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自作の異世界の味はどうですか?  作者: ベータ版
              [ドリーム・ワールド2]

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14話 城内のバケモノ


 「お初にお目にかかります。わたくしデア トイフェルと申します」

 マジシャンがかぶるようなチェック柄の帽子を執事は無駄のない仕草で下ろすと、その場で静かにひざまづいた。


 「随分仰々しいわね。まるで本物の執事みたいね」


 「フフッ何をおっしゃるのですか。私の職務は後にも先にも執事ですよ、それもあなた専属のです」


 「そうやってしらばっくれても、後でボロが出るわよ?」


 「お嬢様、疑心暗鬼になるのも無理はありませんがこれ以上の詮索せんさくはおやめください」


 「もういいわよ、この部屋からさっさと出てって」

 

 「はい、では失礼いたします。あっ、そうでした。もし、わたくしを必要とするならそちらにあるベルをお鳴らしください、すぐに駆けつけますので」


 「安心して、トイフェルさん。流麗なベルの音を聞くことはないと思うわよ」


 「そうですか、それは残念ですね、フフッ」


 不敵な笑みをこぼし退室する執事はまるで何かを企むいたずら好きの悪魔のような表情を見せた。


 「なんなのよ、アイツ。絶対思い通りにはさせないんだから。.....絶対に」


 まばゆい白さがどこか神聖に感じさせる天蓋てんがいがベッドを覆い、化粧台に鏡があるだけの簡素な部屋で彼女は独りごちる。


 どうすればこのものたがりが終わるのか、そんなことはバカでもわかる話だ。正義が悪を裁く。昔からどんな物語もそう決められている。今回で言えば、正義はあの勇者。悪はトイフェル。これで間違いない。現段階でのキャストを考えれば、これが一番自然な流れだ。


 しかし、彼はあっけなく殺された。そう、いとも簡単に。そして、一緒にいた彼女もまた椅子やテーブルを投げつけて、抵抗を見せたもののすぐに彼のあとを追った。一体このあとどうなるというのか、そして私は一体この先どうすればいいのか、皆目検討もつかない。

やれることといえば、やつの邪魔をするくらいのもの。


 思い立ったように彼女はベッドから降りると、ドアのような開閉型の窓へと迷う様子もなく一直線に向かった。


 窓の取っ手に両手をかけ、外へと開くと前回とはまるで違った景色がそこにはあった。

 真っ暗とは異なる眩しい風景。新鮮なそれでいてどこか懐かしい匂い。耳から通り抜けるいつまでも聞いていたくなるような暖かく賑やかな演奏。


 今回はきっと倒してくれるわよね。小さく届くはずもない遠くの勇者に向けてつぶやいた。


 一方で期待されているとも知らず、再びこの世界に召喚されることに成功した勇者はゾクゾクとした嫌な感じが全身を駆け抜け、言葉を失っていた。


 「ん.....あれ?私.....なんでこんなところに」


 前回の記憶を頼りに考えると、まずありえないここにいるはずのない人間の声が耳に届き、目をいっぱいに見開く。


 「お、おいっ、アルマ。そこにいるのか?」


 「うん。えっと.....その声、潤?」


 「そうだ。なんで、生きて....いや今はそんなことどうでもいい。とにかく。この場所をすぐに離れるんだ」


 「了解」


 大きな丸テーブルを支えになんとか立ち上がった二人は机を挟みお互いの顔をようやく確かめた。


 「よかった......」


 アルマの無事な姿に、涙腺が緩む。ポツリとこぼれ落ちた一滴いってきの涙は右頬をツッーと滑り顎から落ちた。なぜ彼女は殺されたはずなのに生きているのか。そんな疑問はいつのまにか置き去りにされ、ただただ嬉々としてまた彼女に会えたことが嬉しかった。


 「どっちにいく?」


 あどけない表情でアルマが階段を指差し、こちらに指示をあおぐ。

 慌てて涙をふき取り、彼女に悟られないように済ました顔で瞬時に熟考する。上か下か、どちらに行くべきが正解か。当然、お姫様との接触がこのストーリーを終わらす一番の近道だということを考えれば上に行くべきなのだろうが、今いの一番に考えなきゃいけないのはそっちじゃない。


 「下だ、アルマ」


 考えをすぐにまとめ、あまり時間を置くことなく判断すると、ここにきた時にも使った螺旋状の階段へと足を向ける。

 念のため、アルマが付いてきていることを確認しようと振り向くと、恐るべき光景が目に入りどうするべきか考える時間もなかったが故に喉が枯れるほどの大声でアルマに叫んでいた。


 「そこから、飛べぇぇぇぇ」


 アルマの真上に飾られたシャンデリアは突然落下し、猛スピードでアルマを襲った。それはただのシャンデリアではない。シャンデリアはアルマに接近する間に奇怪な形に一部を変化させると、何もかもを飲み込んでしまえるほどの巨大な口へと変わる。

 一瞬の間に見えた怪物の口には人を簡単に食いちぎる、否喰い殺せるほどの鋭い牙がサメのように生えそろっていて、人の力でどうこうできるレベルをはるかに超えていることは一目瞭然だった。

 災害とさえ呼べるソレはもうアルマと目と鼻の先まで迫り、かぶりつこうと巨大な口をさらに拡張させた。

 アルマが危ない。そう思いながらもあまりに唐突な事故に全く体は反応できず、轟音が思いっきり耳を叩いた。


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