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戦う音が、響く。
「アイシクルシールド、リモデリング・・・サイス!イヴィルクリエイション、フライサス!」
左手をゆっくりあげながら、ぶつぶつと唱えた。さっと、挙げたそれを横に振る。気が付けば、男の手に巨大な鎌が握られていた。吹き続けるブリザードに乗せるかのように鎌を勢いよく投げつけてくる。
「プラントシェル!」
「!!っ」
紋太の声と共に地面が揺れ、目の前の地面から蔦を複雑に絡ませながら多種多様の植物が現れる。五人を守るように湾曲した壁を作り出した。
かなり頑丈らしいそれは、飛んでくるいくつもの鋭い鎌をびくともせずに受けとめる。ブリザードも、それに当たった瞬間静かになった。
「アイシクルエターナル・フォート!」
ブリザードが完全に止まってしまうと同時に消えた植物の壁の向こうに、巨大な塔が出現する。男はその後ろに逃げ込んだようだ。
「逃げるのか・・・最初の威勢はどうしたの。―プラントバード、リモデリング・・・パスート!」
びゅんっと、風を切る音と共に緑色の大きな鳥が男へ向かって行った。
耳に聞こえない、しかし確実に感じる咆哮をあげながら飛ぶ。
「ッ・・・・・・。アイシクルマウンテン!」
「プラントバード、ライジングスター」
―すげえ・・・
星喇は思わず紋太にみとれる。いくら相手が弱いとはいえ、中途半端な、力の弱い内霊の呼び出し方でもここまで戦えるとは正直思っていなかった。
「プラントバード・フォウル!!」
空の遙か彼方まで上がっていた鳥が、見る見るうちに落下してきた。男に狙いを定め、咆哮をあげながら落ちてくる。
「そうくるか・・・いい。巻き返してやる!アイシクルマウンテン、カレップ!」
―カレップ・・・「崩壊」?
「!!お兄ちゃん、危ない!」
暖香の叫び声に、はっとした。
氷が作り出した山が、音を立てて崩れていく。落下してきた鳥が、その氷に巻き込まれて消滅していった。その目の前に、紋太が立っている。
紋太は動かず、硬直していた。
―急にどうして・・・!
「紋太・・・!」
「星喇さん!」
萊兎に勢いよく肩を掴まれた。
「萊兎?」
その様子がおかしいことに気づく。
目が赤々と輝き、口の端から小さな犬歯が覗いている。腰ほどまでの髪はまるで一本一本が生き物化のようにふわりと宙に広がった。
―魔人の、末裔・・・
ふと、萊兎が目を閉じた。その姿が、一瞬ぶれる。
「これで、いいはずです」
「え?」
「早く、紋太さんを助けてあげてください!あんな量の氷に対応できるのは、星喇さんの力しかありません!}
「だから俺は―」
今はだめなんだ・・・
そう言おうと思った。しかし、体は動くようになっていた。
「私は魔人の末裔です。この程度の、人間が作り出した魔法陣なら、解くことが出来ます。さあ、早く!」
「!!ああ、ありがとう!」
ぽんっと、軽く、萊兎の頭に手を触れる。紋太を狙う氷の塊を睨みつけ、轟音と震動で揺れる丘地を駆けた。




