37 名付け
俺は今何処に居るかって?
ライド・ハフ・リマザビさんの部屋だ。
ライド・ハフ・リマザビさんとは剣魔学校の理事長だ。
俺はこの部屋に入るのは2回目だ。
1回目は剣魔学校の入学試験の合格を言い渡された時。
そして今回は・・・。
「今回の事についてじゃが、何故君がここに呼ばれたか分かるかの?君が今回の成績が良く、異例の入学をして調子に乗っとるんか?だいたい、メルガイに居りながら連絡先不明とはどう言うことじゃ。それに、少し前にはメルガイの冒険者ギルトから君への調査もあったしの。又ら何日前には、ラザト村だったか・・・そこの警備兵から夜分遅くに、これまた身分の確認依頼が来ておった。一体何をやっとったんじゃ?そもそも、君は入学試験に合格してもまだ入学していない身なのは分かるかね?最悪、両方とも確認依頼だけで終わったが、もし人道に反した者は入学の取り消しをしなければならん。例えどんなに優秀な者や貴族、それに王族だとしてもだ。また、君は・・・・・・」
ライド・ハフ・リマザビさんに怒られている・・・。
確かに、剣魔学校の入学試験の合格を言われた時既に、冒険者ギルトに行ったりしていて、頭から剣魔学校の事が抜け落ちてしまっていた。それは事実だ。
その事は俺が悪い・・・入学に必要な物や、手続きを全くしていなかったし、剣魔学校からの連絡をどうするかも決めていなかった。
その事で俺はただ謝るしか出来ない。
それからもタップリと怒られた。
最後に入学の手続きに必要な物が書いてある用紙を貰い理事長室を出た。
まず、案内用紙を見てみると、必要な物として季節に応じた制服の注文に、筆記用具・教科書の注文を購買部で終わらせる事。
剣魔学校近くにある生徒寮が必要かどうかの提出書類。
誓約書の提出。
の三項目にその次に、入学に伴い、式での家族・知人出欠人数確認書。
入学しその後の教室の確認するための注意書だった。
用紙を見て今日終わらせる事が出来る、教科書に制服と筆記用具を買いに購買部に向かった。
その後は無事に買うことが出来たが、そのお陰で誘拐事件の報酬が全部消えてしまった。
その後一度コープルに戻り、入学には誰が来るのか聞いて用紙をお母さんに渡し、再度剣魔学校に戻り学生寮を借りるための書類を提出しに剣魔学校事務室に足を運んだ。
そうして何とか書類の提出を終わらせることができた。
母さんに、家族・知人出欠人数確認書は二日後に取り来るように言われたから二日後に行けばいいとして、寮へは一週間前からの入室が出来るみたいで、その準備を事務員の方に言われた。
それに関しては準備することはないとして、一先ず終わらせることは終らせた。
そして俺は今、事務室の帰りでまだ剣魔学校の敷地内を拠点に帰るために歩いて帰っている。
俺が歩いている理由は、人が居るところでは空間を拠点に繋げない方がいいからだ。
「おい!いつまで無視をする気だ!」
それにしても、なんだかんだと忙しい日だったな・・・。
「待てって!」
拠点に帰ったら・・・そうだ、奴隷達の家を作らなきゃいけないか。
「おいって!」
結局、奴隷達はソウシュに任せてきてしまったから・・・あっ、そうか!あっちには2号が居るから問題はないか。
「このくそ!ぶへぇ!」
何か殺気を感じて避けてしまったが・・・待てよ・・・2号にも奴隷が来ること伝えてなくないか?
「よ、よくもやりやがったな!」
※※※2号様には神格を通じて話は伝えてあります。勿論、他の分身にもですので、皆にも話は伝わっています※※※
「これなら!・・・くっ・・・」
ナイス神格、助かったよ!それなら2号に奴隷達の家をお願い出来ない?
「こ、このやろぉ!」
※※※分かりました。2号様にお伝え致します※※※
「はぁ、はぁ、な、何で、カスリも、しないんだ、はあ、はあっ。」
ありがと神格、じゃあ今日する事・・・終わったんじゃね?
「はあ、はあ、はあ、はあ、く、くそっ!」
そうして、無事に剣魔学校を出て拠点に帰るために人が居ない路地裏に来たハンスは、拠点への空間を
「って、さっきから何なんですか?家に帰れないんですが・・・邪魔で」
「なっ!はあ、はあ、はあ、お、お前、やっと・・・」
ハンスは後ろを見れば、どっかで見たことあるような・・・いや、やっぱり無いのかもしれない・・・多分。
男は何故か、疲れはて気を失ってしまっていた。
人目が無かったからって、決して魔法で眠らせて等いないよ。
「ここで、寝ると風邪引くよ?・・・って聞いてないか」
まぁ、気にしないで帰るか。
そうしてハンスは拠点に戻っていった。
拠点に戻ってみると、既に豪邸の前には奴隷達の家らしき物が建ち並んでいた。
1・2・3・4・・・今回の奴隷の人数分2号は造ったみたいだな。
今日はもうこんな時間だから、明日からが仕事か・・・。
取り合えず、全員の鑑定をやっておいて再度振り分けするのも良いかもな。
現在は夕方で、後2時間もしたら日も暮れる。
今回奴隷となってここに連れられてきた男達は全員で16名。
その後は夕御飯の時間になり、そんな彼等にハンスは1人1人鑑定をかけて行った。
今回の鑑定結果は奴隷16名中に、目当てのスキル持ちはこうなっていた。
だが、どれもスキルのレベルが低かった。
【料理】3名 【剥ぎ取り】 14名 【農業】 1名 【裁縫】 1名
【大工】6名 【釣り】5名
次にスキルのレベルが高かった者が居たんだ。
【騎馬】1名 【調合】1名 【薬師】1名
後は戦闘スキルは在り来りなものばっかだった。
【剣】【槍】【弓】【斧】【杖】とか、【水魔法】【火魔法】等の魔法スキル持ちまでいた。
そして、こんなスキルもあった。
【諜報】【盗み】【暗殺】【器用】【罠】【罠察知】
この中に便利だったり、覚えてみたいスキルもあったので、今は嫌だがいつか教えてもらっても良いかもしれない。
勿論、俺だけではなく仲間の皆もだ。
取り合えず、鑑定結果は紙にまとめ聖魔人達に教え、奴隷達を適材適所で使う方針にしたハンス達だった。
最初は全員に農業をしてもらい農業地を広げる用に考えていたが、手が空き次第に変更をした。
奴隷のご飯については初め、料理担当のコボルト達にお願いしようとしたが、料理スキル持ちが居たから食材を渡し、奴隷達の料理を作って貰うこととなった。
因みに、奴隷達が耕した畑で作物が出来れば自由にして良いと言ってある。
そこで、余剰分の作物は、肉や欲しい食材と物々交換すると伝えた。
また、それ以外の仕事・・・例えば魔物や獣の剥ぎ取りをしたら少しの量だが肉を報酬として渡す用にしている。
その他にも、何かをしたら何かが貰えるといったやり方をすると伝えた。
具体的な仕事は、豪邸と奴隷達の家の間に・・・そう、冒険者ギルトのクエストボードみたいなのを設置した。
その依頼書に書かれた依頼を奴隷達はこなし、報酬を得る。
農業で手が空いたらの話だが。
拠点に農耕地を広げられると困るので、常時、空間が農場と繋がっている扉も、クエストボード的な物の横に建てた。
端から見たら、大きな扉の一軒家で、家の前にドデカイ看板が立っている家だった。
ハンス達も無事に食事が終わり、各自バラけ自分のやりたいことの時間となる。
ハンスは明日が早いため1人夢の中へ旅立っていった。
次の日の朝、自然と目が覚める。
外を見ればまだ薄暗く、太陽がまだ登ってもいない時間だった。
いつもなら眠さに負け二度寝を決め込む時間帯のはず。
だが、今日はその眠さも無い、あるのは高揚感だった。
それもそのはず、何せ今日は待ちに待ったダンジョンの初探索日なのだから。
明日はお母さんに、家族・知人出欠人数確認書を貰い、剣魔学校に提出しに行かないとならないから、今回のダンジョン探索は日帰りとなる。
だが、ちょうど良いかもしれない、ダンジョン探索は初心者の俺には・・・まぁ、無理をして危険になるような事は避けないといけない。
そうして、ハンスは1人浮かれながらトーマスに貰った防具を身に付けていく。
「さて、準備もバッチリ!朝御飯を軽く食べて出発するか」
二階にある自分の部屋を出て、一階の食堂へと向かっていった。
まだ他の者も寝ているのか豪邸の中は静まりかえっていた。
「さすがに、皆はまだ寝ているよな」
そう言いながら食堂に来たハンスだが・・・
「「「ハンス様、おはようございます」」」
既に食堂に集まっていた聖魔人達に、少なからずハンス驚いていた。
「お、おはよう、皆、起きていたんだ」
「はい、今日はハンス様のダンジョン初探索日、と言う事で皆も早目に起きてお見送りをと・・・本当にお一人で行かれるのですか?」
そう言ってきたハク。
ハク以外にも聖魔人全員がハンスの初ダンジョン探索を心配してくれていた。
「大丈夫だよ、無理はしないから。それよりも皆で久々に朝食をしようよ」
「準備は出来ています。ハンス様、皆も席でお待ちください」
今日はセキメが担当する日みたいで、セキメは調理場に居るコボルトに合図を出し、朝食を持ってきて貰う。
「今日の朝食はコボルト達のみで用意させました。まだ完璧に、とはいかないですが、簡単な朝食は用意出来るようにはなりました」
コボルト達も短期間でかなり上達してきている。
今日の朝食は目玉焼きに、野菜のスープ、それにパンといった品揃え。
卵焼きにパンはまだイビツな形で、野菜のスープにしては具材の大きさがバラバラと、確かに完璧ではない。
だが、味には問題がなく美味しく皆との食事が楽しめた。
「美味しかったよ。コボルト達も上達してきているし何よりだね」
「うちのコボルト達も頑張ってくれてます」
とソウシュが言った。
「ゴータを初めとしたゴブリン達も役に立っている」
ソウシュもコクセキも自分の部下を誉めている。
「そういえばハンス様?」
「どうした?トウカ」
「キラーエイプとウッドウルフ達の名前はどうされますか?」
「名前はもう決めているよ」
「分かりました。それなら、ここに呼んで名前を付けられます?」
「そうだね・・・うん!その方が良いみたいだね」
「でしたら直ぐに呼んできます」
トウカはキラーエイプとウッドウルフ達を呼びに外へと出ていった。
余り時間もかからず、トウカはキラーエイプとウッドウルフを連れて食堂に戻ってくる。
「ありがと、トウカ」
「うふふっ、本人達は玄関先に待機していたみたいで、名前を決めてもらうのを待っていたみたいです」
「そうだったんだ・・・キラーエイプにチビ達ごめんな、遅くなって」
「ウオン!」「クーン・・・」「ウガァ!」「バァウ!」
それぞれが思いのまま返事をする。
「まずは・・・チビ!君の新しい名は、ライフだ!」
「クーン!」
チビ・・・いや、ライフは甘えるように鳴いた。
「次に、ライフの父さんの名は、バッカスだ!」
「ウオン!」
バッカスは図体はライフに負けているものの、流石はライフの父親と言える、貫禄がある吠え方だった。
「そして、ライフの母さんの名は、モヒートだ!」
「バァウ!」
モヒートはウッドウルフ達の中では一番体格が小さい。
それでも、ライフの母は今でも甘えるライフに、時偶厳しくあたり、ライフを支えている感じがする。
「最後に、キラーエイプ君の名は、ジンキラーとする」
「ウガァ!」
キラーエイプ改めジンキラーは、コープルからラザト村の途中でハンスと戦った魔物だ。
あの時は、数多くの魔物をハンスに向かわせ、また、ジンキラーとの戦闘では、他の魔物よりも苦戦した。
そんな相手だ。
改めて見るとあの時よりも、身体能力が強化されているのにハンスは気付き、また模擬戦でもしてみたいと思った。
「ライフ!バッカス!モヒート!ジンキラー!これからもよろしく!」
新しく仲間に加わった、頼もしい仲間に聖魔人を含め、食堂にいたコボルト達も喜んでいる。
その後、食事が終えた俺は豪邸を出てダンジョンへ向かう。
玄関先には仲間達が揃って見送りをしてくれた。
その中にはゴブリン達は居なかったが・・・。
俺は奴隷達の住居の前を通り過ぎ、ダッシュをし5分でダンジョンにたどり着いたのだった。




