9 実技試験!
魔力試験も合格出来たし、順調だな!
そろそろお腹が減ったから飯にするか?
魔力試験も終わり、お昼が少し過ぎた頃、ようやく昼飯へとありつけれた。
昼飯は剣魔学校の中に受験者用に販売されている、水やサンドイッチを買い広場まで移動し食事を始める。
《体力》《実技》《魔力》《アピール》の試験内容のうちやっと体力と魔力が合格することが出来た。
昼飯を食べながら次の試験会場はどこが近いか確認し、次は実技試験を受けることにした。
昼飯で食べたサンドイッチは不味くはなかったが、美味しいと聞かれれば疑問に思う内容だった。
パンは分厚く野菜はしなしなで、中の肉は柔らかくなく一口食べるのに要らぬ歯応えがあり、とりあえず空腹は収まり実技試験の会場まで移動する。
「これなら町でなにか買っとくべきだったかな。うん、明日は買ってくるか!」
魔力の建物から10分ほど歩いて地図では第2グラウンドと呼ばれている場所が実技試験が行われている。
実技試験が行われている場所に到着したハンスは今行われている試験の内容を確認し列へと並ぶ。
今まで受けて来た試験内容の受験者人数に比べると、1番この実技が多く感じられる。
列へ並び、少し時間が経つが、魔力試験みたいにスムーズに流れが消化出来ずにハンスの後ろにまで受験者がズラッと並ぶ。
聞き覚えのある声が違う列の前の方から聞こえるが、とりあえず無視をする。
「おい、俺様と順番を変われ!」
「はっ?」
「俺様はメルガイの貴族でドドリアス・バッカ・ワープスだぞ!」
「ふ~ん、でっ?」
「この俺様馬鹿にしてるのか?」
「馬鹿にするもしないも、馬鹿にしてるのはお前の方では?」
「くっ!もう1度言う、俺様はメルガイの貴族でドドリアス・バッカ・ワープスだ、どうなっても知らんぞ?」
「今度は脅しか?」
「さぁな、素直に場所を代われば何も無いがな」
「そうか」
「やっと代わる気になったか!」
「はぁ、こりゃメルガイの貴族の恥曝しだな」
「な、何だと!」
「この事は上に報告しとくからお前は、素直に1番後ろに大人しく並んでろ!」
「てめえ!この俺様に対して口の聞き方に気をつけろよ?しかも、お前みたいな小物が報告してもその話は隠蔽出来るんだよ!」
「はぁ、まだ立場が分かってないみたいだな」
「立場だと?貴様は平民何だろ?そう粋がるなよ後悔するぜ?」
「ああっ、平民か貴族か聞いてきたのは只の弱い物イジメにする為の、それはスマンなさっきのは面倒だったから、俺は平民と言ったんだが?」
「くっ!この際お前が何処の貴族でも関係ない!さっさと場所を代われ!」
そんな会話に流石に無視も出来ず流石にハンスも動く。
動くと言っても今出せる最後の分身を使うわけだが、
「5号ちょっと代わりに並んでいてくれ」
「ん?俺が行っても良いけど?」
「直接行きたい気分なんだよ」
分身を出した途端に周りの人が一瞬で固まる。
そんな状況に慣れたハンスは、周りを無視してドドリアス・バッカ・ワープスと絡まれている男へと近づく。
「おい、ドドリアン・アホ・ザンネン!」
「くっ!お前は!って名前がもう殆ど違うじゃねーか!前から俺様の事を馬鹿にしやがって!」
「俺はハンス、君大丈夫かい?」
「ああ、大丈夫だが、君らは知り合いか?」
「知り合いと言うか、前に君みたいに順番代われって絡まれたくらいだな」
「そうか、君も被害者か、苦労したな」
「このやろー!お前ら、俺様を無視しやがって!」
ハンスが入って来て更に頭に血が上るドドリアス・バッカ・ワープスは男に殴りかかる。
「はぁ、結局こうなるか、こっちに来てよかった」
そう言ってハンスはドドリアス・バッカ・ワープスの鳩尾に肘を打ち込む
「ぐっ、ぼぉが!」
鳩尾に重たい攻撃を受けたドドリアス・バッカ・ワープスは、胃の中から液体を吐き出し受験者が並んで居る列の外へと弾き飛ばされる。
「まじか、ハンスと言ったな?お前何者なんだよ」
「ただの平民って所かな?」
「何で疑問形なんだ?まあ、でも助かったよ、アイツ面倒臭過ぎてな」
「あはは、それは分かる、俺も列に並んでたんだが、ああいうの嫌いでな」
「おいおい、俺の為にその列から来てくれたのか?なんかスマン、何ならこの場所を変わるが?」
「ああっ、それは大丈夫だよ、分身一体を代わりに並ばせてるから」
「はぁ?分身?そんな高度な分身は聞いたことないぞ?」
「そう言われてもなぁ、ほら、あそこに居るのが俺の分身なんだが」
「本当だったか、まじで何者だ?」
「いや、だからただの平民なんだ」
「それは答えになって無いんだがな。まぁ、ここで言っても始まらんか」
「はははっ、スマンな」
「いいさ、ハンスとはまた会いそうだな、俺の名はアルスと呼んでくれ」
「アルスか分かった、まっ、2人無事入学出来てそこで会おうよ」
「ああ、ありがとなハンス!」
「いいさ、アルス、俺は戻るよ」
無事?ドドリアス・バッカ・ワープスが静かになって元の場所に戻って来たハンスは5号と代わり列へ並ぶ。
「待たせたな?」
「大丈夫さ、ただ並んで居ただけだから」
「5号、更にお願いがあるんだが?」
「大丈夫、思考回路が繋がってるから分かってるさ。明日の昼飯の調達に行って来るわ!」
「すまん、ありがとうな」
「気にするな本体」
5号と別れ列に並び、大分時間が経ち実技試験の順番が回ってきた。
実技試験の内容を観察した結果、学校側が用意したゴーレムに魔法を使わずに勝負するという内容だった。
武器は貸し出されるが、模擬戦用だけあって剣等の刃は丸くなっていて切れないようになっている。
まぁ、これで重っきり殴ったら骨は確実に折れそうだが。
「受験プレートを出してくれ、試験の内容は説明いるか?」
「プレートです、あのゴーレムに魔法を使わず、そっちの武器で挑めばいいんですよね?」
「そうだ、説明は要らないみたいだなって、ハンスさん、君はもう2つ合格しているから二次試験に進めるみたいだが?」
「ああ、入学試験が初めてだから、とりあえず全部受けようかなと思って」
「そうか、まぁ期間内に全試験は厳しいから適度にやりなさい。それでは、ゴーレムの前に使いたい武器を取って進んでくれ。制限時間は5分だ、その5分間にどれだけ動けるか見る試験だから、手を抜くなよ?手を抜いたら1発不合格だからな?」
「分かった、武器か・・・このショートソード使ってみるか」
ハンスはゴーレムの前へと進み出る、目の前のゴーレムは基本攻撃はしてこない。そこは観察したり、目の前の受験者の戦いを見て分かっていた。このゴーレムは魔法で作られた存在みたいで疲れを知らない。
現時点で両隣のスペースや、更に奥など既に受験者がゴーレムと戦っている。
どの受験者もゴーレムを倒すこと無く、制限時間の5分が過ぎて途中で止められる。
そんな中で合否を判定され喜ぶ者や悲しむ者に別れていた。
そんな受験者を、何十人も相手に出来るゴーレムは相当な強さなのだろう。
そうこう考えているとハンスの実技試験が開始される。
「それでは実技試験、初め!」
相手の装備はロングソードに木で出来た体、ウッドゴーレムなのは分かるが、今までの受験者が攻撃しても傷着いたであろう箇所は既に修復されている。
一つの列に2体のウッドゴーレム、一体が戦っている間に、もう一体は後ろで試験管補佐官によって修復されている。
修復するにしても魔力が居るから補佐官も交代しながら何人も居る。
今までの試験の中で、試験官や補佐官が1番人員が揃っていた事に、並んでいる時に驚いた。
まぁ、初めて受けた試験が体力試験で、試験管1人だったからどこも似たような物と思ってたんだが、ほかの試験を受ける度に実は試験管の人数で驚いていた。
「さて、手加減すると1発不合格か、それは駄目だな」
こんだけ待たされて手を抜き不合格になり、この列に並び直すのは避けたいハンス。
そんなハンスは全力で実技試験を受けることにした。
ハンスが動かないと反応しないゴーレム。自分から近づかないと行けないのは観察している間に分かっていた。
ゴーレムとの距離は10メートルか
***違います10.53メートルです***
おぅ、神格。
久々に、思える神格のツッコミを受け、ウッドゴーレムに正面から突っ込んでいく。
ウッドゴーレムの前まで来て、攻撃範囲に入ると軽めにショートソードを真横に振り相手の出方を見る。
その攻撃に併せロングソードで胴体を守ろうとするが、守りが間に合わずハンスのショートソードで胴体がかなり抉られる。
「ん?案外遅いし、もろい?これなら!」
軽めに振り抜いた剣を逆手に持ち直しながら、ウッドゴーレムの横へと回り込む。ウッドゴーレムは胴体を深く抉られ反応が遅れ、ウッドゴーレムはそれが致命的だった。
横へと回り込み、逆手に持ち直したショートソードを今度は全力で相手の胴体へ振り抜く。
振り抜くと言っても、手だけではなく足を深く踏み込み、腰の回転を加えた全力の一撃。
もし、これが交わされでもしたら、反撃が来ただろうがそんなことも無く、ウッドゴーレムは下半身と上半身に別れて動きが止まる。
「ふぅ、これで実技試験も終わりか」
ウッドゴーレムに勝ったハンスは体制を整え試験管の方を見る。
まだ、試験の終了の合図が出されて無く勝手に戻る事は出来ないのだ。
「・・・・・・」
ハンスを見ている試験管。
「・・・・・・」
目が合うハンス。
「やっべ、倒しても終わりじゃない?実技だから、このゴーレムに攻撃しなければ行けないのか!」
更にウッドゴーレムに攻撃するハンス、この一撃でゴーレムの頭部が中を舞う。
その頭部へ更に追い打ちをかけ四つの塊となり地面に落ちる。
「これでどうだ?」
試験管を、見るハンス。
「・・・・・・」
ハンスを見ている試験管。
「・・・・・・」
目が合うハンス。
「まだ足り無いのか!不合格はマジ勘弁!」
焦ったハンスは残りの上半身と、下半身の部分に怒涛の連続攻撃を仕掛ける。
最後には、最早そこにウッドゴーレムが存在していた事がわ分からない状態の物となる。
「これでどうだ!」
試験管を、見るハンス。
「・・・・・・」
ハンスを見ている試験管。
「・・・・・・」
目が合うハンス。
「ちょ、まだか!ゴーレムはもう残ってないって!」
さっきまで居たゴーレムはハンスの足場に、ゴミのようにバラバラにされ散らばっている。
まだ、試験が終わらないハンスは珍しくテンパっていた。
ゴーレム相手に攻撃しなければ不合格となり、今までの苦労がやり直し、特にあの列に並ぶのは気が引ける。
周りを勢い良く確認したハンスはある物に気付く
「いた、ゴーレム・・・待ってろよ・・・」
ハンスが見つけたゴーレムは、絶賛修復中のウッドゴーレムだ。
本来ならハンスが戦っている間に、前の受験者が与えた傷を修復しなければ行けないのだが。
補佐官も何故か手が止まりハンスを見ている。
幸い、ハンスが見つけたウッドゴーレムは、前の受験者がつけたであろう傷は擦り傷みたいな物で戦うには問題ないみたいだった。
ウッドゴーレムにゆっくりと近付くハンス、その時補佐官が声を洩らす。
「ひっ!」
「!?」
補佐官は今のテンパっていたハンスに怯え、尻餅をつくように倒れる。
補佐官が離れたから、再度全力でウッドゴーレムに攻撃を仕掛ける。
ショートソードを上段に持ち勢い良く振る。
「ス、ストップ!し、試験、終了!」
ショートソードがウッドゴーレムの頭部から入り、胸の所まで入った所で試験の終了が告げられる。
「お、やっと終わった」
試験の終了が告げられてハンスは試験管の元まで戻って来た。
試験管の様子が何かおかしい、額には汗をかき、少し挙動不審で震えている。
「あの・・・もしかして、不合格ですか?」
「ひゃ、」
「ひゃ?」
「あ、あ、合格、だ。」
「しゃあ!」
ビクン!
気合いを入れて喜ぶハンスに驚いた試験管。
「あっ、すみません急に大声出して」
プレートを受け取りハンスはその場を後にする。
「・・・・・・」
実は試験の間、試験管だけでは無く周りの受験者もハンスを凝視していた。
本当は凝視では無く、固まっていたのだが。
しばらくその周りは固まったままで誰一人動こうとしなかった。
列に並んでいる後ろの方、まさにハンスの試験が見えなかった者達は一向に進まない列にイライラさせ何人かの受験者が叫んでいる!
「まだ、進まねぇのか!何やっている!」
「さっきから、進まないぞ!」
等と、周りが騒がしくなれば「ぐがっ!?」ドドリアス・バッカ・ワープスも目を覚ます。
実技試験の荒れようを見て流石にドドリアス・バッカ・ワープスといえど辺りを見回す事しか出来ない。
その後もハンスを担当した試験管・試験管補佐官が急に交代しウッドゴーレムも新しく2体用意されるのに時間がかかってしまったのは、ハンスは知らない。
実はこの日の試験終了時刻を過ぎて、ハンスを担当した試験管達が集まり、その内容を他の試験管やその上に報告しているのもハンスは知らない。
ふぅ、実技試験試験なかなかいい感じに出来たと思う、でも良かったよ合格出来て!
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いつも冒険者クエストを見て頂いている皆様。
又、初めて読んで頂いた皆様、この度はありがとうございます。
申し訳ありませんが、自己の都合上掲載は毎週日曜日の朝9時とさせていただきます。
本当にすみません。
これからも冒険者クエストをよろしくお願い致します。
4/2句読点等の見直しをしました。




