【07】 ティラミスの味噌汁がけ
丹沢「ぐっ……!!」
丹沢が急に腹を押さえ、
身をかがめた。
歩み「えっ、面倒な案件頼んじゃったからお腹痛くなっちゃいました?」
丹沢「いや……森口さんは悪くない……」
歩み「じゃあ何ですか?」
丹沢「今朝時間がなくて……昨日残ったティラミスをどんぶりに入れて……冷えた味噌汁をかけて流し込んできたのが……効いてきたみたいだ……」
歩み「げっ……!!」
歩みの顔が引きつる。
歩み(ティラミスの……味噌汁がけ!? うわ、想像しただけで吐きそう……)
歩み「……ティラミス、ですか?」
丹沢「うん……昨日の夜、無性に甘いものが食べたくなってコンビニで買ったんだが……」
歩み「味噌汁の具は何だったんですか……まさか豆腐?」
丹沢「豆腐なら分離できたんだが……とろろ昆布と……ひきわり納豆だ……」
歩み「おえっ!!」
歩みは思わず口元を押さえた。
甘いクリーム、チーズ、カカオ、
出汁、昆布の粘り、納豆のネバネバ……。
丹沢「すまん、限界だ……トイレに行ってくる……!」
歩み「持ちます!? 廊下に垂らさないでくださいね!?」
丹沢「うぐぐ……っ」
丹沢は腰をかがめ、
股間とお尻を必死に締めながら、
よたよたと廊下へ出て行った。
なんとか個室に飛び込み、
便座に滑り込む。
丹沢「ふぅ……間一髪だった……」
放出と同時に、
思わずくしゃみが出た。
丹沢「ハックション!! ……誰か俺の噂でもしてるのか?」
その頃、住民課事務室。
歩み「丹沢さんって、いつも腰が低くて優しいですよね」
春菜「優しくないわよ。単にバカで押しが弱いだけ!」
歩み「ですよね! 一応褒めておいた方がいいかなと思っただけです」
春菜「胃腸は弱いし、頭も弱い、女にも弱い。いいところなんて一つもないわよ」
歩み「胃腸弱いんですか? 病名は?」
春菜「確か『機能性ディスなんとか』って言ってたわ」
歩み「病名が『気のせい』ですか?」
春菜「気のせいじゃなくて『機能性』! あと『過敏性腸症候群』とも言ってたわね。要するにメンタルが豆腐なのよ」
歩み「じゃあ、私が頼みごとをしたせいじゃ……」




