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「なんだここは・・・」
星喇は思わず呟いた。
そこは街外れの丘地で、自分たちが暮らす森と対角線上にある。なので、来るのは殆ど初めてだったので、この丘地の普段の様子は知らない。
だが。
「いくらなんでも、これはひどいだろ・・・」
星喇の目の前には、信じられない光景が広がっていた。
生き生きとしていたであろう草は、茶色くなって頭を垂れ、風など息苦しくなるほどに吹かない。所々に生える木々は根元付近から腐って、倒れかけているものも少なくなかった。丘の根元にひとつ、ぽかんとあいた穴は泉か何かがあった跡だろう。空に流れる雲を見なければ、まるで時間が止まったような感覚だった。
「なんで、植物は五大元素ですらないのに・・・」
呟いたのは、隣にいた暖香だ。呆然と、少しうろたえたような表情を交えながら目の前に広がる光景を見ている。
―確かにこれは・・・ひどいな
星喇は隣で姿勢を低く構え、辺りを警戒しているロンレイに視線をうつした。
―しかし一つ、疑問がある。
「なあロンレイ。俺たち、付帯で旅してた時、ここらへん通ってあの街へ行ったよな?こんなところ、あったか?」
「きっと、こうやって気配を辿らないとつけないようになってたんだよ。ちょうど・・・異次元のように。そのせいか、なんかちょっと閉鎖空間っぽいだろ?」
「・・・そんなことが」
横から聞いていた暖香が口を挟む。
「で、どうすんだ。ずっとここで突っ立ってんの?」
ロンレイが真顔で前方を見つめ直し、言う。その眼は決意に満ちていた。
教はちらりと敵の様子だけ見て、一度作戦を立てるために家に戻り、明日暖香の“索敵”を使ってまたここに来ようかと思ったが、よく考えてみたらそんな悠長なことを言っていられるわけがなかった。それに、帰ろうなんて言っても多分みんな聞かないだろう。
「そうだな、行こう」
星喇のその一言が、彼らの間に空々しく響いた。




