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道化の僕が勇者の君を救いたい~追放された転生遊び人はゲーム知識で無双する~  作者: 藤七郎(疲労困憊)


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第19話 定番の薬草採集

本日二話目。


 僕は村を出て、南東に向かった。

 途中で小さいネズミを見つけては倒しつつ。

 合計で二十匹は超えた。これで一安心。


 一時間ほど歩くと森が見えてきた。

 森の中はネズミやリス、イタチやアナグマと言った、小動物系が多い。熊や狼など強い魔物は出てこないので割と安心できる森だった。


 僕は木漏れ日の心地よい森の中を歩いた。

 薬草が採集できる場所は知ってる。

 群生地を見つけては『鑑定:物』を使って半分だけ採集していく。


 薬草の群生地は、半分だけ採集すると三日で群生地が復活する。全部取ると復活に二週間かかる。 

 まあ現実だからゲームと同じとは限らないけれど、いろいろ試してみようと思った。



 森の中をあっちこっち歩いて薬草を採集した。

 だいぶ採集したのでアイテムボックスを開いて数を確認する。


「238本と112本と72本か。一束10本だから40束納品できるか」


 一束1000ゴートなので、4万ゴート。十分だなと思った。

 次は毒消し草を探そう。依頼は受けてないけど、道具屋に毒消しポーションがなかった。

 なので、たぶん毒消し草の依頼も出てるはず。


 毒消し草を取りつつ、頭の中で所持金を計算する。

 銀貨が12万、薬草が4万、素材やらインゴットを売れば15万ぐらいにはなるか。

 30万ゴートあれば鍛冶屋で武器を強化してもらえる。


 毒消し草は薬草ほどは見つからなかったけれど、15束ぶんは集めた。


「んー、あとは宿代やポーション代も稼がないと」


 角ウサギやタイラントボアを売れば余裕でお金ができるけれど、冒険者になったばかりの遊び人が持ち込むのは疑われる可能性があった。

 もう少し冒険者として信頼を得てから換金しようと考えている。アイテムボックスの中に入れておけば腐らないし。



 ということで、他にお金を稼ぐいい方法は何かないかなと思い、森を探しながら歩いた。

 すると猪を見つけた。下の中ぐらいの強さがあるブッシュボアだ。

 地面に落ちた木の実を漁って食べている。


 僕は透明を発動したまま、毒蛇のナイフを持ってそっと近づく。

 真後ろから思いっきり突きを放った。

 グサッと浅く刃先が入る。


「ピギィィィ!」


 ブッシュボアはのけ反りながら怒りの声を上げた。

 攻撃したことで透明が解除された僕を見つけて、すぐに向き直って来る。

 前足で土を掻き、勢いを付けて突進してきた。


「グオオォォ!」


 僕はみかわしステップがオンになってることを確認しつつ、背を向けて逃げ出した。

 ジグザグに逃げて、猪の直撃をかわす。


 ――もう毒攻撃自体は入っている。秒間48ダメージでHPを削る。

 あとは逃げ続ければ時間の問題だった。



 木を周り込んだり、直角に曲がったりして逃げ続けること数十秒。

 一分もかからずに、後方から猪の断末魔が響いた。


「ガァァァ!」


 そしてドサッと倒れる音。

 すぐに解体ナイフの効果が発動し、猪の体がバラバラになりながら飛んできた。

 アイテムボックスに収納される。


 ――よし。準備はすべて整った。

 まだお昼時だけど、僕は意気揚々と森を抜け、村へと向かった。



 昼を少し過ぎた頃、村へと戻った。

 すぐに冒険者ギルドに行く。

 相変わらずおっさんがカウンターで頬杖をついて、ぼーっとしていた。とても暇そう。


 僕がカウンターへ近づくと、不審そうに眉を寄せる。


「坊主、えらく早いじゃねぇか」


「あ、はい。群生地をいくつか見つけたので、すぐに終わりました」


「取りつくしちゃいないだろうな?」


「それはしてません。半分だけ集めて回りました」


 僕はカウンターに薬草の束を出した。ついでに冒険者カードも置く。

 おっさんが鋭い目つきで薬草を数え始める。


「ふん、品質もいいな。意外とわかってるじゃねぇか」


「ありがとうございます。あと依頼受けなかったんですが、毒消し草も見つけたので買い取ってもらえますか?」


「おっ、そいつぁ助かるな」


 僕は毒消し草を出した。

 おっさんはふむふむと確認する。


「いい状態だ。近いうち俺が採集に行く予定だったからな。マジ助かったぜ」


「手助けできてよかったです。てか、やっぱり他の冒険者いないんですね」


「村の若ぇもんは、なにかと大きな街に出たがるからよぉ。人手が足りなくて大変だわ」


「滞在中はお手伝い頑張ろうと思います。あとネズミも倒したので確認してもらえますか?」


「おう、さっそくか。裏にある解体場で出してくれるか」


「わかりました」



 僕は解体場に向かった。おっさんもついてくる。

 解体場は倉庫のように広い部屋だった。

 真ん中に頑丈なテーブルがある。


 僕はテーブルの上にネズミを20匹出した。肉と毛皮に分けて置くと山積みになった。

 おっさんは目を見張って驚く。


「こいつぁ、すげぇ。解体が済んでるじゃねぇか。しかもこの仕事ぶり『狩人』か『料理人』かってぐらい、丁寧な仕事だ」


「えっと、得意なのかもしれません」


「まあいい。村としちゃ助かるから、何も言わねぇよ」


 おっさんは確認が済んだとばかりに入り口に向かおうとする。

 僕は慌てて呼び止めた。


「あと薬草採集してるときに猪に襲われたのでついでに倒しました」


「マジか。出してみろ」


「これです」


 テーブルの空いたスペースに猪の肉をドンッと置いた。牙や毛皮も置く。

 ちなみに毒ダメージで倒しても、肉に毒が残っていないのは『鑑定:物』で確認済み。


「ブッシュボアか。初心者が良く倒せたな。若くて肉が柔らかそうだ」


「運が良かったようです」


「よし。全部買い取ってやる。先にカウンターまで戻っていてくれ」


「はい」



 僕はまたカウンターへと来た。

 冒険者カードも出しておく。


 少し時間をおいてからおっさんが戻ってきた。

 トレイにお金を乗せている。


「ネズミの駆除料が20匹で2000ゴート、猪が5万ゴート。薬草が4万ゴート。毒消しが3万ゴート。毛皮は傷がなくて良品だから1万5000ゴート、牙は3000ゴート。全部で14万ゴートだ」


 トレイの上には金貨が13枚と大銀貨が5枚、置かれていた。

 金貨1枚が1万ゴート。大銀貨は2000ゴートだ。


「一枚は細かい方がいいだろ?」


「助かります。金貨だとお釣りが大変ですもんね」


 僕はお金を袋にしまうふりをしてマジックボックスへ入れた。

 おっさんが言う。


「お前さん、若ぇのに見込みあるな。俺はギルドマスターのゲイルだ。今後ともよろしく頼むぜ?」


「僕はユートです。頑張ります」


 ようやく相手から名乗ってもらえて、僕は安堵するとともに笑顔で答えた。

 『疾風のゲイル』元Sランク冒険者で、上級職『剣聖』の強者だった。

 MISOでは、ゲイルは気に入らない相手に名乗らなかった。でも信頼されると名乗ってもらえて、困った時に助けてくれる。

 今後もしばらくはこの村に滞在するので、一つ肩の荷が下りた感じがした。


 それから宿と道具屋、そして鍛冶屋の場所を聞いてからギルドを後にした。

 もちろん場所は知ってるけれど新参者が知ってるのはおかしい。

 今後は「ゲイルから聞いた」という言い訳が使えるようになった。



 まずはギルドを出て、道の向かい側にある二階建ての建物の前に立った。

 中は広い食堂になっていて、奥にカウンターと厨房がある。

 二階に上がる階段もあった。二階が泊まる部屋らしい。


 しかしまだ昼過ぎなので、少し混んでいた。

 店の邪魔になるかもしれない。

 少し時間を空けてから来ようと考えて、僕は村の外れに向かった。


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