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多分5万年くらい前のスンダランドに転移してしまったが結構大変な件  作者: 水源


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不足してもいないものを奪い合うのは不毛だけど備えはしておかないとな

 さて、子どもたちも徐々に大きくなってきて人も結構増えてきた。


「うわーん、おにちゃんがいっぱいばななとったー」


「だって、俺のほうが大きいんだからその分おおくなるだろ」


 どうやら兄弟がバナナの分け方で喧嘩してるらしい。


「こらこら、喧嘩はだめだぞ。

 お兄ちゃんも弟を泣かしたらだめだろ」


「だ、だって……」


 どうやら二人で食べるには一房では足りないみたいだな。


「もらった分が足りない時は奪い合うんじゃなくって新しくとってもらうようにするんだぞ、えーっと」


 俺はフローレス人が近くにいないかあたりを見回した。


 そしてなんだか楽しそうに踊ってるフローレス人に声を掛ける。


「すまん、バナナをこの子達に取ってやってくれないか」


「いーよー」


 スルスルと木を上り下りするフローレス人はやっぱり流石だよな。


「はい、とってきたよ」


「ありがとな、助かる」


 フローレス人は俺たちが何かを頼んだ時に楽しそうに応じてくれる。


 無論これは彼等に労働を頼んでるわけだが、彼等にとってそれは何らかの新しいこと楽しいことにつながることが多いことから、その期待を含んでるのだろう。


「ほら、ふたりともお腹いっぱいになるまでたべるといいぞ」


 新しいバナナの房を受け取った兄弟はお互いにあやまりあった。


「ごめんな、いっしょにたべようぜ」


「うん、一緒に食べよ」


 食べ物というのは多すぎても腐ってしまうし、少ないと奪い合いになるし難しいもんだよな。


 それに体の大きさが違ってその分食べる量が違っても同じ量を分けるのは平等であっても公正とは言えないのが難しいところだ。


 ただ、現状ではこの集団を養えるだけの食料は十分にある。


 バナナと芋を中心にした焼き畑、イチジクやマンゴーなどの自然のトロピカルフルーツ。


 岩に張り付いている岩ガキやシャコガイ、釣りや網で取る魚たち、落とし穴などの罠で捕まえる水鹿や猪などなど。


 セキショクヤケイの卵を食べるにはちょっとまだ数が少ないすぎるけど、彼等の肉や卵もいずれ食べられるようになるはずだ。

 ただ長期保存できる食料というのは今のところないのだよな。


 豆とか穀物とかナッツとかドングリとかで熱帯アジア原産と言うと稲がまず思い浮かぶが……もうちょっと湿ったとこでないとないのかもしれない。


「稲かヒユがあると貯蔵は結構楽になるはずなんだがな……脱穀や製粉の手間は増えるけど」


 ちなみにヒユは葉鶏頭(はげいとう)などとも呼ばれているアマランサスの一種でごまのような小粒な種は結構昔から食べられてるが基本的には救荒植物扱いだ。


 仲間としてはほうれん草やとんぶりのもとであるホウキギ、後は甜菜(サトウダイコン)もそうだな。


 ヒユは栄養価的には優れてるんだが稗などと同じで稲と違い味がない。


 というより稲というのは麻薬的にうまい恐ろしい穀物なのだが。


 ヒユは葉っぱも食えるし種も食えるというのは良いことであるんだけどな。


「そろそろ本格的に探してみるか」


「さがすーなにをー?」


 待ってましたとばかりにフローレス人たちが目を輝かせる。


「長めに保存できる食べ物さ」


「さがすー」


「さがすー」


「では探してみましょう」


 俺たちは子育てしている者たちと別れて新たな食料になるであろうヒユを探す。


 まあ、見た目結構はでなおかつ繁殖力も強いので見つけるのは難しくない。


「お、あったあった」


 根本をナイフで刈って、暇な時に竹を編んで作った背負籠にそれを放り込む。


「これー?」


「ああ、これだ、みんなもとってくれな」


「わかったー」


「わかりました」


 ということで枝ごとヒユを取ってきた。


「葉っぱはさっそく煮て食べるか、種は乾かしてくおう」


 ヒユの葉っぱは以外にうまかった、21世紀の日本ではあんまり食べられていないが中国料理では割と普通に炒めものなどにも使われてるらしいし、ヨーロッパではサラダにされてたりもするはずだ。


 でもフローレス人にはいまいちだ。


「おいしくなーい」


「おいしくなーい」


 サピエンスには案外評判がいい。


「そうかな?結構いいと思うけど」


 このあたりは感性の差なのかな、うーむ。


 で種を乾燥させた後でそれを粥にしてみたのだが……。


「おいしくなーい!」


「うむ、たしかに美味くはないな」


「そうですね、これは流石に」


 種の粥は満場一致でまずいと判断された。


 やはり普通に粥にしてうまい稲というのは特別な穀物なのだな。


 そもそも人間が豆や麦を食べるようになったのは環境変化で食えるものがなくなってしまったから仕方なくという側面が強くて、人間は好きでこれらを食べはじめたわけではなかったはずだしな。


 ナッツのたぐいはそうでもないみたいだけど、フルーツや骨髄といったものに比べれば穀物は大体は美味しくはない。


「まあ、それでもいざという時に備えて食えるようになんか方法を考えよう」


 手間はかかるが粉末にして水でこねて焼けばそこそこ美味しくなるはずなんだが、ヒユの種を製粉するための方法や道具を考えてつくらんとだめかな。

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