47 新たな召喚
俺達は拠点に創った豪邸とも言える家での食事を終わらせ、俺も含め全員玄関先の庭先に集まっていた。
流石に一緒に食事をしたメンバーは聖魔人達とゴータのみと仲間の数にしては少ないが、他のコボルト達やゴブリン達にウッドウルフやキラーエイプ達も一緒に食べれるスペースは問題なくあるのだが、今まで自然で生きてきた魔物達にとっては豪邸よりも外の方が落ち着くらしく、外で寝たり、ご飯を食べたりしている。
外で寝ているって行っても敷地内に小屋を作りそこで自分の環境にあった場所を作っているコボルト達、地下トンネルを掘りその穴で暮らすゴブリン達、豪邸の敷地内に簡易の林を作りそこに住んでいるウッドウルフ達とキラーエイプ。
そんな彼等でも食べるものは基本俺達と変わりはなく、調理された料理だ。
皆への配給係はコボルトがしてくれているのでかなり助かっている。
さて、なぜ俺達が集まっているかと言うと、ダンジョンで倒したスキル【進化種】持ちのゴブリンを新たに従える為であった。
食事の時ハクだけが【進化種】に興味を持ったのかと思ったが、ゴルダやコクセキ達全員だった・・・ゴータ以外だが。
「ハンス様、お願いします」
「うん!」
ソウシュから皆が揃ったっていう確認が出来たみたいで、俺は【従える者】を発動した。
目の前で白い光が輝き、形を変えていく。
光が収まるとその中心には一匹のゴブリンが立っていた。
「進化種、ですか?見た目は変わらないんですね」
「トウカが言うようにそうなんだよなぁ、ただ、ゴブリンソルジャーになっているから普通のゴブリンよりは強かったぞ?連携なんかもしてきたしな」
俺がそう言うとコクセキとハクが何やら考え込む。
「連携ですか・・・」
「で、ハンス様このゴブリンソルジャーはどのような仕事の割り振りを?」
悩むコクセキ達を気にしながらもソウシュがゴブリンソルジャーの割り振りを気にしている。
どのチームもやることが多過ぎて、少し手が回っていない状態でもあるから。
特にチーム2号のソウシュにセキメとコボルト達、チーム4号のコクセキとハクにゴブリントリオ、そして最近加わったウッドウルフ達にキラーエイプの所は人手が足りていない。
チーム4号の悩みは魔物を討伐しても、魔物事態を分身4号に渡さないと収納できないこと、最近メンバーが増え更に2班に分けたところ討伐数は上がったが、分身4号の所に持っていって収納する時間でロスが出ている。
チーム2号の悩みはその大量とも言える魔物や動物の剥ぎ取りが1番の問題点でもある。
分身2号はずっと魔物の剥ぎ取りとチーム4号達が集めてきた動物の管理。管理と行っても牧場に放牧するだけだが、放置は駄目と思い何日かに一回は見に行っている。
ソウシュは主に農場の管理を下につけているコボルト達と行いながら、剥ぎ取りにセキメ班と交代しながら料理をしている。
この前加わった奴隷達のお陰と言ったら変になるが、農場の手伝いに剥ぎ取りの手伝いと大分緩和されているが、全員未だ慣れていないため作業スピードは遅かった。
セキメ班に至っては剥ぎ取りした素材の使わない部分の売却に、コボルドリーダー達を引き連れ大都市メルガイに繰り出しては、ギルドに行ったり何処かの商会に行ったりとお金に変えている。
その際に拠点で足りないものや必要な物等の買い物を任せっきりだ。
セキメとコボルドリーダー達以外のコボルトは主にソウシュの手伝いをしているので暇な時間はあまりない。
そんな事を考えながらハンスはあることを思いだした。
「んーっ、そうだね・・・あっ!忘れてた!」
「どうされたんですか?」
「ダンジョンで大量にベビーゴブリンが居たんだが、俺に物凄く怯えて倒すのに躊躇した結果全員ティムしてしまったんだ・・・」
思い出したのはダンジョンに居た大量のベビーゴブリン達だった。
逃げまとうベビーゴブリン達をハンスは討伐出来なくてやむを得ずティムをしつしまっていた。
「ベビーゴブリンをっすか?あいつら正直あまり役にたたないっすよ?でっ、そのベビーゴブリン達は今どちらに?」
「新しい空間を適当に創って放り込んであるよ。食料となる木の実や果物もあるから大丈夫とは思うが、そいつ等の面倒をゴブリンソルジャーに頼もうと思ってね。」
「どの位居るっすか?」
「57匹だったよ。」
「うわぁ・・・そりゃ大変っすね・・・」
「やっぱりそう思うか?」
「ベビーゴブリンがそんなに大量に居たらゴブリンソルジャー匹1では無理っすよ?」
そんな会話があったが、結局ゴブリンソルジャーと一緒に居たゴブリン達と、瞬殺してしまったコボルドリーダー達を召喚し面倒を見させることとなった。
結果9匹のコボルトリーダー達にゴブリンソルジャーが2匹、ゴブリンメイジが3匹、ゴブリンベビーが57匹全員で71匹と物凄く増えてしまった。
こうなっては食料の調達が全く間に合わなくなってしまっているので、少しの金策を考えないと行けない。
今は少し余裕があるので、直ぐにとはいかないが贅沢をしなければ半年は食料がもつはずである。
そこに農場や果樹園の収穫分を入れるなら少しではあるが、プラスにはなると思われる。
少しでもゴブリンベビーの教育を早めに終わらせるため、各チームから人員の派遣が暫く必要だ。
その際は新しく従えたゴブリンやコボルト達と人数分交代させ、各チームの負担を軽くする事も決まった。
後は新しく従えた者達の住む場所は、豪邸の裏に洞窟を創ったので問題はない。
ただ、数が数だけにゴータ達の住むところよりかなり広くなっている。
ここまでして夜も遅くなったので、ハンスも含め全員自分の部屋や住みかに戻っていく。
そこで、お風呂は豪邸しかなく外に住む魔物の仲間達は豪邸の近くにある湖に行、毎日綺麗に洗う事を指示している。
その湖の水は冷たくなく、ほのかに暖かいため入りたがらない仲間は居ない。
因みに奴隷達のお風呂事情もその湖の水を使って居るのだった。
翌朝目が覚めたハンスは朝食をとるため食堂へ向かう。
「あっ、ハンス様おはようございます。」
一階の食堂へ行く最中に不意にコクセキから声をかけられる。
「おはよう、コクセキ」
「ハンス様、今日はよろしくお願いします。」
「いや、こっちこそよろしくだよ」
そんな会話をしながら食堂へたどり着いた。
今日の料理担当はセキメ班みたいで、奥の調理場から声が聞こえる。
「今日も大きなネズミが捕まったようね。本当に毎回懲りないわね、あんた達。」
「ち、違うっす!誤解っす!手と口が勝手に動いたんすよ!」
「「ゴ、ゴブゴブ!」」
「揃いも揃って・・・はぁ、手と口は勝手に動かないわよ、普通・・・それにあんた達には夜食として肉の塊を焼いて渡したわよね?あの塊だけで5人分くらいはあったんだけど?」
「勿論食べたっすよ?ただ、ちょっと足りなかったっす」
「「ゴブ・・・」」
「どんだけ食べるのよ・・・」
うん、半年もつ食料もこのままいけば早く無くなるな・・・4号チームにもっと頑張って貰わないとな・・・果樹園や農場の収穫は大分先だから、その間はメルガイで購入しないといけないみたいだ。
「ハンス様、すみませんゴータ達が・・・その分かなりこき使いますので」
「コクセキ・・・ほどほどにね、って言いたいけど食料足りるかな?」
聖魔人の実力はどのくらいかは実は未だ俺にも分からない、本気で戦闘しているところは未だに見たことがないからだ。
分身4号を通じて魔物との戦闘は知っているが、それも全く全力ではない。
聖魔人達もある意味産まれたばかりで、何処かその戦闘も身体能力を確かめる様子も伺える。
だが、メルガイ周辺に出てくる魔物に遅れを取るようなこともない。
そんなコクセキにこき使われるゴータ達ゴブリンに哀れみを感じてしまう俺だった。
ゴブリントリオのリーダーは勿論ゴータだ。
ゴータはバルベリアさんとの修行の末かなり強くはなっている。
聖魔人の中で戦闘経験が豊富なコクセキやハクに比べるとどっちが上か俺でも分からない。
何せ、本気では無いにしても聖魔人達との戦闘?も初めて顔を会わせた時に、逃げて無事だった事からゴータも強さは未知数だ。
他のゴブリン2匹は普通のゴブリンより強いが、ゴータに完敗するレベル。新たな中間のキラーエイプのジンキラーもゴータには勝てないだろう。
「何とも言えませんね、魔物を狩る際に食料調達メインで大型の魔物や動物を狙ってみますか?」
「大型の魔物や動物が良い具合に居たら良いんだけどな」
「そうですね・・・ゴブリンやコボルトはよく居るんですが、あいつら余り稼げないみたいなんですよね・・・」
「ギルドで依頼をこなしていったら更に稼げるんじゃないか?」
「そうなんですが、まだギルドランク余りは上げたくないんですよね・・・」
「コクセキとハクだけでもギルドランクは上がってて欲しいんだけどなぁ」
「以前、3号様にも言われました」
「3号も俺なんだけどね」
実はコクセキとハクには以前一緒に行動している分身3号から、ギルドランクを上げるようお願いしたんだけど、俺よりギルドランクが先に上がるのは嫌みたいで拒否をされている。
俺としてはギルドランクを上げて収入を増やしたいのと、切に思っているのだが頑なに断り続けられている。
んっ?俺って召喚主で、聖魔人達の言わば絶対的存在だよね?と、たまに思ってしまうこともある。
ともあれどうしたものか・・・4号のチームは現在メルガイの近くのマギシャル第7森林で活動していたよな?
初めは、マギシャル第7森林がどんなとこか全てを探索して次に移るつもりだったんだが、この森はゴブリンやコボルトが数多く生息して居るので、余り稼げないんだよな・・・。
それでも一定数の食用と捕獲用の魔物や動物は捕まえれるんだけど、今の増えた仲間達のだと厳しいものがある。
そういえば、新たに召喚したゴブリンやコボルトとティムしたベビーゴブリンは、新しい空間にとりあえずは入れて食べ物は木の実や果実のみだけだと毎日だと厳しいかもしれない。
ここで無計画に仲間を増やした罰が降りてきたかのように、頭を悩ませる。




