某所3
遅くなりました。
「これは一体どういうことだ!!」
イニティアム内、大樹の側に仮設で設置されたテントにて。
突如、中から怒号に似た叫びが聞こえた。
テントの中に居たのは2人の男だった。
1人目は彼の手によって展開されたメニューウィンドウ越しで叫ぶクトラ、二人目は彼の側近でもある絵の具で滲ませたかのような色をした黄色いコートを着た細剣を装備させた一人の男、ガレットの姿があった。
『はい……、こちらもつい先程発覚した事なので我々もちょっと……』
クトラの目の前に出現しているメニューウィンドゥの通話画面には赤いコートを羽織った仲間の男が映っており騒然とした様子で言葉を口にしていた。男の向こう側に映っていたのは何十個にも及ぶ『核石』だった。まるでゴミのように杜撰に転がっており、さらには我々が出現させたであろうロックゴーレムの本体は手足の四肢を切り落とされた状態で発見されていた。
「バカな!? 一体どうやればイニティアム内核石人種の分際で30人近くのLv270以上の核石人種を一瞬で『石』に変えたんだぞ!! まるで意味が分からない!!」
クトラは頭を押さえ悩み混む。彼の中では、今起きているこの事態を信じられなかったのだろう。
「有り得ない!? 俺の事前調査ではLv100以上の核石人種なんて片手で数えられる程の人数しか居なかったんだぞ!? 一体どうやって!!」
『実は、今こちらもこの状況に……』
「まず、だ。とりあえずその『核石』は回収しろ。各班に必ず一人はヒーラーが居るはずだ。合流し次第即座に蘇生させろ。俺から言えるのはここまでだ」
クトラは一度落ち着くように深呼吸し、命令を下すとそのまま彼はウィンドウを左手の簡単な動作でウィンドウを縮小させるようにして閉じた。
「……くっ、何故だ。我々には時間が無いというのに」
屈辱的な出来事に頭を抱え悩ますクトラ。すると側近のガレットが調子を伺うような様子で話しかける。
「く、クトラ様? 大丈夫でしょうか? 作戦の方は――」
「……いいや問題ない、とりあえずこのまま続行させる……」
「は、はぁ……承知致しました」
クトラは右手でメニューウィンドゥを展開する。どうやら表示させたのはイニティアム内のマップのようだ。
表示されている仲間の位置を確認すると、まるでチェスの駒のように簡単なタッチで行動の指示を出す。
このゲームのギルドシステムにはリーダーにしかない特徴が一つ存在する。それは先程クトラがやったマップ指示だ。ギルドメンバーを一目でマップで確認する事が可能で、指一本で全体の指示を下すことも可能である。
(クソ、……俺たちにはあと、時間が無いのに……最初は、イニティアム内に存在する核石人種は低レベルが大多数だからといえど敷地が広いために長めに時間設定をしたはずが、こんな事態が発生してしまうなんて……想定外だ!)
今現在作戦を開始してから2時間が経っていた。一人二人くらいは死ぬことはある程度最低限として想定していたが30人以上となれば話が変わる。
(とりあえず、人数比を均等に振り直し調整し、もうしばらく様子を見よう)
クトラは心の中でそう思うと同時にマップ指示を完了させ、ウィンドウを閉じた。
後に彼自身が行動を開始したのは、あれからたったの30分後の事であった。
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