第5話 胸の違和感
この物語が、降り止まない雨の中にいるあなたの一本の傘になれますように
風呂上がり、バスタオルで髪を拭きながら、ハユンは亜希子の居るベッドに腰掛けた。
亜希子は戸惑いつつも意を決して言う。
「ハユンさん、ここ、ちょっと触ってみて」
亜希子はハユンの手のひらを自分の右胸に持っていく。
「どうした」
ハユンは少し躊躇するが、言われた通りに触ってみる。
「……」
「なんか、変じゃない?」
「うーん」
ハユンは首を傾げる。
「しこりがあるの」
ハユンはもう一度確かに触れてみる。
「この辺?」
「うん」
緊張の面持ちの亜希子。ハユンは硬い箇所があるな、とは思った。
「確かにあるね」
そう言うとハユンは、亜希子の胸元のボタンを両手で掛けていく。
「気になる?」
ハユンは優しく言った。亜希子は不安そうに言う。
「半年くらい前から気になってて」
「半年?」
「うん」
ハユンは、亜希子が半年も悩んでいたのを想って切なくなった。
「私、病院行った方がいいかも。早い方が良いって言うし」
「そうだね、次の休みに行こう。検査すれば安心するだろう」
「痛いって聞くじゃない?検査。胸をギューって挟むって。怖い……」
「俺がついてるから」
ハユンはそう言って亜希子に布団を掛けた。
次の休みの日、朝早く千葉北西病院へ来たハユンと亜希子。亜希子の車椅子をハユンが押して病院へ入っていく。
乳腺外科の待合室で不安そうに待っているハユンと亜希子。
「521番て何番目くらいかしら」
亜希子は手元の受付票の数字を見て言った。
最初は緊張していたハユンと亜希子だったが、三十分、一時間と待つにつれ、不安でいるのも疲れ、笑い合って雑談するようになっていた。
ピンポーン。と音がしてモニターに「521」と表示された。
「あ、ハユンさん順番みたい」
亜希子がそう言うと、ハユンは亜希子の車椅子を押して診察室へ入っていく。
石川まゆみ医師は、一通り話を聞いて触診をする。
「確かにしこりがありますね」
「そうですよね」
亜希子は落胆したが、石川医師は朗らかに言う。
「まず検査しましょう」
ハユンは咄嗟に聞く。
「痛いですか?検査は。妻でも大丈夫ですか」
「今は胸を挟むマンモグラフィーではなく、MRIでうつ伏せになっているだけで診れますから、痛くないですよ。安心してください」
石川医師の言葉に、安堵するハユンと亜希子。
「結果は二週間程で出ます」
「わかりました」
亜希子は答えた。
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