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冒険者クエスト  作者: チョコミルク
剣魔学校入学試験
39/87

34 トデイン

 俺達はコープルの領主邸に付き、まずした事は今回の犯人達を領主トデイン様に引き渡しだ。


「今回は騎士団様・近衛兵の応援部隊誠にありがとう御座います。お陰様で無事に犯人達をコープルに円滑に安全に連れてこられ、何よりも子供達に不安なく無事にコープルに付くことが出来ました」


 まず口を開いたのはトーマスのおっちゃんだ。

 トーマスのおっちゃんにしてみたら聞き慣れない丁寧な言葉遣いに若干の鳥肌を立てた俺は、トーマスのおっちゃんの斜め後ろへ立っていた。


「うむ、本来ならこうなる前に動かないといけなかった。コープルで人が拐われる事件の報告は先月くらいから入ってきておったが、犯人が中々特定出来ずこのような事になってしまった。その事で鉄心店主トーマスと、レイン並びに親友のミリル殿まで迷惑をかけてしまい、申し訳なかった」


 領主トデイン様から出た言葉は謝罪だった。

 詳しく聞くと以前から誘拐については報告は受けていて町の警備体制を増やしてはいたのだとか。

足りない人員は冒険者組合まぁ、冒険者ギルドにクエストとして依頼をしていたらしい。

 それ以外に私兵、即ち近衛兵に犯人を特定するように指示し行動していたが止められなかったらしい。

 それでも効果はあったのか被害件数は少くなったらしいのだがゼロにはならなかった。

 トデイン様はその事を思い続け今日に至る。

 犯人グループの一角を捕らえられ、そいつらに事情聴取、言わいる拷問の末に内部事情も分かったと話された。


 そして、俺の父さんと母さんはもう1つの犯人グループを討伐捕獲しこちらに向かっているとのことで、ソウシュ達は先程南門に到着し今こちらに向かっているらしい。

 その中にミリルらしき子供も居ると報告が入った。

 それをレインが聞き「ミリル!良かった・・・」と言って泣き出してしまった。


 ミリルも他の子供達も大きな怪我もなく本当に良かった・・・。


 その後も少しの時間は経った頃にソウシュ達が到着し、無事に子供達とミリルと合流できた。

 ソウシュ達が捕まえた犯人達は全部で4名、他にも二人居たらしいがどうしようもなく倒したらしい。


 父さん達が着くのは明日で、このまま待つわけにはいかず一端俺達は鉄心へと戻っていく。

 助けられた子供達は一度領主邸で預り、家族が居たものや孤児院の子等は直ぐに帰されるようだ。

 問題は孤児。親も家もない子供達今のところ3名なのだがどうするかトデイン様も悩んでいる。

 追い出すわけにも行かないし、子供だけにスラムに帰すのは心が痛む。



 そして久々に鉄心へと帰ってきた俺達はミトお婆ちゃんとセキメに温かく迎えられた。

 ミトお婆ちゃん達はトデイン様から連絡を受けていたのか、ここに居る全員分の食事と濡れたタオルを用意していた。


 簡単にタオルで汚れを落とした俺達は温かい料理を食べ始めた。

 無事に帰ってこれたことにレイン・ミリル共に泣きながらだったが、トーマスのおっちゃんも目を赤くして料理を食べていた。


「ゆっくり、焦らず食べなよ。レインにミリルだったかい?おかえり」


 俺はその言葉で心がジーンと来た。

 そして次の言葉はとても嬉しかった。


「トーマスにハンス、それに皆もよくやった。お疲れ様、今日はゆっくり休んで、明日帰ってくるオールド達の帰りを待っていよう」


「すまねぇ、ミトさん何から何まで・・・」


「困った時はお互い様だよ、うちのハンスも小さい頃からトーマスにはお世話になっているしね」


 ミトお婆ちゃんがそう言って少し達ミリルの両親がミリルを迎えに来た。


「ミ、ミリル!良かった・・・無事で、本当に良かった」


「母さん!お父さん!ふぇぇぇん・・・」


 ミリルも無事に両親に会え家に帰っていった。

 念のためソウシュが3人を家まで送り届けに鉄心を出ていく。


「さて、わし等も帰るかね」


「そんな!ミトさん泊まっていって下さい!」


「せっかくの家族が揃ったんだ、今日は一緒に居ておやり。積もる話もあるだろう。明日の朝食は調理場に準備しているから温めて食べるんだよ」


「ミトさん、本当にありがとう。それにハンス、そして皆さん本当にありがとう」


「良いってそんなのは」


 そして、実家に帰ってきた。


「ただいま!」


「おかえり・・・なんか変だね。取り合えずよくやったよハンス。それに皆もお疲れ様、ほら、風呂に入ってきたらどうだい?疲れもしっかり落としてきな」


「うん、行ってくるね」


 一般家庭には珍しいお風呂がある家、大きさはそこまでないが有るのと無いのでは全く違う。

 なんでもお母さんでもあるローズの希望で家を建てた時に作ってもらったらしい。

 たまにトーマス達や近所の者達が入りに来るがそれも愛嬌と言える。

 ミトお婆ちゃんを始め父さんも母さんも近所の人達を大事に接している。

 そんな家族が俺の誇りでもあり、生来目指すところだ。


 風呂も上がり自分の部屋に入り深い眠りについた。

 そう言えばハク達は一度、拠点に送った。そして明日迎えにいかなければならない。

 そうしないと拠点の仲間の魔物がどう行動していいかわからず、待機したままの状態が続いてしまうから。



 朝目が覚めると領主邸から使いが来ていた。

 父さん達が西門に着いて領主邸に向かっているから一度領主邸に来てほしい。

 と言われバタバタと出かける準備をしていた。


「ほら、ハンス!寝ぐせ寝ぐせ」


「ああ、ありがとミトお婆ちゃん。ミトお婆ちゃんは来ないの?」


「ワシは行かなくても良いんじゃよ。代わりにハクさん達も連れていっておやりよ」


「そうなの?分かったよ!行ってきまーす」


「人を跳ねないように気を付けるんだよ」


「もぉ、ミトお婆ちゃんったら!」


「ふぇっふぇっふえっ、ほら、お行き」


 そんな朝の会話をしながら実家を出る。

 そして遅くなった時間を少しでも取り戻そうと足に力を入れて走る。


 実家から左に真っ直ぐ走り商業地区を目指す、商業地区に出たら更に鉄心のある道を左に曲がって真っ直ぐ、ひたすら真っ直ぐ走りコープルの再奥が領主邸だ。

 商業地区を真っ直ぐ走っていると貴族地区が見えてきた。

 そしてあるものを見つけた。


「ハ、ハンス!」


 不意に声をかけられた。


「んぁ、レイン?おはよう」


 領主邸の方向に走る馬車がいたからもしかして知りあいが乗ってる?とは思ったがやっぱり当たったみたいだ。


「おはよう。じゃないわよ!何、馬車より早いスピードで走ってるのよ・・・」


 見つけたのはレインとトーマスのおっちゃんを乗せた馬車だった。

 いつも通りに戻ったレインはハンスの行動に呆れていた。


「あはは、えっと・・・レインにトーマスのおっちゃんどうして馬車に?」


「領主様に呼ばれたんだよ。オール達が着いたから来てくれってな」


 そっか、そうだったんだ・・・??俺のとこには馬車の迎えなんて来なかったぞ?嫌がらせか?


「ハンス殿もお乗り下さい」


 馬車と並走しながら話していたら御者のお兄さんに馬車に進められた。


「いいんですか?」


「勿論です、どうぞ」


 走りながらでも馬車に乗り込めるだろうけれども、それはマナーと言うよりは危ないのでやってはいけないで御者のお兄さんに馬車を止めてもらい中に乗り込んだ。


「お邪魔します」


「相変わらずねハンス・・・」


 呆れた感じでそうレインが呟く。


「はははっ、レイン、おかえり」


 いつものレインに戻った事にたいしての言葉だった。


「もう、ばかっ」


 端から見たらイチャイチャしてるようにも見えたのだろう。


「おい、二人とも俺を忘れてないか?」


「お父さんは黙ってて!」


「んがっ!?・・・くうっ・・・」


「おっちゃん、お疲れ様・・・」


「ハンス!」


「は、はい!」


「・・・本当にありがと・・・」


「良いって、当たり前だよ。次があっても必ず見つけ出し助けて見せるよ」


「うっ、うっ、ふぇぇぇん!」


「くっ、何だ、この気持ちは・・・」


 そうして領主邸に着き、ソウシュ達を呼びに拠点へと空間を繋げる、中からは聖魔人達が全員出てきた。


「「「ハンス様、おはようございます」」」


「おはよう皆!」


 挨拶が終わり俺達はトデイン様が待っている部屋まで案内された。

 部屋には父さんと母さんが既に居て椅子に座って寛いでいた。


「おっ、ハンスそっちも無事に助けられたみたいだな、よくやった」


 オールドはそう言って右手をあげた。


「父さん」


「ふふっ、そう言いながらオールったらずっと心配してたんだから」


 ローズはそう言いながらカップに注がれた紅茶を飲む。


「ぶふっ!ロ、ローズ!」


「はい、はい」


「母さん」


「んん!この度の事件だが。オールドを初めとして皆よくやった。コープルを代表して感謝を言う、本当にありがとう」


 両親に誉められ心配され嬉しかったが、トデイン様が今回の事件について感謝を述べた。


「トデイン、柄にもないことを」


「オール、これでも領主ぞ?」


「へいへい」


 父さんはトデイン様と昔からの付き合いなのは知っている。

 仕事で会う時と、使用で会う時とはお互いに話し方も接し方も全く違う。


「でっ、俺達を集めた理由は?」


 今は使用で会う時と同じ話し方みたいだ。


「いや、何、近衛兵に報告を受けてハンスの事なんだが・・・」


 俺の事?其にしても何か言いにくそうだけど?


「んっ、何かあったのか?まさか今回の件で犯罪者扱いにはしないよな?」


 オールドも俺の行動を聞いたんだろうか、そうなると、あら、やだ、恥ずかしい。


「そうではない、そうではない!町中を爆走して住民を何名か驚かせたとか、ラザトの警備兵の指示を聞かず事件を解決し、警備兵の心を折ったとか、ラザトの村長から借りた馬車が馬ごと何処かに消えた・・・まぁ、そんなことはどうでもいいんだ」


 改めて聞くと酷い奴だねハンスって。俺だけど・・・チガウヨ!ワザトジャナイヨ!ナリユキダヨ!馬車に関しては置く場所が無かったから拠点に持っていったけど。

 パクってないから、明日にはラザトの村長に返す予定にしてたからね。本当だよ?


「どうでも良い内容か?これ・・・」

 改めて聞いたトーマスは独り言のように呟いた。

 隣でその独り言を聞いていた俺は「ははははっ・・・」と笑うしかなかった。


「じゃぁなんだよ?」


 父さんは睨みながらもトデインに聞く。


「母さん、父さんトデイン様に冷たくない?」


 普段の父さんじゃ見られない冷たさだったから流石に母さんに聞いてみた。


「・・・そうね、でも何か理由はあると思うわよ」


 母さんも中々見ない父さんについては信じて見守っている様子だ。


「そうだな、俺もトデインが言いたいことを予想してみたんだが、俺でもああなるな」


 トーマスはトデイン様が言いたいことが予想できたのか、しかめっ面をしていた。


「・・・いや、ハンス君直に聞こう、まずは後ろの御仁達の事だ」


 トデイン様はそう言って聖魔人達を見る。


「・・・ちっ」


 オールドは予想していた話が一致したのか小さく舌打ちをした。

 んっ、聖魔人達の自己紹介?それなら昨日しなかったっけ?


「えっと、こちらは俺の仲間のソウ・・・」



「ああっ、その事は昨日伺った。内容は何者なのか?という事だが・・・正直、全員かなりに腕が立つ。そんな彼らが今まで無名?で、一ヶ月前までハンスにはそんな繋がりは無かったよね?どこで出会ったのかそれを伺っているのだが・・・」


 自己紹介じゃなかったのか。

 聖魔人達がどうしたんだろ?


「良ければだが」


「じゃぁ、言わなくてもいい?」


「それでもいいが、申し訳無いが片身が狭くなるぞ?」


「トデイン!」


「分かってくれ!オール!コープルの住民を守のが俺の仕事ぞ!」


「俺の息子を信じてねぇのか?」


「信じてるさ!信じてるが、こればっかりはいつもの様には片付かんだろ・・・すまない、ハンス君、話しをしてもらえないか?」


「トデイン様意味がわからないんですけど?どうして仲間の事を話さないと片身が狭くなるんですか?」


「ハンス君・・・すまない、ソウシュさん達は腕が立つ。そしてメルガイで冒険者の登録をしているよね?」


「はい、メルガイで冒険者の登録をしています。ゴルダとトウカは大工ギルドですけど」


「大工ギルド、そっちからは何も情報がなかったような・・・って今はその話ではなくて、ソウシュさん達は誰も出身地の記載がなかったらしい」


 そう言ったトデイン様は真っ直ぐ俺を見た。


「冒険者なんざそう言った奴等は数多く居る筈だぜ?何もソウシュ達にそんな態度なら、冒険者なんて出来ない奴らはかなり居るんじゃないのか?」


 父さんはトデインに歩み寄り近くで問い詰める。


「・・・そうかもしれない、だが、他の冒険者とは訳が違うんだよオール。ハンス君にとってその者達は本当に味方か?その者だけではない、ラザトの村に現れたハンス君の仲間と言う数多くの魔物達も何故、ハンス君に付き従う?幾らハンス君が常識外れた事を突発的に起こすとしても説明が出来んのだよ」


 下を向きながらトデインはそう話す。


「皆は俺の大切な仲間ですよ?確かに、普通とは違う出会い方をしたけどれっきとした仲間です」


 俺はトデイン様に訴え掛ける。


「その、普通とは違う出会いとは?其を教えてくれないか?」


 声を静めてトデイン様は言った。


「トデイン、ハンスはまだ子供だ。だが、言えないこともあるのだが?」


 父さんはドスが聞いた声でトデイン様に言う。


「父さん・・・もういいよ」


「ハンス!」


「俺の為に普段は仲の良い二人が言い争う所は見たくもない。トデイン様実は・・・・・・」


 もういいよ、何で皆の事を話さないだけで片身が狭くなるのかは今だ分からないけど・・・


 ハンスはトデインに自分の事、また仲間の事を話した。

 話さなくて良い事は話さなかったが、取り合えず聖魔人についてと、仲間の魔物について。

 仲間の魔物については【従える者】ではなくテイマーの凄いスキルとだけ話した。

 それで納得するかはトデイン様次第だと思う。






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