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レベリングオート ~かつて最強だったプレイヤーが、Lv1からやり直すそうです~  作者: 行川 紅姫
二章:クソ鬼畜クエストの後にPVPってマジかよ……ウチのリー駄ーは何考えているんだ……
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取りあえず

お久しぶりです

 イニティアム内にある、いつものクエスト申請所にて。

 あれから結局全員で話し合った結果PVP戦にエントリーしに来たのだ。

 しかし、

「ぁ……あのぉ~、皆さんどうされたんですか?」

 いつもの受付の女性エファートは5人の先頭にいた少年ラルフへ訪ねるように耳元に手を添えて言った。

 彼女がそう訪ねるのは無理もない。彼女の視線、ラルフの背後の背後に居る少女二人の様子だった。

「……まあ、ちょっといざこざがあって……」

 一瞬なんと返答しようか言葉が詰まってしまった。

 要するに『察しろ』と言いたかった。

 少し前にレクティアがスピカにガチギレされあれから、した本人も、された本人はずっと落ち込んでいた。

 レクティア自身も少々やりすぎたという自覚はあったらしく反省していた。

 スピカは移動中も嘘のように泣きながら下を俯いていた。普段の移動において今までは一番スピカがムードメーカーの様な存在だった為、今日の空気は最悪だった。

 因みに現在ギルド内では最低レベルのラルフがスピカの代理を引き受けていた。

「そうですか、まあ……分かりました。取りあえずご用件をどうぞ」

 気が付けば彼ら5人の後ろには他の核石人種(プレイヤー)がずらりと並んでいた。

「今度行われるPVP戦のエントリーをしたいんだけど……」

「ああ、あの大会ですね? 了解しました。それでは――こちらの書類にサインをお願いします」

 エファートが取り出したのは簡単なエントリーシートだった。

 過去の経験もあってかラルフは慣れてるようにペンを動かす。

 すると――

「おいおい、三下の分際で人様待たせてんじゃねぇよォ~」

 真横から突如、5人へ向かって低い声が響き渡った。

 その言葉を聞いてラルフは書いていたエントリーシートの最後の最後で筆を止める。

 声がした方向へ目を向けるとそこには一人のガラが悪そうな大男が立っていた。

 180程の大きな巨体に腰には金等が装飾された爪装備があった。

「あ、すいません。もうすぐ終わるんで……」

 ラルフは大男に対しそう言うと大男はラルフの手元にあった用紙に目を付け奪い取る。

「え~っとなになに、チーム名『晴天の彗星(コメット・スター)』――ってぎゃははハハハッ!? おめぇらあのゴミギルドがか!? 無理無理、みんな嬲られて終わるだけだ。止めときな、ぎゃははハハハ!!」

 笑いながら言うと大男は持ってた用紙を破り捨てた。

 その光景を見ていた周りのギャラリーは下を見るかのように彼ら5人を笑いものにしていた。

「おい、なにしてくれてんだよ!?」

「なんてこと? 何言ってんだ? 俺はお前らのためにやったんだよ逆に感謝して欲しいくらいだ。その意味理解してんの?」 

 煽る大男にラルフは、散々馬鹿にされた挙げ句とうとう我慢出来なくなった。

「ああ、全く以て意味不明だね」

「あ? テメェ俺に刃向かう気? 正気か?」

「正気も何もお前がどこの誰だが知らないけど、俺らは悪いけど少なくとお前達よりは馬鹿じゃない。出る以上覚悟はある」

「ハハハ!! テメェら馬鹿だよ生粋の大馬鹿者だよ! まあ精々ゴミはゴミなりに頑張りな、どうせ開幕速攻で死ぬだろうがな!」

 大男は捨て台詞を吐くとさっさと申請所から出て行った。

 その姿を見てラルフは悔しげに舌打ちする。

「クソが、同じ核石人種(プレイヤー)のクセに」

 すると後方から、

「ラルフ……大丈夫?」

 セピアが落ち着いた声でそっと話かけた。

「……すまん、面倒な事にさせちまった。」

「そんなことない……私達のためにここまで――」

 セピアは必死にラルフを励まそうとするも彼は彼女の話に割り込むかのように話す。

「悪いが、お前含めて他の3人を拠点に戻らせてもらってもいいかな? 今の状況じゃあ彼女達に対して気が重すぎる」

「そう……わかった」

 話を聞いたスピカは、暗い顔をしながら3人を連れて申請所から出て行った。

 去る間際のセピア達の歩く後ろ姿は憂鬱な物でしか無かった。

 よく見ればラルフ達の後ろに並んでいた人達はいつの間にかいなくなっていた。

 出て行くのを確認すると再びラルフは正面のカウンターに顔を向ける。

「すまない、もう一部エントリーシート発行してもらえないか?」

「は、はい」

 エファートは遅れ気味に返事をすると後ろの棚からそっとエントリーシートを取り出しラルフへ渡した。

 そして目の前に置かれると同時に羽根ペンを持ち再度必要事項を書き始める。

「ラルフさん……?」

 暫くするとエファートはラルフへ向けてそっと声をかけた。

 ラルフは視線を書類に集中させるも話に応えた。

「あの、なんか……その、一つ聞いても良いでしょうか?」

「何ですか?」

 エファートは少し改まると、

「どうして、あなたは彼女達(、、、)のギルドに加入したんですか?」

「……」

 その時ラルフは一瞬黙り込み、下に向いてた視線を上に向けた。そして、

「何でだろうね……残念だけど俺でも正直わかんないんだよね」

「え?」

「俺が単に自覚してないだけかもしれない。最初はほぼ強制的なモンだったけどいつの間にか馴染んでってね。気が付けばメンバーの一員になってた」

「でも、彼らの他にももっと良いギルドがあるでしょうに……なのにどうして?」

「そうだね、言えるとしたら……『いい感じに馬鹿やってるあいつらが好き』なのかな」

「『好き』……」

「まあ、あのギルド自体、色々問題はあるだろうね。でも俺はそれでも良いかなぁ、ってさ」

 ラルフは優しく笑みを浮かべながら話した。

 その後、羽根ペンを置き書類を渡した。

「はい、一応エントリー完了です」

「色々迷惑掛けて申し訳なかった。それでは――」

 ラルフが出て行こうとすると背後からエファートの声が聞こえた。

「待ってください」

 ラルフは聞こえると彼女の方へ振り向く。

「どうした?」

 一瞬彼女は俯くもそっと口を開いた。

「勝って下さい。あんな奴らボコボコにしてください。私は信じています」

 その言葉に何の意味が込められているかなんて分からない。しかし、ラルフはふと笑みを浮かべ、

「分かってるよ」

 エファートの言葉に応えるかのように申請所から出て行った。



 

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