表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こぼれた魔法  作者: 亜架 耀太
第二章 森の中から
18/32

♢18♢

 一階に集まった四人と一匹は各々が安心する位置に座る。


「それで、何?その話って。重大な事っぽいけど」


 暖香はどこか不安げな表情で自分の手元を見つめる。


「あの・・・さっき、旅に出るって言ってもどんなふうなのか全くわからなかったから、パソコンで“魔動機 薬”ってとりあえず検索してみたんだ。―星喇のこと思い出して」


 星喇が不満に思うのではないかと少し不安だったが、ちらりと見ると彼はいつもと変わらぬ落ち着いた表情で頷き、先を促した。


「そ、それででてきた検索結果が殆ど今街で流行している病気と、それに対応するために作っている薬の記事だったんだけど、そこで私ちょっと引っかかったことがあって」


 暖香はそう言い、持って降りてきた自分のパソコンを開いて全員に見せる。


「この病は風等によって運ばれ爆発的な感染が予測されていて、既に中心部では人口の約半分以上が感染・・・」


 そこまで読み上げ、紋太が眉を潜める。


「そんなに気になること、ありますか?」


 萊兎が首をかしげた。


「うん。この風等ってところ」


 暖香が一文をさすが、萊兎は深々と首を傾げるだけだった。


「俺もわかった」

「俺も」

「俺もだ」


 他の三人は、次々に手を挙げる。その様子に、萊兎は軽く混乱したようだった。


「『この森は基本、街のある方向から見て風下にあることが多いのになんで私たちは感染しないんだろう』・・・、ていうことでしょ、暖香が気になったことは」


 紋太が珍しく真顔で言った。


「そう、そういうこと」

「それで・・・あんなに慌ててどっか行ったのか」


 星喇が顎に手をあて、考えるような仕草をする。


「そう。だって、この森広いけど私たちが住んでるこの小屋ってそんなには街から離れてないじゃん。なのにおかしいなと思ったんだよ。それで図書館にいてみたら資料見つけたんだけど、それは全ページ同じことについて書いてあってね。それが、“魔法による影響”っていうことで・・・」


 暖香がそういったとたん、その場にいた全員の鼓動が聞こえたような気がした。


「つまり・・・、魔法による何かで病気が発生した、と・・・」

「確かにそう言われてみると症状も微妙だな。情緒不安定やら悪夢やら幻想やら・・・、感染症ではあんまなさそうな症状だ」


「でもさ、結局ひっかかりの答になってないんだよね。何でこの森の中に住んでる私たちは平気なんだろう?」


 暖香がうーんと考え込んだ途端、まるで凍ったように他の三人と一匹の動きが止まる。


「暖香・・・それ・・・マズイよ・・・」

「は、はい・・・いくらなんでも、それは・・・」

「原因が魔法ってわかった時点で引っ掛かりの答にはなってんのに・・・」

「だよな」


 そうだよ、そうですよと萊兎と紋太が賛同する。


「え、ウソ?何が変?」


 暖香は何が起きているのかわからなかった。


「いや・・・暖香あのね、うん・・・。一から説明しなきゃダメ?」

「ああ、ダメだ」


「何この馬鹿にされてる感・・・」


 ぴしっと、何かが割れる音がしたような気がした。


 そして、暖香以外のため息が重なる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ