13恋~笑う門には福来たる~
家に着くとスマホが鳴る。
「ん? 百合からLIMEだ......」
百:『今日は楽しかったね! 海といえば夏、夏といえば夏祭り! っていうことで今度夏祭りみんなで一緒に行こ~』
「夏祭りか......行きたいな」
夏祭りはどれぐらい行っていないのだろうか、そのぐらい夏祭りは久しぶりだ。
「『いいよ、夏祭り楽しみにしてるね』っと送信......」
送信して数秒後、返事が帰ってくる。
そこにはこう書いてあった。
百:『了解でーす! で、あと冬斗も誘っといてね~、優と真里にはもう誘っといたから』
「二人誘ったんだ。でも何で冬斗も一緒に誘わなかったんだろう?」
紗綾は冬斗だけ誘わないのは不思議だったが本当に誘っていなかったら可哀想なので一応言うことにした。
紗:『冬斗、今度みんなで夏祭り行くことになったんだけど一緒に行く?』
冬:『夏祭り? 行く!』
紗:『了解、百合に言っとく』
百合に冬斗も誘って一緒に行くことになった、と伝えるとスマホが鳴る。百合からだと思っていたが冬斗からだった。
冬:『あのさ、スイカ食べに来ない? 丸々一個だから食べきれなくて』
紗:『うん、食べにいく』
冬:『わかった、助かる』
紗綾は家を出て隣の冬斗のところへ向かう。
(海でスイカ割り出来なかったな~)
そんなことを思いながらミンミンと鳴く蝉が五月蝿く感じる。日々暑さが増すので最近だらけてしまっていた。
(着いた)
ピンポン~
「はーい」と声がする。
ドアが開くと冬斗ではなく兄が出てきた。
「あ、お久しぶりです。冬斗のお兄さん」
「キミは......紗綾ちゃん、どうしたの」
「冬斗にスイカ一緒食べないかと誘われたので」
「あ、そういえば冬斗のヤツやけに落ち着きなかったな」
「どうぞ」とドアを開けて紗綾は中に入る。
小さい頃よく冬斗のところで遊んでいたことを思い出した。
(懐かしい、高校生になって来てなかったな)
「あら、紗綾ちゃん。いらっしゃい」
「お邪魔します」
「どんどん食べてね」
冬斗の母は切りたてと思われるスイカを出す。
みずみずしいを越えているくらいの水分の多さだ。
「美味しい」
「よかったわ~」
* * *
「ごちそうさまでした」
紗綾は立ち上がり皿の片付けに入る。
「あら、もう帰っちゃうの? だったらスイカ持っていきなさい」
「いいんですか? ありがとうございます。家族で食べます」
「あと、これも......」
冬斗の母は嬉しそうにしている。
「あっ、冬斗。紗綾ちゃん帰るから見送って」
「隣なので大丈夫ですよ」
「いいからっ」
冬斗と紗綾の背中を押す。
「母さん、押すなって」
ガチャン......
玄関が閉まった。
「ごめんな、うちの母さんお前のこと自分の子供同然のように扱って」
「全然大丈夫、むしろ嬉しいかな。それに特に料理のお裾分けしてくれるの」
「そっか、よかった。うちさ、男しかいないから紗綾がくるたび何かあげたくなるんだよ。それに笑顔が好きだって母さん言ってた」
「本当? これぞ笑う門には福来たるってね」
「ははっ、だなっ。あっそうだ、母さんがこれ渡せって」
冬斗が渡したものの中に肉じゃががあった。
勿論、冬斗の母のことなのでそれだけではない。
「わぁ~! これって私の好きなオムライス! 冬斗のお母さんのオムライス、好きなんだ~」
「喜んでもらえて嬉しい、それ聞いたら母さんが喜ぶな」
「あっ冬斗。夏祭り、明日だからね。集合は7時に神社の鳥居の近くだって」
「わかった、明日な」
二人はそれぞれ家に入る。
(明日、浴衣で来てって百合からLIMEがきたけど浴衣どんなのがいいのかな。お母さんに相談してみよう)
一方、冬斗の方は......
「送ってきたの?」
「うん、あっそうそう紗綾が母さんの料理、喜んでたよ」
「本当? 嬉しいわぁ~」
(母さん、本当に嬉しそう。よかった)
そんな会話をしていると兄が上から降りてくる。
「紗綾ちゃん、送ってきたんだね」
「うん」
「そういえば冬斗。明日夏祭りなんだが、紗綾ちゃんと行くのか?」
「紗綾と友達で行くけど......」
「そうか......」
兄は何か納得してまた二階に行ってしまった。
(兄さんは何をしたかったのかな?)
* * *
「そっか......紗綾ちゃんと二人で夏祭り行くんだと思ってたけど違うのか......大丈夫そーだな」
兄は何か誤解していた。
~浴衣~
紗 「お母さん、浴衣これにする」
母 「そう。
嬉しいわぁ、あなたが使ってくれるなんて。
とっておいてよかった」
紗 「綺麗な柄、明日楽しみ~」
母 「気をつけていってくるのよ」
*ちゃんと浴衣は決まりました。




