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多分5万年くらい前のスンダランドに転移してしまったが結構大変な件  作者: 水源


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右足の膝から先がない子供が生まれてしまったがどうしたものか

 さて、子供が生まれてもすべてが無事に生まれてくるわけではない。


 生まれる前に子供が死んでしまっている死産の場合もあるし、生きて生まれて来ても産声をあげずにすぐ死んでしまう場合もある。


 なるべくそうならないように環境を整えようとしても原始時代ではやはり限度はあるから4人に一人くらいはそういった状態になってしまう。


 そしてあまりないことだが子供が先天性四肢切断という症状を持って生まれてくることもある。


 要するに生まれついて手足の一部や全部がない状態でこどもが生まれてきてしまうものだが、この症状自体は珍しいものではあるがそれなりに数としては存在している。


 特に東南アジアの島嶼部に置いては血が濃い事もあってそういった先天性の奇形も多かったのだろう。


 そして俺たちの集団でも一人の女性がうんだ子供が右足の膝から先のない子供だった。


「か、神様、どうしたら……どうしたらいいのですか?」


 そう言われてもこの時代で身体に欠損人間が生きていくのは難しいのは事実だ。


「とりあえず他の子供と同じように育ててみよう。

 だが長生きはできない可能性は高いと思う」


 女性はうなだれていった。


「そう……ですか」


「後はこの子の強さ次第だ」


「はい……」


 残念だが俺には足を欠損している子供を普通の子供と同じようにするような能力はないし、足がない子は移動に不便するだろうから長生きするのはやはり難しいとは思う。


 本当の神様なら手足を生やすようなことも出来るのかもしれないけどな。


「長く生きられるかどうかはその子次第だ。

 なるべく面倒は見てやってくれ」


「はい……」


 うなだれている女性は可愛そうだし彼女になにか罪が有ったわけでもない。


 ただの確率の問題だ。


 オーストロネシアのヤップ島の神話ではこういった話がある。


 最初の夫婦から産まれた最初の子どもはウナギだったので、井戸に捨てられてしまった。


 そしてその次に産まれた男の子はやんちゃ坊主で、そのウナギを捕まえて三つに切って地面に埋めてしまった。


 そのウナギが埋められた場所からそれぞれ頭からはココヤシが、胴体からはバナナが、尻尾からはタロイモが芽を出して育ちそれを食べるようになったと。


 だからココヤシの殻には顔があり、バナナの実はウナギの胴体のような形で、タロイモの芽はウナギの尻尾のような形をしているのだと。


 日本神話のヒルコもそうだが、最初の男女がうんだ最初の子供が異形の肉塊だったりうなぎやシャコガイだったりひょうたんだったりする例は東南アジアや東アジアの神話において多く見られるものだ。


 封神演義で有名になった伏羲・女咼も最初に生んだ子は一塊の肉の球であったとされる。


 これは流産が多かったことを示しているのか、奇形が多かったことをしめしているのかはわからないが、昔からそういったことは多かったということなのだろう。


「やはりどうにもならないこともあるということか……」


 若い女性で流産が起るのは染色体異常によるものが多くて確率は10%から20%の間らしい。


 つまり10人から5人に一人は流産が起るということだからこういう神話が残っても仕方ないし、それをどうにかするというのは事実上無理なことでもある。


 スンダランドにおける狩猟漁猟果実採取焼畑農耕の生活というのはかなり恵まれた環境であるはずだが、それでも運不運の差というものは個人では大きく分かれるものらしい。


「何とか育ててやりたいところではあるんだが……」


 当然のことだが狩猟による移動生活をしている人類では病気怪我などで動けなくなったものはそのまま放置されて死んでいくのが普通だから、こういった先天的な奇形の子供を養う余裕はなく捨てられるなり殺されるなりするのが普通だったろう。


 だが俺達の集団については食料の余裕が無いわけではないし、大きく移動をする必要も今のところはない。


 とはいえ自力で食料を確保できないとなると周りからの不満も出るだろうか……。


 ただし、人間はもともとチンパンジーやボノボと共通の祖先のなかの小規模な集団が孤立して存在していたり、大規模な災害で大きく人口を減らしたりしたことで遺伝的なボトルネックに直面し、近親交配や逆に主として違うと認識される他の人類例えばネアンデルタール人やデニソワ人などとの生殖行為を行わなればならずそれにより奇形の確率が高まったが このような障害者の子孫が生まれる確率が高い状況では、生存に最適な個体とは、必ずしも肉体的に最強最高の遺伝子を持った個体ではなく、障害を持った子供を見捨てずに生き伸びさせるために子を助けることができる個体であったともいわれている。


 縄文人は狩猟で怪我をした人間や犬を普通の人間と同等に扱ったというが、ある程度余裕がある人間集団は子供に不具が有ってもその子を助けてくれる配偶者を望んだようだ。


 移動狩猟や移動遊牧民族はそういった余裕がないようではあるんで身体能力の高さを求める事が多いようではあるけどな。


「ある程度大きくなったら木で義足をつくってみるか。

 うまくいくかどうかはわからないが全く無いよりはいいだろう」


 問題はこの時代の木工道具で作れるかどうかではあるんだけどな。

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