↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21周目の魔女は今度こそ生き延びたい  作者: 秋澤 えで


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/64

61話 神の鏡像

「これは信託である、預言者よ」



 信仰とは、己と向き合うことである。

 信徒は、神を疑ってはならない。信徒が疑う時、疑わしいのは己の信仰そのものである。



「あなたは……」



 神は人に、姿を見せないものである。

 見えずとも、祈り仰ぐとき、人は己の中に神の光をみる。



「私はお前の信じる神だ」



 姿を顕し、己を神と宣うのなら、



「信仰は、聖女のものか」



 それは悪魔の類だろう。



「これは信託である、預言者よ」



 神ではない。

 聖書に記された姿かたちでも、聖堂の壁画に描かれた容貌でもない。

 その姿は神ではない。

 だが神を名乗るならなぜ、その姿を似せもしないのか。



「アガヴェ……」



 なぜ目が離せないのか。

 私は今、夢を見ている。

 未来を視るときと同じように、それは私の目の前にいる。

 眼球を固定されたように、それ以外の一切を見ることを禁じられている。

 それは近づく。



「あ、あなたがアガヴェーだと……」

「神を疑うのか予言者よ。お前は敬虔な信徒ではなかった」

「だ、だからこそお答えください」



 ばくばくと心臓が音を立てる。論理的であろうとするのに、今この瞬間も頭蓋に手を突っ込まれ、かき回されているような気すらする。

 アガヴェーに対して不敬である。しかし真にアガヴェーなら許さないはずがない。



「なぜ、姿が異なるのですか……」



 それは少しだけ虚を突かれたような顔をして、それから愛し気に微笑んだ。



「女は弱いものだ。救ってやらねばならぬものだ」



 言葉を失う。



「ゆえにその姿をとる。神に似た姿のものを、人は害為そうとはしないだろう」



 なんと大らかで、思慮の浅いことか。



「問いには答えた、預言者よ。ゆえにお前は信仰を示せ」

「信仰を、それは、どのように」

「示すことは簡単なことではない。ただ祈るものでもなければひれ伏すことでもない」

「では、」

「その信仰を行動に移すことだ」



 アガヴェーはわらった。強い酒精が鼻をかすめる。



「憐れなるは愚かしき者。愚かしき者は悪しき者。悪しき者は誤った者。誤りは正さねばならん。違えた信仰は、正さねばならん」



 違えた信仰。



「恐れるな預言者よ。お前は憐れなる者を救うことが信仰のあり方。憐れなる者は幸いである」

「憐れなる者は幸いである」


「累なる葉々は天上に至らん」

「累なる葉々は天上に至らん」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。