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自作の異世界の味はどうですか?  作者: ベータ版
              [現実世界3]

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18話 解き放たれる怪奇鳥



 「例のあれ?って...」


 皆目検討もつかないが、流れからしてノートでないことは確実だろう。では、一体なんだというんだ。


 「……」


悩むだけ時間の無駄だと割り切って、仕方なく別のことに意識を向けることにした。


 「そういえば、黒崎さんのペルーシュの色、僕のと少し違ったな」


 確かにパッと見は家にある僕のペルーシュと色が酷似していたがどうもあの時「純色の赤」というよりは少しマイルドにした、いうならば「紅色」のような色だったのだ。


 「嬉しいような、嬉しくないような...」


 僕は赤が好きじゃない。赤はよく目立つし、血の色を連想させるからだ。しかし、黒崎さんの持っているペルーシュと似ている色だと知った今。なんだか、複雑な気分だ。


「ん? 待てよ。色が違うってことは何か意味があるのかも」


 ーーノートの特性。ーー赤。ーー火。ーー...。やめよう、絶対この先良い方向に向かう気がしない。死に方とかそんなの全く考えたくもないし。少し視点を変えて、ルールはどうだ。何か色によってルールが...そこまで考えて「あっ」と潤は1つ思い出す。


 なぜ彼女のノートは白紙まっさらだったのか。


 突然、異世界を執筆しろだのなんだの言われて困惑もするだろう。それに加えてあの怪しさ満天の怪奇鳥とのやりとりだ。物語が書けていなくたって仕方ない。ただ、妙じゃないか?ノートの端から端まで全部真っ白なんて。ルールでさえ書いていなかったあのノート。まるで購買で買ってきたような都合の良いノート。


 本当のノートは隠しているのか、はたまた本当に最初から何も書いていなかったのか。それとも...。


 いや、彼女を疑うなんてどうかしている。やめだ、やめ。新調したような新しいノートが彼女には届いた、それでいいじゃないか。


 それより、彼女の家にお邪魔することになるなんてこんな幸運なことが起こるとは夢にも思わなかった。少しだけ仲良くさせてもらってもバチは当たるまい。なんせ彼女の「手助け」が目的でいく訳であり、決して遊びにいく訳ではないのだから。


 頭を切り替えて、


 「よし! まず帰って訊問だな、色々聞き出してやる」


 そんな誰に言うでもない独り言を呟いた瞬間に、彼女の謎めいた置き土産の意味がようやくしてわかった。まさに雷に打たれたような感覚というのはまさにこのことだろう。

 

 「例のアレってぬいぐるみか! ってやばっ! おばあちゃんが捨てちゃうこともありえるな」


 駆け足で帰宅後、玄関の戸を勢いよく開けて、当初ゴミ処理場で火葬してもらおうと計画していたダンボールがまだあるかと肝を冷やしながら階段を駆け抜けた。そうしてようやく心落ち着くマイルーム前まで到着し、ガムテープがぐるぐる巻きにして梱包こんぽうされた「例のアレ」は無事置かれていた。


 「助かった〜」


 謎を解く唯一の手がかりであるオウムに迫るべくダンボールを仕方なく部屋の中に入れ、封印の解除へと着手した。


 「まさか、これをまた開けることになるとは...」


 ガムテープの端を一気にビリビリっと剥がすと、高周波の耳障りなリズムが早速 耳に入った。


 「棉くれ、棉くれ、こんにちは。異世界万歳、こんばんわ。次の冒険3日目で。そろそろ慣れたか、おバカさん」


 そのお粗末な歌声は間違いなく昨日のものと同様であると確信したところで腹立たしさを感じさせるパラメーターが30%上昇した。


主人あるじをバカにするなんていい身分だな。まあ、いい。お前には山ほど聞きたいことがあるんだ」


「棉くれ、棉くれ、こんにちは。御免蒙ごめんこうむる、こんばんわ。次の情報欲しいなら。すぐにモコモコのわた、差し出しな」


「ぐっ、燃やすぞ」


「棉くれ、棉くれ、こんにちは。脅迫無駄骨、こんばんわ。次の情報欲しいなら。すぐにモコモコのわた、差し出しな」


「いいのか、いいんだな? 本当に燃やしちゃうからな。言うなら今のうちだぞ」


「棉くれ、棉くれ、こんにちは。防炎素材、お疲れ様。次の情報欲しいなら。すぐにモコモコのわた、差し出しな」


「ほんと、いちいち腹たつな。わかった、今から買ってきてやるからちょっと待ってろ」




重い腰を浮かし、仕方なく情報のために街へ繰り出す格好に着替えている途中でインターホンが鳴った。

少し気になったが下にはおばあちゃんがいるし別に大丈夫だろうと鼻歌交じりに着替えを進行させていると階段を登ってくる2つの足音が聞こえ、硬直した。


「なんだ、なんだ」


そうして、僕の部屋の扉は開けられ、おばあちゃんが顔を見せた。


「お友達みたいよ」


「いや、待って、待って。誰が?」


「さあ、入って入って」


「へ?」


そこに立っていたのは全く予想もしていない人物。つい数十分前に会話していた人物、「黒崎さん」だった。


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