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こぼれた魔法  作者: 亜架 耀太
第二章 森の中から
15/32

♢15♢


「お…暖香どこ行くんだ」


 新聞を読んでいた星喇に声をかけられる。


「ちょっと気になることあるから図書館行ってくる。あ、それともここ最近の新聞ってまだ残ってる?」

「いや、昨日まとめて燃やしてしまったぞ」

「そう、ありがとう。行ってきまーす」


 靴を履き、外に出た。


「わ・・・涼しくなってきたなあ」


 この地域は基本温かい気候なので、冬の時期でも冬とは言えないほどの温かさがある。一年を通して過ごしやすいので、街は最近避寒してきた人でにぎわっている。

 肩に掛けた鞄の紐をぎゅっと握り、すたすたと図書館を目指して歩く。図書館は比較的森の近くにあるので、すぐに着いた。最近の出来事やそれに関する推測、裏話などを置いてある棚に行く。


「あ・・・」


 慌てて、顔をひっこめ、本棚の裏側にへばりついた。

 見知った顔があったからだ。

 暖香はそろそろと顔をのぞかせ・・・、慌ててまたひっこめる。


―母さんだ・・・・・・


 視線の先にいるのは、彼女の母親―萊兎を、そして結果暖香まで家から追い出すこととなった。

 彼女は、暖香が家族として暮らしてきて、見たこともないような冷たい表情で棚を眺めていたが、すぐに踵を返してどこかに歩いて行った。


 ・・・忘れよう。もう帰る気もないし会う気もないし・・・、鑑賞する気も、ない。


 それでも、あの冷ややかな目は気になった。



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