【05】 過料の責任転嫁と謎のテニスボール
爽香「チェックはひとつだけ?」
丹沢「該当するもの全てにチェックをお願いします」
爽香は「1」と「2」に
レ点を付けた。
丹沢「ありがとうございます」
爽香「で、これ出すとどうなるの?」
丹沢「簡易裁判所の判事様が理由と遅延期間を審理しまして、過料を科すかどうか判断します」
爽香「過料って?」
丹沢「行政上の罰金のようなものです」
爽香「罰金!?」
丹沢「駐車違反の反則金のようなイメージですね」
爽香「……いくら取られるのよ」
丹沢「数千円から、場合によっては数万円になることもあります。なしで済む場合もありますが」
爽香「なしになることもあるんだ」
丹沢「事故で入院していたとか、やむを得ない事情があれば情状酌量されますが……」
爽香「じゃああたしはダメね。罰金決定じゃない」
丹沢「かもしれませんね」
爽香「これ、あなたのせいだからね!」
丹沢「……は? 私のせい!?」
爽香「そうよ!」
丹沢「なんでそうなるんですか!」
爽香「この前来たとき、そんな説明一切しなかったじゃない!」
丹沢「なっ……! 2ヶ月放っておいたのはあなたでしょう!? なんで私の責任になるんですか!」
爽香「14日過ぎたら罰金だなんて教えなかったじゃない!」
丹沢「普通は14日以内に来ます! 2ヶ月も放置する人がイレギュラーなんです!」
爽香「放置じゃないわよ! 仕事で超多忙だったの!」
丹沢「仕事ねぇ……一体なんのお仕事やら」
爽香「見ればわかるでしょ!」
爽香はポケットから取り出した
テニスボールを、
ぎゅうっと握り潰すように
見せつけた。
レース中、クラッシュしても
ハンドルから手が離れないよう、
彼女は普段から
握力を鍛えているのだ。
丹沢「さっぱりわかりません。テニスインストラクターですか?」
爽香「ヒント。水に関係あり」
丹沢「テニスボールで水? ……コートのスプリンクラー清掃業者? それともプール指導員? どっちにしろ、2ヶ月で一回も市役所に来られないほど忙しいわけないでしょう!」
爽香「大きなお世話よ! もういいわ、これで出せばいいんでしょ!」
爽香が書いた書類を丹沢に渡した。




