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復讐代行株式会社  作者: 結城 からく


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2/3

第2話

「にゅ、入社ってどういうことですか……?」


 戸惑う陽子に対し、通話相手は淡々と説明する。


「そのままの意味です。あなたは弊社のサービスを利用しました。その見返りとして入社いただかねばなりません」


「い、いきなりそんなこと言われても……報酬の話だってちゃんと聞いてませんし……」


「説明義務はありませんからね。詳しく確認しなかったあなたの責任です」


 通話相手は冷徹に応じる。

 その声音からは微塵の心の揺れも感じられない。


「それでは、また後ほどご連絡を差し上げます。これからよろしくお願いします」


「ちょ、ちょっと待って」


 陽子が止めようとするも、通話は一方的に切られた。

 周囲が校庭の死体で騒然とする中、陽子は泣きそうな顔になる。


「どうしよう……」


 結局、その日は休校になり、生徒は速やかに帰宅することになった。

 自宅に着いた陽子は、ポストからはみ出した封筒に気付く。

 宛て名は一切書いていない。

 中を確認すると、スマートフォンとメモ用紙が入っていた。

 メモ用紙には「今後はこの端末を使ってください」という一文が記されている。


「住所も知られちゃってるんだ……」


 陽子はその場に崩れそうになるも、なんとか耐えて家の中に入った。

 その後、陽子は昼食も夕食も食べずに自室に引きこもる。

 彼女は度重なる不安と恐怖、ストレスでろくに眠れずに朝を迎えた。

 午前七時になると同時に、支給されたスマートフォンが着信音を鳴らす。


 陽子は震える手で通話ボタンを押した。


「も、もしもし」


「おはようございます。さっそく仕事です。クラスメートの鬼島英子さんを殺してください」


「え……?」


 陽子は頭の中が真っ白になる。

 鬼島英子は、同じクラスの不良生徒だった。


「どうして鬼島さんを……」


「あなたが理由を知る必要はありません。成功報酬は十万円です。拒否したり失敗すれば、相応の代償を負っていただきます」


 そうして通話が切れる。

 陽子は目の前がぐにゃりと歪むような錯覚に襲われた。


「殺さないと代償って……」


 刹那、陽子がむせび泣いた。

 それからカッターナイフをポケットに仕舞うと、制服に着替えて自宅を飛び出す。

 自転車を全力で漕いで向かった先は鬼島英子の家だった。

 たまたま小学校、中学校ともに一緒で住所を知っていたのである。

 陽子がインターホンを連打すると、鬼島が迷惑そうに玄関を開けて顔を出した。


「……何」


「え、えっと……」


「当ててあげよっか。あたしがあの三人を殺したと思ってるんでしょ」


「え?」


「みんな疑っててさ、昨日からずっとメッセージで訊かれるんだよね。全然関係ないっつーの。まあいいけどさ」


 英子は自虐的に述べる。

 それから彼女は探るような目つきで尋ねた。


「それで、月永さんは何の用?」


「…………」


 息を呑む陽子は、ゆっくりとカッターナイフを取り出した。

 そして地面を見ながら告げる。


「じ、実はちょっと死んでほしくて……」


「は?」


「ごめんなさいっ!」


 陽子がカッターナイフを持って突進する。

 しかし、英子の蹴りが顔面に炸裂して吹っ飛ばされた。

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