子どもたちの元気な姿というのはやはり良いものだ
さて、なんだかんだで時は進んでサピエンスにもフローレス人にもちょこちょこ子供が生まれて大きくなっていっている。
子供が乳離れをした後に最初に食べるのはやはりフルーツだ。
「バナナおいし~」
「おいしー」
ちょこんと座りながら笑顔でバナナを食べているが、サピエンスもフローレス人も子供の頃はたいして変わらないから一緒になってバナナなどのフルーツを食べている。
そしてあちこち走り回っては眠くなったら寝るという実に子供らしい生活をしている。
「わーい」
「まってーまってー」
俺はそんな様子を見て思う。
「子どもたちが元気に走り回る姿というのはやはりいいものだな」
まあフローレス人はおとなになっても小さいからあんまり見分けがつかないけど。
そして割と自由に振る舞っているフローレス人は時々自分たちだけで、どこかへでかけていたが、どうやら他の洞窟のフローレス人たちと交わって行動をしたりもしていたようだ。
彼等にも群れによって縄張りがあるのは食料を巡って大きな争いをおこさないためだが、よそのフローレス人たちにもバナナの吸い芽を切り取って栽培する方法を教えて来たらしい。
そして食べるものが十分にあるということがわかれば、こちらにやってくる男女のフローレス人もポツポツ出てきたらしいな。
俺には見分けはつかないんだが。
「バナナふやすー」
「バナナふやすー」
木を焼いて場所を確保しバナナを新たに栽培してみんなで食べられるようにしているようだが、このあたりはチンパンジーにもにているな。
チンパンジーの集団は離合集散性で、群れの仲間は必要十分な食料が得られる場合は大集合して食事をするし、おいしい食べ物が十分ある場合は群れの数が60匹にもなる場合もあるらしいが、食料が少なくなった場合は離散して数匹のグループや母子だけで行動することもある。
そしてこれは縄文人なども同じような感じだったらしい。
また、チンパンジーは強いオスのリーダーを中心にした社会的な順位序列はあるがそのオスが群れの動きなどをコントロールすることは出来ず、長年生きた年寄りは別の意味で頼られているらしいな。
チンパンジーの集団はリーダーを頂点にして厳しい序列があり、序列の高いオスは交尾をする相手のメスの獲得や食料の獲得の優先権をなど群れで生きていくうえで有利な様々の特典を得られる。
ライオンなどのハーレム性の動物だとハーレムに選ばれなかったオスは餓死するしかないが、チンパンジにとってはフルーツや木の若芽や葉っぱなど潤沢な食料があるため餓死はしない。
が序列が下のものはメスとの交尾の権利を一生与えられない場合もあるので、チンパンジーのオスたちは、自分の群れの中での序列を高めるために必死の努力をするのだな。
チンパンジーのオスは生まれてから死ぬまで同じ集団にとどまりそこで行きていくしかないからだが。
メスは大人になるとほかの群れに移っていき遺伝子的に近すぎる相手との子供をつくらないようにしているらしい。
そしてチンパンジーのリーダーとなるためには、力が強いだけではだめで、知恵と人望もなければならなくて、年をとって知恵をつけたものを味方につけることは大事なことで、リーダーと長老によって群れは維持されるわけだ。
なのでフローレス人も同じようにある程度成長した女性は他の群れのところへ行き、他の群れから瀬尾町した女性がやってくるわけだが移動した先で食べるものに困ることもあるから理解している範囲で食料を増やす方法を教えているようだな。
「まあ、いいことじゃないか、食べ物に苦労するのは辛いからな」
そして膝から先のない子供だが現状は母親が抱きかかえて育児をしている。
だが大きくなればそうも行かない。
「お前さんの子供が木に登ったりするのは難しい。
だから自分で食べ物をとって来れるようにならないといけないとは言わない。
そのかわり座ったままでも出来ることをいろいろ覚えさせような。
まだまだ先のことではあるが」
子供の母親は真剣にうなずく。
「はい、神さまどうかよろしくおねがいします」
幸い食料には余裕があり時間にも余裕はある。
義足のようなものをつくって補助すれば歩けるようにすることも不可能ではないだろうけど、健常者と同じように木に登ったりするのは難しいだろう。
ならば魚をとるための網や釣り針、農作業や木工に必要な石器作りなど生活していく上に必要なものを作れるようにしていこう。
それくらいの余裕はあるわけだしな。




