回避だけに命を捧げる者と、連斬撃&詠唱に命と力を注げた者
遅くなりました。
戦いは、まだ終わっていなかった。
一閃、一閃またもや一閃と、クトラの大剣のラッシュが光の如く放たれていた。
上、右、左――。ありとあらゆる方向から刃の嵐が襲いかかる。
『(早ぇ~、コイツの剣筋。やっぱあの時【ジャック・ステータス】で素早さガン振りしといて正解だったわ……)』
対するラルフは、クトラの一撃を一つもかすりもせず悉く回避していた。
一応言っておくがラルフはLv1でありクトラはLvは700以上だ。普通であればそれは有り得ない。しかし彼はそれにも関わらず相対していた。
「ちぃ……すばしっこいヤツめ。実に厄介だな」
クトラの剣筋はとにかく正確そのものだった。それはラルフが見ても分かるくらいだ。一回一回の攻撃が顔から左胸にかけての致命傷攻撃を繰り返していたのだ。
故に、
『あたり前だろうが!? 上位クラスの武器でモロ俺の武器と会わせたら即粉砕不可避だろうがァ!? そう悟った時点で俺は避けることに魂注ぐわ!!』
「成る程そういう事か……」
ラルフの返答を耳にしてクトラは一度剣での攻撃を止めた。
「悪いが我々も貴様のお陰で時間があまり無いんだ。貴様が最初からそのつもりなら俺は最終手段を取らせてもらうぞ!!」
直後、クトラは左手を伸ばし人差し指にマナを滲ませスラスラと、魔法公式と思われる何かを空書きし始めた。
《「火の精霊よ、太陽神の力を元に――」Ⅰ=Ⅱ/LvⅧ/red-circle――》
『なぁぁぁぁぁ――っ!? その魔法って!?』
寸前、クトラの唱えている魔法の正体に気付いたラルフは咄嗟に【守護結界】を何重にも重ねるように詠唱を開始する。
しかし。
《「――汝の身を灰と化せ」――〈π〉∃・break》
詠唱はやはりクトラの方が早かった。
刹那、ゴオオォォォ!! とラルフの周り四方八方から炎の渦が巻き起こる。
『まさか、【プロミネンス】かよ!?』
【プロミネンス】、それは実際は太陽上において起きる現象である。温度にして数千から数万度に相当し、ありとあらゆる全ての物質を消してしまう。
この魔法の場合、火炎属性の中でも最高峰の能力にてLv8での詠唱だった。それは、一人で唱えられる魔法の中で最高レベルの威力だ。実際Lv200の核石人種であれば容易に一撃で『核石』に変えてしまう。
「その通り、さあ……これで終わりだああぁぁぁぁぁ!!!!!!」
クトラの咆哮にも似た叫び声と共に、炎の嵐は荒れ狂う獅子のように音を上げ、渦を巻き、接触する瓦礫などの物質は一瞬にして全てを灰に変えてゆく。
――そして、
四方八方、全方向からラルフへ向けて頭上から直径10メートル程の大きな炎の塊が降り注いだ。
『ちぃ――ッ!?』
――――しかし、ラルフの【守護結界】の詠唱は間に合っていない。
――ラルフの視界は赤い炎光の直後真っ暗の暗闇へと変わった。
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