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「ロンレイ、敵はすぐ近くだな?」
「ああ。もう、すぐそこにいる。あっちの方から俺たちの方へ近づいてきている」
「むこうから?」
暖香が驚いたように声をあげた。
「侵入者駆除、だ」
紋太が呟き、苦い顔をした。
「・・・、早速、来たんじゃないですか?」
萊兎が少し背伸びして言う。その一言で、全員の顔が真剣身を帯びた。
目を細め遠くを見ると、枯れた草を踏みしめてゆっくりとやって来る一人の男の姿が見えた。銀色のベルトを腰に巻き、闇のように真っ黒なロングコートを肩に掛けている。じっと見られていることも気にせず、悠々と歩いてきた。
「何しに来た」
男が無機質な声で言う。五人とは充分な距離を保ったまま、どこを見ているのかわからない目をこちらに向けていた。
「言わなきゃだめ?」
暖香が落ち着いた表情で、冷たく言い放った。その問いには答えず、男はわずかに口元を歪ませた。
「素晴らしいと思わないか。この黒魔法一つでこの世界のものすべてを土に還すことが出来るのだよ。そこからまた、新しいものを魔法で作り出して行けば、気が付いたらもう私の世界だ。私が神のようになるのだ」
―なんだよこいつ・・・
星喇は早速どうしようもない怒りと、それ以上の呆れを覚え、歯ぎしりをする。
「あっそ。私たちにはごめん、全然わかんない」
暖香が目を背け、バカバカしい、と呟いた。口の中の苦虫を、勢いよく吐き出すように。
「わからないとは、こっちセリフだ」
男がそう言い、コートの胸ポケットから何か粉状のものが入った長細い採取管を取り出しす。
―やばいな、いきなり戦闘モードだ
星喇はそう感じ、意識を自分自身の中にある、理性を失うとともに煮えたぎり始める力に集中させる。それとほぼ同時だった。
「私のために―・・・滅びるがいい!」
採取管の中身が、ぶちまけられた。




