表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
58/110

第五十八話 赤いゴブリン

【土曜日 08:46/簡易小屋前】


 空気が重かった。


 村人達も小声で話している。


「赤いゴブリンって何だ」


「普通と違うのか……?」


 不安が広がっていた。


 相沢は小屋の壁へ背を預ける。


 考える。


 嫌な情報ばかり増えていた。


     ◇


【土曜日 08:51/簡易小屋】


 男はまだ熱に浮かされていた。


 リリアが布を替える。


「傷はどうですか」


 相沢が聞く。


「深いですが、

 命は繋がってます」


「そうですか」


 リリアは少し迷ってから言った。


「ただ……

 かなり怯えています」


 相沢は男を見る。


 寝ているのに。


 肩が震えていた。


     ◇


【土曜日 08:57/広場中央】


 ガンツ。


 ミナ。


 村長。


 全員集まる。


「整理する」


 相沢が言う。


「まず、

 ゴブリンは学習してる」


 ガンツが腕を組む。


「ああ」


「さらに、

 他の村も襲われてる可能性が高い」


 空気が冷える。


 ミナが嫌そうな顔をした。


「全然良い話無いね」


「俺もそう思う」


 相沢は地面へ線を書く。


【片目】

【統率】

【長期戦】


 その下。


【赤】


「問題はこれ」


 村長が低く言う。


「通常種ではない、

 という事でしょうか」


「多分」


 相沢は少し目を細める。


「嫌な方向の」


     ◇


【土曜日 09:04/広場】


 若い見張りが慌てて来る。


「回し屋!」


「何だ」


「森側、

 見られてる感じします!」


 相沢とガンツが同時に立つ。


 東柵へ向かう。


     ◇


【土曜日 09:08/東柵】


 森。


 静か。


 だが。


 いる。


 気配。


 視線。


 見られている。


 その時。


 木の陰。


 一瞬だけ。


 赤。


「――っ」


 相沢が目を細める。


 消えた。


 速い。


「見えたか」


 ガンツが低く言う。


「ああ」


「何だった」


 相沢は少し黙る。


 そして。


「赤かった」


 最悪だった。


     ◇


【土曜日 09:11/東柵】


 その時。


 視界の端。



【新規脅威反応】


【危険度:高】


【警告:

 接近戦を推奨しません】



「珍しく具体的だな……」


「何だ」


「オカンが逃げろって言ってる」


「本当に意味分からん」


 ガンツが本気で嫌そうな顔をする。


 だが。


 相沢の顔は笑っていなかった。


 今までで一番。


 嫌な表示だった。


     ◇


【土曜日 09:18/広場中央】


 相沢はメモ帳を開く。


 書く。


・赤個体確認

・接近危険

・監視継続

・東警戒強化


 その時。


 ミナが小声で聞く。


「……回し屋」


「何だ」


「勝てる?」


 静かだった。


 不安。


 恐怖。


 全部混ざっている。


 相沢は少し止まる。


 それから。


「回す」


「え?」


「勝つじゃなくて、

 まず止まらない」


 相沢は村を見る。


「崩れたら終わる」


 ミナは少し黙る。


 派手じゃない。


 でも。


 何故か。


 その言葉は少し安心出来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。 続きが気になりましたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ