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冒険者クエスト  作者: チョコミルク
剣魔学校入学試験
32/87

27決着!キラーエイプ

 

 

「グルガガガガガガァッ!」


 最後に残った魔物は怒りの咆哮を上げる。

 その咆哮は微かに空気さえ震わせた。

 魔物との距離はまだ離れているが、その空気の振動はハンスまで届いた。


「何だ、あの魔物は・・・」


 ハンスは父であるオールドに魔物の情報なら教えられ、代表的な魔物位ならその容姿だけで名前も分かる。が、遠くで咆哮を上げている魔物については全くと言って情報がなかった。

 オールドから教えられた内容は容姿に名前は勿論だが、どんな攻撃をしてくるか、どう言った所に出現しやすいか等で、ハンスにはあまり意味はないがそれらから採れる素材などだったのだが、あの魔物に関しては全く情報がなかった。


「アイツは・・・」


  種族 キラーエイプ:亜種

 固有スキル【統率Ⅱ】

 常時スキル【体力Ⅰ】【鈍足Ⅱ】

 スキル【毒爪Ⅱ】【咆哮Ⅱ】


【完全鑑定】で覗いてみたらキラーエイプ亜種と分かった。

 そしてスキル欄には【統率】・・・もしかしたら俺をあり得ないくらい追っかけてきた魔物達はこいつに感化されてたのかもしれない。

 更にコープル周辺にはキラーエイプの出現は今まで無かったのか、オールドの魔物情報の中にはなかった・・・あったのはウッドエイプだったのだがどう見ても対格が違う。

 あっても1メートルくらいの猿の魔物なのだがアイツはそれを遥かに凌駕する大きさ・・・3メートルはあるんじゃないだろうか・・・。

 そして、あのゴツイ二本の腕に凶悪な牙に爪、それだけ見ても今まで相手してきた魔物と全く違った。


 強い・・・


 そう、心で思ってしまった。


 だが負けるわけには行かない。

【鈍足】のマイナススキルのせいか、動きはそこまで早くないのは唯一の救いなのかもしれない。

 って、マイナススキル初めて見たな・・・あるんだ・・・気を付けないと簡単に俺も取得してしまうのかもしれない、気を付けないと。


「ふっーっ」


 今までの魔物と違い若干の緊張はする。

 深い深呼吸で身体を落ち着かせ、二本のショートソードを構える。


 大丈夫、やれる!


 そう、なるような感覚が頭に浮かぶ。

 相手との距離は10メートル位まで縮ってきたが、何も待つつもりもない。


「ウィンドカッター!」


 ハンスから放たれる風の鎌鼬はキラーエイプ目掛けて襲いかかる。


 【ウィンドカッター】は風の鎌鼬で黙視付加の風魔法だ。

 回避にはかなりの難易度が必要で、しかも威力も非常に高い。

 この魔法は風魔法の初級の魔法になり使い勝手もそれなりにある。


 もし、ゴブリンだったら成す術もなく胴体の切断が可能な威力を持ち合わしている。

 その威力もあり俺が多用する魔法の一つで信頼度が高い魔法だ。


 キラーエイプはその魔法の何かを感じたのか咄嗟に両腕を顔の前でクロスさせる。

 ジュザッ!そんな鈍い音を響かせキラーエイプの左手に深い傷を付けることが出来た。が、それだけだった。

 キラーエイプは勢いも衰えずそのままハンスへと肉厚する。


「なっ!」


 魔法ダメージに対しての驚きとキラーエイプの勢いに驚き、その驚きでハンスは身体が一瞬硬直する。

 その隙を逃すキラーエイプ出はなかった。

 その行動は熟練の戦士さながらの動きとも言え、ガードしていた腕をそのまま勢い良くハンスに振るい下ろす。

 それに対してハンスはショートソードで受けながら後方へと下がる。


 ガッ!


 咄嗟の防御ではキラーエイプの攻撃を防げる筈もなく、ハンスは後ろへと弾き飛ばされるように吹き飛ばされた。


「 がはっ!」


 飛ばされそこにあったのは先程ハンスが倒した魔物達の死骸だ、その死骸にまともにぶつかり更に体勢も崩れ倒れてしまった。

 キラーエイプはそれでも勢いは止まらずハンスに爪を振るう。

 救いは両手の武器を手離さなかったと言う事実。

 ハンスは吹き飛ばされても倒れても、キラーエイプからはなるべく視線は外さなかった。

 もし視線を外していればその爪で殺されていたかもしれない。

 今倒れているハンスは立ち上がれる時間もなく襲い来る爪を左のショートソードで何とか防ぐ。

 だが、相手の力も強くその勢いは完全には止めれなかったが、反らすことは出来た。

 その爪攻撃はハンスの頬を霞め地面へと突き刺さる。

 キラーエイプは少しでもハンスの頬に傷を着けたことを見て醜悪な笑みを見せる。


 現時点でハンスは体勢が悪かった、左手に装備していたショートソードは相手の攻撃を防ぎきらず地面へと爪で縫い付けられてしまった。


「仕方がない・・・」


 ポツリとハンスが言葉を漏らす


 左手に装備していたショートソードを握っていた手を離し左手をキラーエイプの胸へと向け静かに魔法を詠唱する。


「エアロボム!」


 バァァァン!!「ガァァァァッ!」「ぐはぁっ!」


 その魔法は自爆覚悟で放たれた風の爆弾、至近距離で放たれた魔法によりキラーエイプは成す術もなく胸で魔法が弾ける。

 その威力は強くその余波で魔物達の死骸をも吹き飛ばし街道の横にある森の木まで揺らすことになった。


 近くで爆発したエアロボムはハンスにも少なからずダメージを残していた。

【属性魔法耐性】そのスキルを持っているハンスも、その風の衝撃まで防ぐことはできず。

 風の圧力でハンスの背の下には小さなクレーターが出来る程だった。

 その後も何とかフラフラだったが立ち上がれた。

 内臓にダメージがあったのか口からは血を吐き、爆心地に最も近かった左腕は様々な切傷が出来上がっていた。


「ぐはっ・・・ヒール!」


 回復魔法のヒールのお陰でゆっくりではあるがその傷は塞がってきている。

 今は余裕もなく、強い回復魔法を唱えることは出来ない。

 そう、あの威力のエアロボムをまともに喰らったキラーエイプがまだ生きているのだから。


 至近距離でエアロボムを喰らったキラーエイプはその胸に深い傷を受けた。

 その傷は普通の魔物なら絶命しても可笑しくないダメージだった。だが、口から血を吐き胸だけでなく腕や足、顔まで酷い怪我をしてもハンスを睨んでいた。

 キラーエイプは初めハンスを遊び感覚で追い始めた。

 だが今はこれ程のダメージを負わされ、完全にハンスを敵視ししていた。

 自分がこれ程のダメージを負ったことは初めてで、魔法一つで何メートルも吹き飛ばされたのだから。


「ガアァァァァァァァァァァッ!」


 咆哮、その咆哮に含まれた感情は怒り。

 その怒りに含まれているのは自分への怒りとハンスへの怒りだ。

 その怒りのお陰か瀕死にも関わらず、その痛みも感じてないような感覚へと陥った。


「あの傷で・・・まだ動けるとは・・・」


 ハンスの身体は【オートリジェネレーション】が作用し徐々に、嫌、見た目で分かるほどの回復力なのだが、全快にはまだでキラーエイプと戦う事に少しの不安を感じる。


 キラーエイプの咆哮が終わったタイミングで、両者とも今出来る範囲の最も早いスピードで接近する。

 キラーエイプは両手の毒爪で、ハンスはショートソードで・・・



 キラーエイプの動きは怒りのせいなのか単調になっていた。

 迫り来る毒爪を一本は避け、もう一本はショートソードで反らし難なくそのままキラーエイプの横を通り抜けることが出来、キラーエイプはハンスの姿を見失う。


 今だ!


 一度交差したお互いだが素早くハンスは振り返り、キラーエイプの背中にショートソードを渾身に振るう。


「グガァ!」


 その一降りはキラーエイプの自慢の筋肉の鎧を深く傷付ける事が出来たが、まだ倒れている様子は見せない。


 なんなんだ!このしぶとさは!


 キラーエイプはその攻撃でハンスの位置を知り、振り向き様に腕を振るってくる。


 その攻撃を危なげ無く避け、キラーエイプに対して何回も切りつけていく。

 渾身の攻撃で無くとも、少なからずその回数分のダメージは与えることが出来た。


「ガァ、ガァ、ガァッ・・・」


 そんな攻撃を何回も繰り返し、呼吸も荒くなりキラーエイプの勢いは徐々に失速していく。


「そろそろ終わりにさせてやる」


 キラーエイプとの距離はほぼ無く、とどめと言わんばかりに足を踏み込み力を入れショートソードを振るう。


「うわぁ!・・・ちょっ・・・」


 不意にハンスはキラーエイプ口から吐かれた大量の血を頭から被るような事態に陥ったが、渾身の力を込め振るったショートソードが止まる事はなかった。

 ショートソードの狙いは胸の大きな傷口だったが、ズレにズレキラーエイプの腹を切り裂いただけとなった。

 更に不意に来る重圧を受け・・・物理的に、ハンスはその重圧とともに地面へと倒れてしまった。


 どちゃり!


「ぐはっ!」


 ハンスの小さな体格に大きなキラーエイプがのし掛かり、地面へと倒れこむ。

 それ以降キラーエイプは動くことはなかった。


「・・・・・・」


「えっ、と・・・神格?」


 ※※※ハンス様、キラーエイプの生命は尽きている模様です※※※


「おっふ・・・ほら、最後にほら、えっと・・・そ、そう!スパット斬って、格好良く終わって最後にこう!お互いに死闘を繰り広げた好敵手同士のやり取りみたいな・・・」


 ※※※残念ですが、キラーエイプは最後に斬られるほんの少し前に生命が尽きた模様です※※※


「はぁ・・・で、俺はこの状態か・・・何だかなぁ・・・」


 ハンスが言うこの状態、即ち最後にキラーエイプが口から吐いた血を頭にモロに被り、その巨体で地面へと押し潰されている状態なのだが、なんともキラーエイプとの戦いは締まらない感じで終わってしまった。

 溜息をつきキラーエイプの巨体をアイテムボックスに入れることで脱出をしたハンスだったが。


「やっべ、エアロボムのせいでショートソードの片一方がどっかに飛んでいってるや・・・探さないと、その前にコイツらの片付けもか・・・全部をやるなら時間が掛かるか。でも、やらないわけにはいかないか」


 ハンスが倒した魔物達の片付け、無くなったショートソードの捜索、レインの救出とやることは多くあるのだが、優先されるのはレインの救出だ。だが、ラザト村には分身2号を向かわせているから取り敢えずは大丈夫だ。

 次に優先されるのは魔物達の片付け、もしこのまま放置しようものならその身体は腐り、疫病の原因になる恐れもあるし、街道の横にある森や草原から新たな魔物を誘き寄せる餌さとなるか、アンデット化してしまう恐れがある。

 最後にショートソードだがこれは時間がないなら無理して探す必要はない。

 また、新しいのを用意すれば良いのだから。


 もし、普通の人なら救出を優先させなければならなかっただろうが、ハンスは自分の能力にこれ程感謝した事はなかったかもしれない。


「クリーン」


 最後に浴びたドギツイ血の匂いや、今まで倒した魔物の体液を魔法で飛ばし、分身の3号から5号迄までつくりだす。

 合計四人により魔物の片付けと、エアロボムによりクレーターが出来た街道の修復それに、どっかに飛んでいったショートソードの回収を終わらせるハンス達。

 途中に神格を通じて2号の状況を聞いてみたが、まだ街道を爆進中でお目当ての馬車は確認出来ていないとのことだった。


 そして今回の戦闘を振り返ってみるといくつかの問題点を抱く事になった。

 まず一つ目は武器に関してだ。

 現段階はショートソードの二本がメインとも呼べる武器だが、今回みたいに片方が戦闘の途中で使えなくなったとしては戦闘に差し支えてしまう。

 新しいのを買うとしてもハンスはまだ10才とまだ身体は発展途上で、背もその年の平均よりはやや下くらい・・・。

 その低い背のお陰でショートソードもハンスに比べたらロングソード位には大きく見える。

 力はあるから現段階でロングソードを持てるかと聞かれれば持てる。

 だが、扱えるかと聞かれれば扱えない・・・足も手も長さが足りず鞘さえ抜けないし振っても横か縦にしか触れないなんて意味がない。

 そうなるとオーダーメイドか自作なのだが、オーダーメイドはバカ高いし自作なら材料が無いのでそう簡単には作れない。

 このショートソードだって鞘も柄も本職から見たらお粗末な代物であろう。


 そして2つ目の問題点は経験不足。

 何の経験?勿論魔物の情報や戦いかたについてだ。

 身体の能力に任せてほぼ我流の戦闘をしているが、所々危なっかしい場面が目立ってしまっていた。

 小さい頃から暇があった時には父オールドから手解きをしてもらっていたが、そこまでガッツリとはしてきていなかった。

 トーマスの手伝いや、神格の扱きや、ミトお祖母ちゃんの手伝いに、神格の扱きや、ローズの手伝いに、神格の扱きや、オールドの手伝いに、神格の扱きや、レインと遊んだり、神格の扱きと超多忙だったし。



 ※※※・・・・・・※※※


 いえ、ナニモナイデス・・・ハイ。

 神格を怒らせると地獄の各耐性アゲアケ地獄が始まる・・・本当に怖いのだ、ってか、スキルなのに自我があるって・・・。


 っと、それてしまったが問題点はこの二点、冒険者をやるなら解決しとかないといつか取り返しがつかなくなる。

 はぁ、気付いて良かったが大変だな・・・。


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