報酬金カットのお知らせ
遅くなりました
あれから数時間後――
イニティアム内にあるクエスト申請所にて。
「うわぁぁぁああん!! 報酬金がっ、報酬金があぁぁぁぁあああああ!!!!」
そこには、一人を除いた所々穴が開いた露出が激しい装備をした人達がいた。
中には思い出したかのように半ベソかいてその場に崩れ落ちる一人の少女――スピカの姿があった。
その面倒くさい彼女の相手をしていたのはこの申請所の役員を務めている原人種の女性――エファート・ルートリングだった。
エファートは褐色の肌に茶髪、緑のリボンが掛けられた白黒の申請所の制服を身に纏っていた。顔にはクールに片眼だけに丸縁眼鏡が掛けられており、何よりも肢体が美しくスタイルが良かった。それを証拠に彼女目当てに、まるで飲食店で水もしくはお茶しか頼まない迷惑な客のように申請所に来る原人種や核石人種は少なくない。今現在もそう思える客も見渡す限り所々見受けられる。
「もう仕方ないですよ。どんなにヤバイ状況だとしても、今回の件の非はそちらにあるような物じゃないですか」
「エファートさん。お願いします!! なんとかならないんですか!?」
「『なんとかならない』ってアナタは、何を言ってるんですか?」
そう言いながらエファートは両手の平をぎっちり合わせて拝むかのように頭を下げるスピカにある一枚の紙を突きつけた。
「今回のクエスト、まあとりあえずクリアしたこと自体は認めますが貴方たちが来る数分前に大量のクレームが来たことの件に関してはこちらから通達しましたよね?」
そのまま彼女はその紙に書かれていた内容を読み返す。
「まず、今回のクエストでこの島の管理委員会の方々から、そして自然保護団体からの爆発による森林破壊でのクレーム。あとはその影響による動物愛護団体からのクレーム。他にもあと11件よ。アナタたちどうすれば一度にしてこんなにクレームが来るのよ。っていうかアナタ達前もそうだったよね? もうアナタ達クレームに愛されてるんじゃないの?」
「お願いします!! 報酬金カットはこれ以上は勘弁して下さい!!」
「勘弁しろって言われてもね、一応ウチの規則で定められているからね。まあ幸いアナタ達には一応この申請所の保険に加入していたからこれ以上は下がらないけどさ。まあもしも仮にこんなことなんてしなかったら元の報酬金13万pec手に入っていたのよ。それがこの問題でその報酬金13万pecが見事にパァになっちゃうから逆に凄いわよ」
((((報酬金カットってレベルじゃねぇ……))))
一瞬、揃ってそう思う他4名である。
「まあ、ある意味アナタ達にとって、そのための『特別報酬』なんだけどね」
そう言い彼女は机に五枚の紙幣を置く。
「はい、これ。合計5万pec。これが今回の報酬金ね。……これでも一応高いんだからね」
「なるほどな……だから『特別報酬金』が入っていたわけか」
ラルフが腕を組み納得するように首を縦に振る。
「とりあえず、これで飯食うなりこのビッチ臭い服装を一新するなりなんなりしなさい。話はその後よ、さっさと行ってきなさい」
「5万……ねぇ。どう割り振ろうかしら……」
「割り振るって……アナタ達、丁度5人いるんだから一人それぞれ1万で良いじゃないの?」
「無理です!! 私の資金が1万とか少ないにも程がッ!? 私のこの服なんて1万で買えるほど安くはありません!!!!」
((((独り占めする気かアホリーダー))))
スピカの話を聞いて唖然の4人である。
エファートは彼女の言動に多々呆れつつも大きくため息を吐く。
「まあ、良いわ一応アナタ達のお金ですからこれ以上文句を言う気はありませんよ。さっさと行って下さい。もう後ろ並んでる人多いんですから」
スピカは彼女に言われ後ろを向くとそこには腕を組みイライラするような様子で貧乏ゆすりをする核石人種達の姿があった。
もう流石にこれを目にしたからにはこれ以上時間を掛けるわけにもいかなかった。
ぐぬぬっ!? とスピカは自棄になる様子で置いてあった紙幣を手に取ると、その5万pecをそれぞれ一枚ずつ1万pecの紙幣を手渡す。
「……って、ちょっと、凄いナーバスになってますよ。リーダー大丈夫ですか?」
ラルフはまるで魂が抜けたかのように冷めているスピカに慰めるように声を掛ける。
「この金額見てこうならない方が逆におかしいわよ」
「まあそれは仕方ない事かもしれなかったですけど……」
「五万よ、五万!? 今月の家賃に今回のクエストによる損害の費用を含めてしまえば安すぎるわ!? 足りないにも程があるわ!?」
駄々こねるようにして文句を言うスピカに呆れながらもラルフはそのまま言葉を重ねてゆく。
「もう、いい加減にして下さい。いいからさっさと消失した装備を買い直して行きましょうよ」
「嫌だ! 嫌だ! もっとお金が欲しい!」
最早、まるで年少児のようにわがままを口にするスピカである。すると、
「いいから……行きますよ」
「うぐっ――!? ちょっ、首っ、首がっ!? セピアっ!? ちょ、強引な……っ!?」
ジタバタもがくスピカ、そう彼女の姿を見て痺れを切らせたのかラルフの側にいたセピアが彼女の首襟を掴んだのだ。
「五月蠅い……ちょっと黙ってスピ姉」
「ふぐっ――!?」
まるで親猫が子猫の首を咥えていくように歩くセピア。
こうして、そのまま同行していた他3人と一緒に彼女を引き摺りながらこの申請所から出て行くのであった。
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