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第四十九話 夜襲

【土曜日 02:31/東柵】


「――来たぞ!!」


 ガンツの怒声。


 次の瞬間。


 ゴブリン達が一斉に走り出した。


 速い。


 以前より迷いが無い。


「槍構えろ!」


「火前出せ!」


 村人達が慌てて動く。


 松明が揺れる。


 怒号。


 足音。


 咆哮。


 一気に空気が崩れる。


     ◇


【土曜日 02:32/広場中央】


 相沢は即座に立ち上がった。


「東!」


 走る。


 眠気が飛ぶ。


 完全に。


 現場モードだった。


 東柵へ近づく。


 その瞬間。


 視界の端。



【東防衛:圧迫】


【推奨:火線集中】



「火を寄せろ!!」


 相沢が叫ぶ。


 村人達が反応する。


 火台を前へ。


 松明を集中。


 暗闇が少し下がる。


 ゴブリン達の動きが見える。


「左三!」


「右回ってる!」


 ガンツが槍を振る。


 一体を弾く。


 だが。


 数が多い。


     ◇


【土曜日 02:34/東柵内側】


「押される!」


「柵!」


「支えろ!」


 木が軋む。


 若い見張りの顔が青い。


 その時。


 ゴブリン一体が柵を越えかけた。


「っ!」


 若い見張りが止まる。


 恐怖で体が固まる。


 次の瞬間。


 相沢が横から蹴った。


 ゴブリンが落ちる。


「止まるな!!」


「は、はい!!」


 相沢は舌打ちする。


 危ない。


 本当にギリギリだった。


     ◇


【土曜日 02:36/東柵】


 その時だった。


 後方。


 LEDライト。


 白い光が走る。


 ゴブリン達が一瞬止まった。


「ギャッ!?」


「!?」


 明らかに反応した。


 相沢は即座に理解する。


 夜目に刺さってる。


「ガンツ!」


「何だ!」


「光当てる!

 前出ろ!」


「意味分からんが行くぞ!!」


 ガンツが飛び出す。


 槍。


 一撃。


 ゴブリンを貫く。


 さらに押す。


 村人達の空気が変わる。


「押せる!」


「今だ!」


「前出ろ!!」


     ◇


【土曜日 02:39/東柵外】


 だが。


 森奥。


 そこにいた。


 片目。


 大柄。


 以前より後ろにいる。


 指示していた。


 相沢は目を細める。


「……マジかよ」


 あれ。


 考えている。


 前へ出ない。


 死なない位置から見ている。


 かなり嫌だった。


 その時。


 視界の端。



【対象:片目ゴブリン】


【脅威評価:上昇】


【統率個体の可能性】



「お前、

 そういうのまで出すのか……」


 本当に余計なお世話だった。


     ◇


【土曜日 02:41/東柵】


 片目ゴブリンが低く吠える。


 次の瞬間。


 ゴブリン達が一斉に引いた。


「……は?」


 ガンツが止まる。


 村人達も混乱する。


 以前なら。


 もっと無茶に突っ込んできた。


 でも違う。


 今のは。


 “被害を見て下がった”。


 相沢の背筋が冷える。


「学習してる……」


 嫌な予感が強くなる。


 その時。


 視界の端。



【警告】


【長期戦リスク:上昇】



 相沢は森を見る。


 片目ゴブリンも。


 こちらを見ていた。

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