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「お…暖香どこ行くんだ」
新聞を読んでいた星喇に声をかけられる。
「ちょっと気になることあるから図書館行ってくる。あ、それともここ最近の新聞ってまだ残ってる?」
「いや、昨日まとめて燃やしてしまったぞ」
「そう、ありがとう。行ってきまーす」
靴を履き、外に出た。
「わ・・・涼しくなってきたなあ」
この地域は基本温かい気候なので、冬の時期でも冬とは言えないほどの温かさがある。一年を通して過ごしやすいので、街は最近避寒してきた人でにぎわっている。
肩に掛けた鞄の紐をぎゅっと握り、すたすたと図書館を目指して歩く。図書館は比較的森の近くにあるので、すぐに着いた。最近の出来事やそれに関する推測、裏話などを置いてある棚に行く。
「あ・・・」
慌てて、顔をひっこめ、本棚の裏側にへばりついた。
見知った顔があったからだ。
暖香はそろそろと顔をのぞかせ・・・、慌ててまたひっこめる。
―母さんだ・・・・・・
視線の先にいるのは、彼女の母親―萊兎を、そして結果暖香まで家から追い出すこととなった。
彼女は、暖香が家族として暮らしてきて、見たこともないような冷たい表情で棚を眺めていたが、すぐに踵を返してどこかに歩いて行った。
・・・忘れよう。もう帰る気もないし会う気もないし・・・、鑑賞する気も、ない。
それでも、あの冷ややかな目は気になった。




