか、部屋が狭いから遠距離で倒しにくいなぁ。

 それでもできるだけ距離が取れる場所に移動して、僕は毒竜の蛇剣を振るった。

 ザザッと斬撃の音と同時に、ドォンとドクロの顔が浮かび上がるエフェクトが発生した。


 一瞬驚いたけど、すぐに何が起きたかわかる――即死攻撃だ!

 二体のヌートリアンがそのまま倒れ、生き残りの一体が僕に向かってこようとした。

 だけど追撃するまでもなく、毒ダメージで床に倒れた。


「即死攻撃ヤバい。雑魚に対して圧倒的かも」


 ヌートリアンからは、棒と石がドロップした。

 外れだ。魔石や魔結晶だと当たり。



 木の棒と石ころをアイテムボックスから出して床に捨てつつ、宝箱へ向かう。

 罠も鍵もかかっていないのでそのまま蓋を開けた。


「おや?」


 アイテムが違う。

 中にはヒールポーション――じゃなくて、ハイヒールポーションが入っていた。


 ……利用者がいないダンジョンは、敵も宝物もグレードアップするのだろうか。

 その可能性はありそうだ。

 一度、MISOで知ってるダンジョンを元に、この世界で知られていないダンジョンを巡ってもいいかもしれないと思った。



 ポーションを手に入れて部屋を出る。

 また別の部屋に入る。棚が一杯ある部屋。

 棚で仕切られた通路に、リングラットやドブラット、シャドウマウスがいた。

 一匹ずつ倒していく。


 棚の一つに宝箱が置かれていた。棚に載るぐらいの小さい箱。

 開けると、きれいなガラス瓶が入っていた。

 僕は驚く。


「エクストラキュアポーション!?」


 なんでも治す薬。病気も石化も麻痺も、何でも治す。

 治療薬の最上位版だ。

 ――下級ダンジョンにあるアイテムじゃないな。

 不思議に思いつつ、アイテムボックスにしまった。



 また部屋を出て通路を歩く。

 地下一階の宝箱はあと一つ。下に降りる階段を通り過ぎてさらに端っこの部屋にある。

 遠いけれど、ランクアップしたアイテムが手に入るとなれば行かざるをえない。


 移動速度の速いゲームでも20分はかかるから、現実だと一時間はかかりそうだなと考えながら歩いて行った。


 途中、リングラットが40匹いる大広間にさしかかった。

 すると太ったネズミに混じって、白い毛の生えたネズミ――ジュエルラットが何匹かいた。

「なんで!?」


 床を見ると指輪がなくなっていた。

 ……ダンジョンが指輪を吸収したから、リングラット系がパワーアップしたのだろうか。

 ――やっぱりここのダンジョンを教えたのは失敗だったかも知れない。


「まあ、ずっといるわけじゃないし、いいや」


 僕は毒竜の蛇剣を持つとアイテム欄を開き、昨日と同じように隅へ向かった。

 蛇腹剣を振るうと、ヒュッと空を切る音ともに伸びる。

 そして、ネズミを攻撃したとたん、ドクロのエフェクトが次々と現れた。


 2,3回剣を振るだけで、10匹のネズミが全部死ぬ。

 いっせいに指輪が僕へと飛んでくる。


「狩り効率がさらに上がった!」


 ちょっとテンションが高くなる僕。

 MISOでは選ばれし廃人たちが、こんなに楽な狩りをしていたんだと思うとうらやましく想った。


 というか、ここまで『即死』効果が強いなら、もう風攻撃の指輪は装備しなくていいかも?

 僕は運の上がる指輪を選んで装備した。なんか運+19に運+16ついたアイアンリングを見つけたり。



 それからしばらく僕はリングラットとジュエルラットを狩った。

 ――しばらく?

 ううん、一時間は狩った。


 昨日よりも周回時間が早くなったため、やめ時がわからず狩り続けてしまった。

 たぶん指輪狙いの狩りがゲームでも現実でも、一番ドーパミン出る。

 おかげで良い効果の指輪もたくさん拾えていた。


 例えば『透明』や『浮遊』、『火炎』など。

 透明はボックスハイド使わなくても常時発動になるし、浮遊は空に浮かぶことができる。

 火炎はファイアーアローやファイアーボールが使えるようになる。

 魔法職じゃないのに魔法が使える。まあ智慧が低いから意味ないけど。


 『命の指輪』も拾った。

 一撃で即死したとき、一度だけ身代わりしてくれる指輪。一回使うと壊れてしまうけど。

 普段から装備するかは悩むけど、ボス戦では付け替えたらいいかなと思う。



 しかもなんだか今日は、鑑定が良く出た。

 『鑑定:人』『鑑定:物』『鑑定:魔物』『鑑定:武器』『鑑定:薬草』などが各種複数個出た。


 あれだ。

 欲しいときは全然出ないのに、手に入ったとたん同じものがごろごろ出るやつ。

 ゲームやガチャで何千回も味わった悔しさ。ゲームあるある。


 ちなみにゴミみたいな鑑定指輪も一つだけ出た。

 『鑑定:うんこ』ですってよ。確実にネタアイテムだと思った。



 結局、ジュエルラットが出なくなった頃、狩りをやめた。

 通路に待避してから水を飲む。

 アイテム欄を確認する。

 ユニークも一つ出ていた。


「バトルリングか。イーリスに再開したらあげよう」


 僕は自分の装備だけじゃなく、イーリスの装備も集めなくちゃいけないから大変だった。

 そうなると、アイテム欄がすぐいっぱいになって困る。


 アイテムボックスが拡張できたらいいのになぁ。

 そういえば貢献ポイントはいくつになっていただろう?


 シェリルを助けて約2300ぐらいになってたけど。

 英雄の村で依頼をいくつかこなしたから、村人を助けたことにはなってないかな?

 と思って、課金ショップ欄を開いた。


「……増えてる」



 約2410ポイント。お祈りを除くと100ぐらい増えてる。

 たぶんソフィーを助けたぶんが50ポイントぐらい入ってそう。

 残り50ポイントが村人分? なんだか中途半端な。

 

「まさか、呪術師という職業への考え方を替えさせたから?」


 残りの50ポイントぐらいも全部ソフィーかもしれない。

 依頼はお金と言う報酬を貰ってるから、貢献ポイントは発生していないかも。


 いや、そうか。

 薬草で考えたら、僕が取ってきてお金を貰って、道具屋が薬草からポーションを作って、僕がポーションを購入し、道具屋は売れた分だけ依頼を出す。

 むしろこの村では僕だけポーションで助かってるから、人助けとは言えないのかもしれない。


 ソフィーは呪術師としてまだまだ困ってないかな?

 いや、困ってることにして、強引に助けてポイントを稼がせてもらおう!

 なんて打算的な、と自分でも思うけど、最速で賢者になってイーリスを手助けしなきゃいけないんだから、仕方ない。



「よし、宝箱を回収しに行こう」


 一息ついた僕は、ダンジョンの奥に向かって歩き出した。


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