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冒険者クエスト  作者: チョコミルク
剣魔学校入学~
62/87

57 会議室にて

「理事長!いったい何なのですか!」


ここは、剣魔学校の第3会議室。

ここの会議室では今1年生を担当する学科の教師と、教頭から理事長までが集まり。

生徒達に問題がないか報告したり、連絡事項を伝える場だ。

放課後なのもあり、先生達も何名かは疲れた様子も見てとれる。

そんな中、武器術学科の担当をしている1人のエリスティナが、会議テーブルを叩き理事長に何かを訴えている。


「ふむ、エリスティナ先生何のことじゃ?」


理事長としても現状では訳がわかってない様子だ。


「あのハンスって言う生徒の事です」

「ほっほ、あの子か。中々面白い生徒ぢゃろ?」


心当たりがあるのか、髭を触りながら笑顔で答える。


「面白くありません!」

「ハンス君は誰かに迷惑をかけたのかね?」


心当たりがある生徒はワシが面接したんじゃが、何かしたんじゃろうか?


「いえ・・・ですが!あの生徒はあり得ません!」

「あり得ないとな?」


あり得ない?確かに彼の実力は未知指数なんじゃが、試験を全て行わせた方が良かったんじゃろうか?

いや、そうなれば他の受験生が畏縮してたかもしれん。


「はい、既に武器術学科にいる意味も分かりません。何しろ教師陣達と比べるなら剣も魔術も同じか・・・恐らく、上かもしれません」

「それほどかね?」


ほう、あの年齢で教師陣と同じ・・・いや、恐らく上とな!


「それほどです!初日等は様子見てましたが、最近は特に酷いです!」

「酷いとは?」


酷い?授業態度が悪いのか?そんな子には見えなんだがの。


「放課後に、ハンス君主体の戦闘訓練があっているのは知ってますか?」

「うむ。知っとるよ?わしも場所の貸出しにサインしたしの。それがどう酷いのじゃ?」


キリシマ先生が受け付ける時にわしも居ったからの。


「最近では、合同で行っている他クラスよりも、Fー2は戦闘に置いて突出しているんです」

「・・・それは良いことなんじゃないかの?」


ハンス君は教え方が上手いのかの?どれ、わしも見学に行って卒業後は教師陣に引っ張れる才能なら話をしてみるかの。


「そ、そうですが!それなら私ら教師の授業が意味無いではないですか!」


う、うむ。何も学科では訓練だけを教えるのはいかんぞ?

武人には武人の、魔術師なら魔術師の心や一般常識を教えるのも教師の役目じゃ。


「意味はあるぞ?あの子は確かに他の者にはない才能がある。じゃが、他の子に比べ常識がなっとらん。それを教えていくのも教師の役目じゃないねかね?」

「常識・・・確かに他のクラスメイトよりも一般常識は無いな」


キリシマ先生はよう見とるの。

キリシマ先生の受け持ちをSSクラスからFクラスに土壇場で変えた甲斐があったもんじゃ。


「キ、キリシマ先生!」

「エリスティナ先生、気持ちは分かる。生徒の実力が延びている現状、俺は助かっているがな」


そうじゃ、生徒の実力が上がればいいのじゃ。


「流石キリシマ先生じゃの」

「来年の査定楽しみにしてるよ理事長」

「そ、そっちかの・・・」


予算を考えないといかんの・・・


「あ、あの・・・」

「何じゃ?マリゥ先生」


マリゥ先生は薬学学科を担当して居るが、1人の世界に入ったら入りっぱなしなのはあって、時々心配になるの・・・


「そのハンスって生徒なんですが・・・本当に武器術学科に来ているんですか?」


そうか、武器術学科にハンスが参加しとるなら時間帯が被ってる薬学学科のマリゥ先生は、ハンス自体知らないんじゃった。


「来てなかったら、こうわたしは言ってないわよ?」

「私の学科にも来ているんですが・・・ハンス君?」


はて?マリゥ先生や、もちっと大きな声で・・・何やら聞き違いをしてしまったようじゃ。


「マリゥ先生は薬学だったわね・・・私達の武器術学科と時間帯が被ってるんですけど?」

「でも、ハンス君ならうちの授業にも来ていて、未だに無欠席なんです」


聞き間違い無いようじゃ・・・


「何?どういうことだ?俺の学科にも来ているぞ?」


農業学科の先生まで・・・どうなっとるんじゃ?


「ふむ、どういうことじゃ?他の学科の先生はどうじゃ?ハンス君が来ている学科は手を上げてくれ」


理事長の予想を遥かに上回る数以上の教師から手が上がった。


「「「「なっ!」」」」


今、手が上がった学科は魔術・錬金術・商業術・鍛治・料理・造船技術・土木建築・・冒険技術・設計技術・情報技術・乗船技術・操車技術・畜産・林業の14の学科を担当している先生だ。

武器術・薬学・農業は手を上げていないが、話で学科に参加しとる事になる。


「有り得ん・・・先生方・・・それは本当にハンス君なのかの?」


同時に幾つもある学科を受ける?やはり有り得ん。じゃが、何かあるはずじゃ。

まさか、他人に学科を受けさせているのは・・・だが、意味がないのう・・・他人に受けさせても本人は授業に着いていけなくなるだけじゃ。


「間違いない (わ) (です)」

「ふむ、どういうことじゃ?全く分からん。キリシマ先生ハンス君はまだ校内に居たりするかの?」


放課後ならまだ訓練をしとるからまだ、いる可能性もあるの。

ここは本人に聞いた方が良さそうじゃな。


「ハンスならまだ訓練をしています」

「ちぃっと呼んできてくれんかの?直接聞いた方が良さそうじゃ」

「分かりました。少々お待ち下さい」

「うむ」


そうしてキリシマ先生は会議室から出ていき、ハンスを呼びにいく。

暫くしてキリシマ先生とハンスが会議室に入ってくる。


「すみません、失礼します」


うむ、確かにハンス君じゃの。


「ハンス君、ちぃっと君に聞きたいことがあるんじゃが?ええかの?」


「は、はい、大丈夫です」


ちょっと動揺したの?何かあるのかな?


「そう畏まらんでもええ。君が受けとる学科なんじゃが、全部で17学科なのは間違い無いかの?」


「はい、間違いありません」


間違いはないようじゃな。

まぁ、後で事務に問い合わせても良いがの。


「その学科全てに無欠席とは良く頑張っておるようじゃな。学校生活は大変じゃ無いかの?」


それにしても、17学科を同時に?聞いた事も見たこともないぞそんな学生は。


「今のところ授業には問題ありません。分からないときは聞いていますので・・・で、何かありましたか?」


言いおる。今まで多くても8つ位は居たのじゃが、時間の都合でその生徒は幾度となく学科を欠席しとったが・・・


「問題はないか・・・単刀直入に聞くが、学科で時間が被っている物はどうしておるんじゃ?」

「えっと・・・スキル・・・を・・・て・・・」


明らかに口ごもりよった。

やはり、何かあるんじゃろうか?


「何じゃ?良く聞こえないんじゃが?」

「スキル【分身】を使って・・・」


むっ?【分身】じゃと?分身はただの囮スキルじゃったはずじゃ。


「スキル【分身】とな?ハンス君、わしをからかっとるのか?」

「いえ、からかってなどいません」


うむ、煮えきらない奴じゃの・・・


「なら、どうやって同時刻の学科に参加しとるんじゃ?」

「えっと、スキル【分身】なんです。本当に・・・」


【分身】とな・・・良かろう。

直接見てみた方が良さそうじゃな。


「ふむ・・・ハンス君、【分身】は今使えるかの?」

「はい・・・出来ます・・・」


あまり皆に見せたくは無いようじゃの?


「なら、やってみてもらえんかの?」

「い、今ですか?」


見ないことにはのう・・・


「今じゃ」

「こ、ここでですか?」


どうしても見せないのかの?


「ここでじゃ」

「・・・分かりました・・・」


やっと折れてくれたか・・・


ハンスは渋々であったが、1体だけ分身を生み出した。


「う、ううむ・・・」

「そ、そんな!」

「本当に・・・うそ・・・」

「!!」

「信じられないわ・・・」

「おおーっ!」

「こ、これは・・・」

「このスキルは・・・」


会議室にはハンスの分身を目の辺りにして、教師陣がざわめく。


「しました・・・あの・・・」

「ハンス君、このスキルは本当にスキル【分身】なのかね?」


会議室で、1人厳しい表情の理事長。


このスキルは【分身】と言うより【分け身】じゃないのかね?

【分け身】なら・・・有り得ん。

だが【分け身】なら今の光景が辻褄が合う。そして、わしは【分け身】を使った者を聞いたことがある。

残念ながら見たことはないがの・・・。


「間違いなく【分身】です。ただ、スキル【分身】だけじゃなくスキル【並列思考】と組み合わせ使用すると、このような分身が作れました」

「何?【並列思考】じゃと?ハンス君は【並列思考】も取得しとるのか?」


【並列思考】は取得難易度が高いスキルなんじゃが、この若さで身に付けとるとは驚きじゃ。

それに、スキルの組み合わせじゃと?簡単に言いよるの。

組み合わせと言うよりそれはスキル合成じゃぞ?

わしでもそうそうに出来るものじゃない能力じゃ。

それを皆の前で意図も簡単にしよった・・・。

じゃが、スキル【分け身】を使えるってよりは話がわかるの。


「使えます」

「もう1つ聞きたいんじゃが、分身は1体のみかの?1体出すだけでも凄いんじゃが、数が合わんのじゃよ」

「・・・今は7体までなら出せます。」

「な、なんと・・・その7体は全てにそちらの分身と同じく、自我が有るのかの?」

「あります」


本当にハンス君の能力は未知指数じゃな。

じゃが、困ったの・・・ハンス君がこれ程まで規格外とは・・・おおっぴらには出来そうもないのう。

さて、どうしたものか・・・


「すまん、ハンス君無理を言ってしまってしもうたの」

「いえ、此方こそすみません・・・」

「ハンス君、君はその力の事なんじゃが、今はあまりおおっぴらにせん方が良さそうじゃな。ここを卒業したらそうはせんでも良かろうが、在学中はなるべく控えたが良さそうじゃな」

「もう、分身は使うなと?」

「いや、使うならなるべく見つからないようにせねばの。もし、皆に言うなら信用に値する者のみとするがよい」

「分かりました」

「因みに教師陣は心配せんでもええぞ。雇うときに生徒に関しては個人情報を言わないように契約魔法を受けてもらっとるからの。まぁ、わしも含めてじゃがの。ほっほっほ!何か困り事があれば教師陣を頼ると良かろう。今日はすまんの戻ってよいぞ?」

「り、理事長!」

「何かな?エリスティナ先生」

「い、いえ、何もありません・・・」


ふむ、これはちょっとどころか、かなりの出来事じゃな。

スキル【分身】と【並列思考】で、【分け身】に近い能力・・・いや、同じ能力かもしれんの・・・



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