75 武道大会にむけて
令和~
新しい年号でも
よろしくお願いいたします。
「エリオット第二王子殿下!!申し訳ございません。軽率な行動を!」
俺の目の前に居るのは・・・・・・。いや、いらっしゃるのは、俺達が住むドライツ国の第二王子。
つまり、王族様だった。・・・王子様でした。
分からない、分からない、分からない、分からない!!
何をやらかした、何をやらかしたんだ俺!
考えろ、考えろぉぉぉっ!
※※※以前お会いした、エットウォーマ・グラリスとなる者が第二王子第三騎士団の団長でした※※※
神格ナイス!今思い出した!レインの救出に駆け付けてくれた方だった!
臣下の礼を見よう見まねで行い、人が見てわかるほど慌てている俺。
「あの、ハンスの慌てよう・・・初めて見た・・・・・・死んだな・・・・・・」
そう呟き、手を合わせ俺を拝むブイエル。
よし!ブイエル覚えた!
俺はブイエルのその行動を見、次の自主練習で倍返しにすると心に誓う。
「うっ・・・さ、寒気が・・・・・・」
「はははっ、このクラスはみんな仲が良いようだね。で、ハンス君。君は、エットウォーマ・グラリスという名を聞いたことはないかい?」
そう笑いながら訪ねてくる第二王子。
「第二王子直属の第三騎士団の団長様です・・・・・・」
そして、そう返す俺。
クラスメイトの反応は第二王子の顔を知らないハンスが、何故、第三騎士団の団長の名前を知っているのか、皆不思議そうにハンスを見守っている。
「うん、そうだね。で、最近何処かで会わなかったかい?」
相変わらず笑顔で聞いてくる第二王子。
「初めはラザト村で会い、コープルまで御世話になりました・・・・・・」
そして、そう返す俺。
クラスメイトの反応は、皆成る程・・・御世話になったのかと、納得した。
「うん!間違いなく、エットが言っていたハンス君本人みたいだね!」
更に笑顔でそう言う第二王子。
成る程、第二王子は第三騎士団の団長さんに俺の事を聞いたのか・・・・・・。
だが、俺の事を聞いたのは分かったが、どうしたんだろうか?
「で、そこで本題なんだけど。Fー2クラスで自主練習を名目に、第5武技館を借りていたよね?そして、その第5武技館は今や、上級生が使い自主練習が出来なくなってしまっていると聞いてね。替わりの自主練習場所はもう見つけたのか、気になって聞きに来たんだよ」
「えっ、自主練習場所ですか?・・・・・・場所が無くまだ決まっていません・・・・・・」
第二王子は俺達Fー2クラスの自主練習の場所を気になって来たのか。そうだったんだ。納得し・・・いやいや、納得は全くできないぞ?逆にどうして、第二王子が自主練習の場所が気になっているんだ?
「そうか!決まってないんだね!良かった!」
良かったって、あんた・・・・・・いや、第二王子・・・・・・。
クラスメイトもどこか、不安そうに成り行きを見ている。
「エリオット様、内容を早く言わないとクラス中が不安がってます」
その時、第二王子の後ろにいた生徒がそう第二王子に進言する。
「おっと!そうだね。バザックすまない」
後の生徒の一人はバザックと言うらしい。
「問題ありません」
バザックも俺達と同じ年齢で、黒髪の体格の言い男性だ。
バザックさんって、何処かであったような雰囲気だな・・・。
ハンスはバザックを見てそう思った。
「で、ハンス君。いや、Fー2の諸君。提案なんだが、俺達と一緒に自主練習をしないか?場所は剣魔学校の敷地外で、メルガイの中に用意しているんだ。そこだったら、模擬戦や魔法練習に、専門学課の実技が行えるんだが?」
「「「「「「えっ・・・・・・?」」」」」」
俺も含め、クラスメイト全員が第二王子の言葉のお陰で、一体感が生まれた。
「はははっ!やはり、仲が良いようだね。ここには貴族も平民も無い。クラスメイトの仲間って感じがするよ」
第二王子がそう言っていたが、全員状況が飲み込めず、呆然とし時間が過ぎ去っていた。
※※※
「ここは、わたし達ドライツが所有している訓練施設の1つだよ。もし、何かしら足りないものがあったら、教えてくれると助かる。直ぐに用意させるから」
そう第二王子が言ってくるが、剣魔学校の授業も終わり普通ならば自主練習をしている時間帯のハンス達。Fー2のクラスメイト達は第二王子の案内のまま、メルガイの中を移動しこの場所へたどり着いた、ここは、剣魔学校からそれほど離れていない。
というか、俺達が目指す建物は学校の正門から見える位置にでかでかと存在していた。
ふぁ~っ。改めてみると大きな建物だなぁ~。
学校の登下校時に何気に、このデカい建物は何だろう?と思っていたけど、国が所有している訓練施設だったのか。
見た感じだと足りないものどころか、いろいろな設備があるみたいだけど・・・実際に使ったことはないから、使い方が分からないんだよな・・・。
そう思いハンスは各部屋に置いてある設備に目がいくが、この中でハンスが知っている道具はほんの一部だけだった。
そんな設備を見てハンスが言える言葉は「足りないものって・・・そんな!」だった。
一行が歩きながらもそんな会話をし、たどり着いた際奥の部屋の扉を開けると、そこは立派な運動場があった。
「す、すげぇ・・・・・・」
誰かが呟いたその言葉に、Fー2のクラスメイトは自然に唾をのみ頷いていた。
「さて、ここが戦闘や魔法の訓練をする場所さ。地面や壁には特殊な素材を組み込んであるから、強度も高いし魔法も無効果されるから全力の訓練が出来るんだ」
一体この建物を作るのに、どれだけの資金が運用されたのか不明であるが、流石王族は違うと全員が思ってしまう。
もし、この建物をハンスの拠点で真似をし、ハンスの魔力で創ろうにもスキルのレベルが足り無く創れないだろう。
もし創るとしたら、全ての道具を理解し一度はあの空間に持ち込まないと行けないので、今のハンスには無理な事だった。
また、全ての設備を揃えるためには一体いくら掛かるかも分からない。
「さっ、早速。訓練を始めよう」
第二王子の言葉で、みんなは気を取り直し訓練の準備に取りかかる。
今ここに居るのは、第二王子達のクラスでSSクラス総勢10名にFー2のクラスメイト41名で、合計51名プラス第二王子の護衛と思われる4名の騎士達だった。
初めての場所に王族と同じ訓練。
しかも、騎士の見つめる中と言うこともあり何時もより緊張しまくっている、Fー2クラス。
これは不味いな・・・第二王子達SSクラスの人は良いんだけど、俺達Fー2クラスのみんなはこのままだと要らぬ怪我が増えてしまいそうだな。
よし、今日は軽めにやって・・・いや、緊張を感じる暇がないように強めにやるっても良いかも。
「うっ!ハンス、表情が怖いぞ?」
ブイエル君酷いじゃないか、俺の顔はいたって普通だぞ?
全く、失礼だな。
そうして、ハンスの特訓によりいつもにまして悲鳴がなり続けるのだった。
SSクラスと言っても実力は、今のFー2クラスよりも少し上だったため、結果は無事に1日目のハンスによる特訓が終了した。
「よ、予想以上だったよ。まさか、これ程の訓練?いや、特訓なんて・・・・・・。君達はこの特訓を毎日していたのか・・・・・・」
「エリオット第二王子・・・ご無事で何よりです。ですが、このお陰で今の自分達が居るのです」
「そ、そうか・・・ハンス君、明日からもお願い、出来ないか?」
そう会話していた第二王子とブイエルだったが、急にこちらに話かけてくる第二王子。
「えっと・・・こういった訓練でよければ、是非やらせてください」
そうしないと、Fー2クラスの訓練場所がまた無くなってしまうからな・・・。
「ただ、戦闘訓練以外も実技試験があるので、他の実技訓練もやりたいのですが・・・大丈夫ですか?」
そうなのだ、実技試験には【武器術】等の戦闘系以外にも【錬金術】等の専門職学課もあるので、それらを受けるクラスメイト達や自分の為疎かに出来ないのだ。
「そうだったね・・・なら、明日は専門職の実技特訓をするとなると、戦闘系の特訓は出来ないな・・・」
「それは大丈夫です。分身をフルで使えば、何とかなります。ただ、分身も数に限りがあるので全ての分野を一変には無理ですが、ある程度はそのスケジュールを明日発表します。ただ、メインになる戦闘系の特訓は毎日行いますが、特訓の密度は減る恐れがあります」
「分身・・・ね・・・さっきまで使っていたスキルだよね?正直、凄すぎるんだけど・・・あれ」
「凄いと言うか、凄く重宝してるスキルですよ?」
分身がないとか今の俺には考えられないな・・・。
分身か・・・俺が出せる分身は5体で、俺を含め6人か・・・・・・。
そして、俺が受けている学課は全部で17あって、みんなと被っている学課は、15もあるけど【武器術】や【魔術】に【冒険技術】等の幾つかの学課はまとめて出来るのもあるんだよな・・・・・・他に出来そうな学課は、【錬金術】【薬学】【料理】も一緒に出来ると、後は・・・【商業術】と【情報技術】か、【鍛冶】は纏めることが出来ないのが辛いな。
【乗船技術】【造船技術】は被っていないのでパスは出来る。
となるが、【農業】に【畜産】と【林業】はここで出来るのか?
・・・あっ、出来るんだ。
ここの設備に本当に抜かりはなくないか?まぁ、いい。
出来るなら、その3つも纏めれそうだ。
他の【土木建築】と【設計技術】は纏めれて、【操車技術】は単品でと・・・・・・1、2、3、4、5、6、7。
やはり分身が足りないな・・・仕方ない、後はスケジュールだな・・・。
そう考えながらも、訓練が終わり皆帰宅していく。
そうして次の日、授業も終わり訓練の時間。
「ハンス君、昨日言っていたスケジュールはどうなったんだい?」
「スケジュールって言うか、スケジュール組まなくても何とかなったみたいで、一気に実技特訓が出来るようになりました」
「はっ?それはどういう意味だい?」
「あの後、スキルレベルが上がりまして何とか出来るようになりました」
「そ、そうなのか?良かったじゃないか。ハハハハハッ」
第二王子の苦笑いするのも分かる。
スキルレベルなんてものはそう簡単に普通は上がらないのだから。
それこそ、かなり訓練をしないと無理な事である。
因みに、ハンスの分身を作り出すためのスキルは【並列思考】に【分身】なんだが、拠点にいるみんなの装備をせっせと分身を使い作っていたら両方レベルⅥに上がってくれた。
Ⅴに上がったのがこの前なので、暫く上がるのに時間が掛かると思っていただけに、嬉しい誤算となったのだった。




