ライムの想い
ヤバイ、時間がねぇ。オーバーラップの締め切りがあぁぁ!?
――――
――
「あなた、どうして……それを言わなかったのよ……」
レクティアは呆然とした声で言う。
それに対して、話を向けられていたライムは泣き目のまま歯を噛み締めていた。
ライムの口から放たれた『本当の想い』、そしてこの事件の『真実』。それを聞いたレクティア、スピカ、セピア、ユウの4人は俯きただ黙って話を聞くことしか出来なかった。
「違う……言えなかったのよ」
憎しみに満ちあふれたような声でライムは答えた。
「言えなかった?」
すると話を聞いていたスピカがライムに問いかける。
「……つまり口止めをされていたって事でしょ?」
「その通り、最初私が死亡したあと匿名のメッセージが届いた。内容は単純に脅迫状だったから送り主はヤツからであることが分かった以上ずっと監視されていると思っていたのよ」
「故に君の言うアスピスとか言うヤツの手元には大事な友達が取り残されていた。だから、むやみに変な行動に出ることが出来なかった。そういう事でしょ?」
「ご名答」
……なんて面倒なことをしてくれるんだ。聞いた一同はそう思っていた。
「最初は自分だけの力でどうにかしようと思っていた。だけど……二週間という短い間でそれを成す事はまず不可能に等しかった。だから、私の兄『クトラ』に頭を下げて依頼したのよ」
ライムはそう言いながら目線をここから何百メートル程離れた噴水広場に向ける。
「だけど、作戦を立てる際に彼は全面的に何故か虐殺という非人道的案を打ち出してきたのよ」
「何で……捜し物であればここまでする必要なんてなかったんじゃないの?」
レクティアは言う。
しかし真横にいたスピカが淡々とした口調で話す。
「アホなの、スケールが違いすぎるわよ。私達くらいにとってはウッドレイクレベルの感覚で聞こえるかもしれないけれど彼女の場合は、あの天下の神の結晶よ。このワールドの中でこのアイテムを得るためだけにどれだけの苦労を掛ける人がいると思っているのよ」
スピカの一言は全く以て正論に等しかった。
「そう私はそう思って、その作戦に反対した。だけどやっぱり時間の関係上、こうすることしか出来なかったの」
……
レクティア達が沈黙する中ライムはそのまま話を続ける。
「でも私は、信じたくない」
「……」
「私は兄と共に一緒に遊び、学び、生きてきた。だけど、過去に人を傷つけること事なんて一度もなかった!! だから私は彼がそんな事を立案したなんて絶対に信じたくないのよ!!」
ライムの魂を吐き出すかのような叫びは、
咆哮のように――
……
怒号のように――
…………
雄叫びのように――
………………
今、この空間を振動させるかのように震わせた。
……………………
しかし、
「口だけなら何とでも言えます」
彼女以外の沈黙の中で最初に口を開いたのはレクティアだった。
何かの聞き間違いでいて欲しい、そう思っていた。
「ッ――!?」
レクティアの一言にライムは一瞬息が詰まり首が下がる。
……が、彼女の言葉はそれだけでは終わらなかった。
「だけど――今彼を止めたいという気持ちは私達と全く変わらないんじゃないのかな?」
「えっ?」
すると、他から声が聞こえた。
「全くその通り、救いたい物を救えずにして何を言っているんだい?」
ユウが。
「そう……、私も何となくそれ思ってた」
スピカが。
「私も賛成。全会一致ね」
そして最後に、セピアが。
答えは出揃った。
こうして彼らは誰一人、否を説く事無く見返りの無い『彼を止め、そして友達を救う』という過去最大の鬼畜クエストを引き受けるのであった。
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次回は締め切りの関係上明日になりそうです。




