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道化の僕が勇者の君を救いたい~追放された転生遊び人はゲーム知識で無双する~  作者: 藤七郎(疲労困憊)


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35/40

第35話 伝説の降臨

本日2話目。



 朝の冒険者ギルド。

 僕はゲイルが依頼の処理するのを見ながら、ぼーっと立ち尽くしていた。

 そんな時、ふととりとめのない考えが脳裏によぎった。


 ――そういや。

 ゴールデンキングラットから手に入れたユニークの指輪を見てなかった。

 なんだろ?


 アイテム欄を見ていくと、最後の方に指輪が入っていた。


「ほへっ!?」


 見たことのない形をした指輪だったため、思わず変な声を出してしまった。

 じっくり指輪を見て、名称も見て、それから叫んだ。


「えええええ――ッ!」


「うおっ!? ――どうした、急に? びっくりするじゃねぇか」


 ゲイルがしかめた顔を上げて咎めてきた。

 でも僕は叫ばずに入られない!



 ――だって!

 MISOをやってた時ですら入手できなかった、激レア中の激レア!

 サーバーに20個しか存在しない、ゲーム廃人御用達の指輪!


 ランクはレジェンド!

 ゲームでは高額すぎてゲーム内通貨では取引されず、田園調布に家が建つレベルの日本円で取引された、幻の指輪!


 それが!

『ハーデスリング 即死25% 2の倍数即死25% 3の倍数即死25% 5の倍数即死25% 状態異常攻撃25% スキルレベル+5』


 運キャラの最終装備の一つであり、スキルレベル+5が付いているため全キャラの最終装備でもある。

 指輪でスキルレベル+5が付くのは、ハーデスリングだけ!

 しかも敵のレベルが30、60、90だと即死率100%!!


「あはは――わはは……っ!」


 僕は視界がぼやけるのを感じた。泣いているのかも知れない。

 MISOをプレイした十年間、欲しくて欲しくてたまらなかったけど、結局手に入らなかった指輪。

 それが異世界転生したら手に入ったなんて!



 ゲイルが心配そうな表情で、恐る恐る尋ねてくる。


「おい、ユート。頭、大丈夫か?」


「ええ! はい! とっても大丈夫です! ――見てください!」


 僕はアイテムボックスからハーデスリングを出した。

 ドクロをかたどった、燻し銀に光る指輪。禍々しいまでの黒いオーラを纏っている。


「んん? なんだこりゃ?」


 ゲイルが目を細めて、訝しそうに眺める。

 しばらく眺めても首をかしげるばかり。

 しまいにはカウンターに一度しゃがみ込んでから、ごそごそと何かをあさった。


 そして赤い帽子を被って身を起こした。『鑑定:物』付きの帽子だ。

 もう一度ハーデスリングを眺め、そして叫んだ。


「なんだこりゃあ! こんなの見たことねぇ!」


 ゲイルは驚きのまま飛び上がり、そのまま尻餅をついてしまった。

 僕は笑いつつ、ハーデスリングを指にはめる。


「うーふーふー! すごいでしょう? 最強の指輪ですよっ!」


「いや、まじですげぇわ……指輪でスキル+5は初めて見た。欲しい」


「あげませんよ? でも即死攻撃も満載ですし、最高です!」


「……すげぇな、ユート。どんな運をしてんだか」


「まあ、それなりに――それより依頼の処理、お願いします」


「へいへい」


 ゲイルは不貞腐れながら答えて、また計算を始めた。

 僕はまた待たされる。

 暇なのでアイテム欄を呼び出して眺めた。



 ――というか、アイテムボックスが指輪でいっぱいだ。

 なんでだろうと考えたら、ジュエルラット100匹から手に入れた指輪を整理する暇がなかったと思い当たった。

 ――そういや、青く光ってたような……?

 ユニークの指輪を手に入れてるかも?


 僕はじっくりと眺めていく。

 そしたら確かにユニークの指輪を手に入れていた。

『マジカルリング 知力+25 知力比率上昇×2 魔攻25%』


 ――うん。魔法職の最終装備の一つだね。

 将来賢者になった時に役立つ。

 でも遊び人は魔法攻撃や魔法スキルがないので、宝の持ち腐れにだった。

 嬉しいけど、微妙な心持になっていた。


 ――同じユニークでも『ハピネスリング』や『スピードリング』の方がありがたいんだけどな。

 ちなみに同じ名前のアイテムを二つ以上装備しても効果は重複しなかった。

 だからもうユニークレアの『フォルトゥナリング』は必要がなく、ただのユニークの『ハピネスリング』の方が欲しかった。


 そんなことを考えながら、アイテム欄を見ていく。

 微妙な効果の指輪も多く、あとで捨てないといけないなと思った。



 ――と。

 もう一つのユニークが目に入った。


「ん゛ん゛っ!」


 叫びそうになって、ぎりぎりで声を押し殺した。

 ゲイルが不審そうに視線をちらっと上げたが、すぐに計算に戻る。


 ――これ、ユニークだけど、ユニークじゃない!

 ユニークに効果が付与されてて、ユニークレア相当の貴重な指輪になってる!


 それはどんなのかと言えば。


『【鑑定】【状態異常抵抗30%】スピードリング 敏捷+25 敏捷比率上昇×2 防御25%』


 ――すごい。すごすぎる。

 欲しかった『鑑定』の効果が、まさかユニークの指輪につくなんて。

 しかも状態異常抵抗も優秀な効果だ。毒や麻痺、混乱や魅了、石化や呪いを防ぐ。

 最終的には装備で100%にするつもりだけど、それが指輪で補えるなんて。


 僕はあまりの幸運に感動しながら、ただの『鑑定:物』の指輪を外してスピードリングに付け替えた。

 ――これで運キャラとは思えないぐらい強くなった。

 たぶん同レベル帯で僕に勝てる奴はいないだろう、と自信を持って言えるぐらいに。



 それからゲイルの計算がようやく終わり、全部で16万5000ゴートを手に入れた。

 星月草がかなりの高額だったらしい。

 あとは解体場でブッシュボアの肉と毛皮と牙を出して、ギルドを出た。


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