都平連理2
人の身を得て失ったものもある。
いつも一緒にいたあれらがわからなくなったのだ。
いなくなったのではないと思う。
何も感じ取れなくなってしまった。
わずかながらいたはずなのにもう何も感じられない。
あれらはなぜか結城先生のことが好きなので、結城先生の周囲をだぐってみたりしたけれどわからなかった。
ただ、たまのいたずらはしているらしく、それだけがあれらがいた証拠となっていた。
そのはずだった。
そのあれらの気配が急に、そして明確にしたのだ。
未来と阿坂といったスキー場でのことだ。
午前中は阿坂も一緒だったが、
午後からいつも一緒にいる阿坂はおいてきた。
ここ最近ずっと寝不足といった風貌だった。
原因は知らない。いつだってあいつは常に悩んでいる様子だった。
そう例えば、
人の身を得て両親を得たこれも私にとっては不思議な体験だ。
彼らはずいぶんと不思議な生き物だ。
なんと私を愛しているようだ。
もちろん阿坂のこともだ。
でも阿坂は両親に対しても微妙によそよそしい。
もしかしたら私のこと以外のことでも悩みがあるのかもしれない。
私は阿坂に対して反抗期といわれるが私にとっては阿坂も親に対して反抗期だ。
もう何も世界に干渉できなくなったのだから気楽にしていればいいのに。
何も感じないといえば
もう阿坂からも異質な感じはしない。
あいつもまた私と同じこの世界の住民になったのだから。
そんな様子だったからなけなしの…いわゆる…仏心?みたいなのを出して置いてきた。
私が声をかけられるのを心配しているようだが、
私は知っている。
彼らは私の目を見て引かれてしまうのだ。
未来と遊園地に行ったとき、キャラクターを模したサングラスを付けた時、
今までは結構な頻度で声を掛けられていたのに全く欠けられなくなった。
これはと思い実験したところサングラス、帽子で目元が見えない状況であればトラブルはかなりの確率で避けられた。
阿坂は気づいていないようだが、ゴーグルさえしていれば変な輩はやってこないのだ。
心配する割には観察力の足りないやつだ。
その、阿坂も未来も誰も一緒にいないまさにその時。
スキー場の頂上で未来がお手洗いに行くと離れた後、声が聞こえた。
はっきりと声が聞こえた。
こっちだよと。
いやこちらにおいでといったような声だったかもしれない。
声が聞こえるほうに進むと小さな子供がいた。赤いボンボンのついた帽子をかぶっていた。
「こんにちは。おねえさん。会えてうれしい!」
そんなことを朗らかに言われた。
私はその子供にあったことはない。とおもったはずなのになぜかあったことがある気もしていた。
「ここからまっすぐ進んだところに、おねえさんが見たいものがあるよ」
子供が指し示すほうには林があった。確かに人が1人通れそうな隙間がある。
どういうことか問い詰めようと子供を見た時。
目が合った瞬間
気づいたら私は岩の前に立っていた。
後ろを振り返ると確かに自分のスキーの滑った後があった。自分でここまで来たのだろう。
開けた場所だ。
あの子供は居ない。
どういうことだろうか。
きょろきょろとあたりを見渡すと開けた場所に岩がある。
あぁ、あの学校と一緒だと思った。
ふっと意識が沈み込んでいった。
ほっほう
あれはフクロウだろうか。
何か鳴き声が聞こえたような気がした。
あと2回で完結です。




