便利さを追求しすぎる必要はないけど土器の焼き方を改良するくらいはしようか
さて、縄文式土器は野焼きなので熱効率が悪くて焼成の温度が低い。
なので厚くつくっても結構もろくてすぐ割れる。
”ぱりん”
そんなことを考えていたらサピエンスが床においた時に土器を割ってしまった。
「あ」
「あらら、また割れたか」
割ったサピエンスがなにかすまなそうにしているがもともともろくて割れやすいものだからしょうがない。
「す、すみません」
「いや、しょうがないさ、焼き方を少し考えないといけないな」
土器は水の貯蔵や食べ物を煮ることを簡単にしてくれる画期的な発明であるはずだが移動生活をしている間は貯蔵のメリットより移動時にその重さで負担になるというデメリットも有ったから、水袋や煮るために使う鍋は動物の内臓や皮を使っていたはずだ。
紙でも中に水が入っていれば火にかけても燃えないように動物の内臓や皮の中に水や血肉を入れて煮ることは後々の時代でも遊牧民は行っている。
だがある程度、定住や貯蔵が出来るようになれば土器があったほうが全然便利だ。
動物の内臓や皮を使って鍋にするのにはそれを吊るすための工夫も必要だから焼いて食べることに比べれば手間がかかるし、取り分けるのも大変だからからあまり煮ることは行われなかった可能性も高い。
衣服としては、ココナッツファイバーの縄とバナナの葉っぱでもとりあえずは通気性と皮膚の保護には十分だが出来れば麻はほしいな。
とはいっても熱帯にはマニラ麻という麻とは別の種類の麻のような植物しかないはずだが。
「うーん、やっぱりもうちょっと丈夫で軽い土器があったほうがいいか」
フローレス人達が頷く。
「いー」
「いー」
そして何かワクワクした目で俺を見てくるフローレス人とサピエンス達。
「じゃあ、うまく行くかはわからないけどちょっと焼き方を変えてみよう」
「みよー」
「はい、やってみましょう」
いや、あんまり期待されても困るんだけどな。
縄文式や弥生式その後の須恵器や土師器の大きな違いは焼成の方法による温度の差なわけだがよく問題になるのは”窯を作るための焼成レンガを焼くための窯をどうやって作るか”なんてことなんだが実は粘土をそのまま窯にしても一応出来る。
のだがいきなりそれは難易度が高いので弥生式の灰や土で覆って熱を逃がさない方法を使おうか。
幸い灰はだいぶ溜まってるし。
「じゃあいつもどうり粘土を取りに行くか」
「いこー」
「はい、行きましょう」
川の流れが緩やかな場所の川岸に溜まってる粘土を斜めに切った竹筒を差し込んで粘土を採取する。
最近は割れた土器を石斧で更に細かく砕いて、粘土に加えることで水分の入っていない粘土の割合を増やすようにしている。
土器を少し薄めにつくって一月ぐらいじっくり時間を書けて乾燥させ、その間に灰を時の中に集めて蓄えておく。
乾燥させてる間は干潮のときの砂浜にちょっと大きめの岩を置いてそこに牡蠣が張り付いて採取しやすくなるようにしておいたり、土器に海水を入れてそれを天日で蒸発させて、またそこに海水を入れてを繰り返して塩分濃度を高めて塩を吹かせたりしたりなどもしていた。
で、土器が十分に乾燥したら焼成に入る。
今回は先ずは土器を地面において、その間や上に薪を入れてココナッツファイバーを敷き詰めてその上に灰をかける。
「これで大丈夫なのですか?」
「ああ、多分大丈夫なはずだ」
「はずだー」
もちろん完全に灰で覆ってしまうと空気が入らないのである程度ココナッツファイバーが見えるようにしておいて火をつけると煙がもうもうと湧き上がる。
灰というのは保温性が高くなおかつ一気に火が広がらずにじわじわとココナッツファイバーや薪が焼けていくので、割れたりもしにくい……はず。
地面についている場所は熱が伝わりにくくはどうしてもなるけどな。
灰によって熱が逃げないようになりつつもそこまで急激に温度が上がらないようにするのは大変ではあるが、一度焼いてしまえば後は薪やココナッツファイバーが全部燃え尽きて冷えるのを待つだけなのでその間に食事などを済ませてしまう
やがて煙も収まって熱もおさまった。
「さて、うまく行ったかな?」
取り出してみるとやはりちゃんと焼けていた。
「できたー」
「できたー」
「上手く出来てよかったですね」
「ああ、長い時間かけてつくった土器が焼いた時に割れるのはやっぱ悲しいからな」
どうやら覆い焼きがうまく行ったようでよかった。
これで土器の厚さが薄くでき、なおかつ固く丈夫になれば割れにくくなるはずだ。
土や粘土を使った原始的な窯もつくったほうがいいかもしれないが、磨製石器で穴をほったりして窯を作るのはそれはそれで大変なんだよな。
時間はたくさんあるからのんびりやればいいと思うけど。




