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母親の、後ろだけ少しはねたショートカットの茶色い髪が見えなくなったところで暖香は棚の陰からそろそろと出た。
―・・・忘れよう。目的の本の方が、大事だ
母親とは呼びたくない母親より、自分たちがやるべきことを優先する。
「ええと・・・病気・・・」
最近の出来事や、それに対する推測、裏話などが書かれた本が置いてある棚に並ぶ背表紙を一つずつ確認していく。内容的にはほとんど毎日発行されている新聞と同じ内容が書いてあるが、そのかわりいろんな発行会社が取り扱ったいくつかの情報をまとめて、早いうちに読むことができる。
「・・・あった」
緑色の背表紙のそれは最近の記事の中では薄く、分厚い立派な素材の表紙とミスマッチだ。
ペラペラと中身をめくると、急に一つの言葉が目に飛び込んできた。
長々と、こと細かく、図解や写真もまじった本。
その中で、同じようにただ並んだその言葉が目に入ったのは偶然だろうか。
「魔法による・・・影響?」
偶然ではない。当たり前だ。どこを見ても、嫌でも、目に入ってきてしまうのだ。
一冊の本は、そんな内容で埋め尽くされていた。
ようやく、少しずつ、ではあるけど物語が進みだします。




