現状では人数も少ないから義足の子供も何とか混ざって生きていけそうだ
さて、右足に木の棒義足をつけた男の子だがやはり普通の子に比べるとバランスをとるのが難しいのだろう、歩いてる時にフラフラフラとよろけることがよくある。
「んしょんしょ」
まったく危なっかしくて目が離せないよ。
そして何をしたいのかなとと様子を見ていたのだが2mくらいの比較的背の低いバナナから子どもたちがバナナを取って食べているのに混じりたいようだ。
「一緒にババナを食べたいのか?」
俺の問にこくこくうなずく子供。
「そっか、じゃあ一緒に行こうか」
「あい」
俺は子供の右側に立って手を取るとゆっくりと子供たちが集まってる場所へ一緒に歩いていく。
そして俺を見つけた子どもたちやフローレス人は俺の周りに集まってくる。
「まみさまー」
「あみあまー」
微妙に舌足らずなのか神様とちゃんと発音できないらしいがまあ別に問題はない。
「おう、この子にもバナナをわけてやってくれるか?」
「いーよー」
フローレス人がスルスルと木を登ってバナナを取って降りてきた。
「はい」
子供が差し出されたそれを嬉しそうに受け取り言った。
「あいあと」
みんなで立ったままバナナの皮をむいて食べている。
皮は適当に木の根っこに捨ててるけどまあ問題はないだろ。
お腹をすかせて泣く子供がおらずにみんなで笑いながらバナナを食べているのは良いことだ。
狩猟集団であればこの子を育てるのはおそらく難しかっただろう。
成人になった後、自分の食べ物は自分で確保することがでいなければ追い出されるのは集団全体に余裕がないからしょうがない。
そして義足では石の槍で鹿を狩るというのはほぼ不可能だと思う。
ここにはバナナと牡蠣というこの2つだけでほぼ栄養を確保できる優れた食料があるしその量も現状の集団の食事量を確保するに十分なだけはある。
もちろん成人まで生きられるかどうかはまだわからないけどな。
しかしジャワ島のグヌンパダン遺跡は21世紀から見て2万5千年ほど前につくられたものだが切り出した玄武岩が水平に積まれておりなおかつそれらは古代セメントによって接着されていた高さ95メートルのピラミッド型の巨石の遺構でそれを造るには、古代のエジプトと同程度の人数と技術を必要としたはずだがこれから先何万年の後には人間の大集団になっていくのだろうか?
このあたりには稲の野生種が普通に存在し、バナナという栄養的に優れたフルーツも牡蠣やシャコガイのような入手しやすいタンパク質も全て存在することを考えればそういった事ができてもおかしくはないのだけどな。
米があるということは農耕が行われていた可能性だってあるのだから。
「これからは栽培する米を増やしていくのは重要かもな」
世界的に見ればバナナは主食として十分通用するし、湿地に近づかないほうが安全でもあるのだが米はやはりいろいろ良い。
保存もきくし、焼いたり煮たりするだけでも美味しく食べられる穀物というのは珍しいのだ。
それに稲と言っても必ずしも水田のような水に溜まっている場所で育つとは限らず普通に土で育つ物も多い。
稲は水田や常に水がある湿地帯で育つ水稲系と畑や普通に土が表に出ている場所で育つ陸稲系に種としての差はなく、水稲の中でも降水量とそれによる水深などよって湛水型と流水型に別れ湛水型はさらに浅水型、深水型の他に水深が急に深くなった時に茎がそれに合わせて成長する浮稲型などもある。
稲というのは環境に適応して生き延びてきた生命力の強い植物でもあるわけだ。
陸稲系も麦などと同様に雨水に完全に依存する天水型と地下水流に依存する地下水型があるが基本的には天水の陸稲のほうが生えている面積は広い。
そりゃ湿地より乾燥した普通の土地のほうが広いんだから当たり前だが。
俺はサピエンスとフローレス人を集めて焼き畑の作物に陸稲を混ぜることを宣言した。
「米はうまいし焼き畑の作物に米を追加するぞ」
「わかりました、それが良いかと」
「わかったー」
まあ、ヤムイモやタロ芋と比べて必要な栄養も多いのであんまり大々的には行えないけどな。
湿地を利用して水田のようなものをいずれは作りたいとも思うけど。
今は刈り取った稲の穂を一部をとっておいて焼き畑に穴をほってその底に埋めてそれが芽を出すのを待つというやり方でも十分だろう。
農業のために一日の生活をほとんど支配されてしまうのも本末転倒だしな。




