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多分5万年くらい前のスンダランドに転移してしまったが結構大変な件  作者: 水源


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そういやこのあたりはスパイスの宝庫だった

 さて、とりあえずヒユは簡単に手に入るし、繁殖力も強い上に種は乾燥させればバナナや牡蠣と違って結構長期間保管は可能なはずだが、美味しくないというのは食べ物としては結構致命的な問題だ。


「うーむ今のところは別にヒユを無理して食べないといけないほど食べ物に困ってはいないんだけど、食べられるものをほおって置くのももったいないよな」


 フローレス人が首を傾げていう。


「もったいないー?」


「ああ、せっかくなら美味しく食べられるようにしたいんだ」


「したーい」


「たべたーい」


 しかしながらよく考えてみるとバナナは完全食品の一つでタンパク質や脂質が不足している以外ではほとんどの栄養素を補完できるから主食としてはかなり理想的な食べ物だ。


 炭水化物・ビタミン・食物繊維・ミネラルなどのバランスが良いので後は海のミルクと言われる牡蠣をあわせて食べれば大体の栄養素は補えるのだが、それを考えるとスンダランドという土地は非常に恵まれた場所だと言えるだろう。


 最もファイトケミカルのたぐいはバナナより他のフルーツのほうが多いものもあるけどな。


 とはいえ雨季対策や何らかの災害に対する備えはしておいたほうがいいだろう。


 例えば地震や火山の噴火などが起きたりするかもしれない。


 この付近で起こった大災害でよく知られたところではトバカタストロフやスマトラ地震などが起きているようにこのあたりは火山帯で地震も多い。


 スマトラとジャワ島の間のスンダ海峡に位置するクラカタウ火山は21世紀から見れば6万年ほど前に大爆発を起こしていたはずだし、西暦535年の大噴火でもこの頃のジャワ島西部にはカラタン文明と呼ばれた高度な文明が栄えていたが火山の爆発によって姿を消しインドネシアの文明に歴史的な断絶を引き起こしたと言われているしな。


「というわけでヒユの種をすりつぶして粉に出来るようにするか」


「どうやってー?」


「そのための道具を作るのさ」


 穀物などを粉にするための道具は石皿と石を組み合わせたものが始まりでそれが発達したものが石臼だが、石臼と言ってもいろいろ種類はあるが構造的に単純なのは鞍型臼(サドルカーン)だな。


 大きくて平らな下石と、下石の幅より少し長い棒状の上石を組み合わせたもので、下石の上に少量の穀物などを載せ、上石の棒を前後に動かして挽き潰すものだ。


 効率は良くないが制作はそこまで難しくないから最も古くから世界中で作られていて製粉作業に使われたものだ。


 一般的には回転式の円形臼(ロータリーカーン)のほうが有名だがこれを作るのは意外と大変だ。


 もっとも鞍型臼での作業は能率は悪いから大量の製粉には向かないが、式の臼を作るのは大変などで意外と21世紀でも多くの地域で使われていたはずではある。


「取り合えす砥石を使って石を磨いていくかね」


「?」


 大きめの比較的平らな石を探してそれを砂岩を使ってまずは荒く磨き、凝灰岩で仕上げの磨きを入れたりする。


「よし平らになったな」


「なったー」


「なったー」


 金属器ではなくとも複数の砥石を用いて石器に効率よく磨きを入れることは出来るのだ。


 同じように長めで棒状の石を探すのだがなかなか見つからない。


「うーん、よく考えたらこっちのほうが探すのが難しいか」


 適当な大きめの石を平らにしつつ台形にして上をつかめるようにしてみるか。


「まあこんな感じかな」


 これでも石皿と石の組わせよりはだいぶ楽にはなるはずなのだが。


「さて、またヒユを探しに行くかね」


「いくー」


「ではいきましょうか」


 とみんなでヒユを探しに行く途中でふと思い出した。


 このあたりはスパイスの宝庫だから生姜やコショウとかウコンとか探せばありそうな気もする。


 あと、塩を使えば魚醤や塩辛を作れるんじゃなかろうか。


「どれか一つでもあるといいんだけどな」


 そしてヒユを探しながら生姜っぽい植物を見つけた。


「お、これはもしかして」


 引っこ抜いてみたらやっぱり生姜だった、まあ小さいけどな。


「これはいいものが手に入ったかもしれないぞ」


 ジャワウコンっぽいやつとかクローブっぽい木とかカルダモンっぽい草も探せば出てきたよ。


 香辛料じゃないけどパンノキの実も見つかった。


 ほんとこのあたりは食料の宝庫だな。


「やれやれ、なんでこんな基本的なことをわすれていたかね」


 生姜を砥石ですりおろして魚とともに煮れば臭みが消えてとても食べやすくなった。


「おいしー」


「あ、本当食べやすくなりましたね」


「ああ、そうだな」


 生姜というのはなかなか馬鹿にできない香辛料だよな。


 そしてヒユの種をすりつぶして粉にして熱した石の上でクッキーのように焼くとやっぱりうまかった。


「おいしー」


「意外と美味しいものですね」


「そうなんだよな不思議なんだが」


 粥では美味しくなくても粉にしてクッキーなどのように焼いて食べると美味しくなるというのは不思議だがそういうものなのだからしょうがない。


 しかし、美味しさの追求というのは贅沢にもつながるから危なくもあるのだよな。

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