罰
『それでは時間になりましたので始めさせていただきます。』
19時ちょうど…淡々としたアナウンスで緊急集会は始まった…おそらく白百合の会の幹部…もしくはトップなのだろう…一瞬で空気が変わったのが伝わってきた…
薄暗いホール状の大会議室の中央に1人の影が見えた…
顔も見えないただのシルエットがそこにはあった…
『皆さま、お集まりいただきありがとうございます。』
『今回、皆さまに集まっていただいたのは数日前、我が会員の徽章を紛失したという連絡があり急遽開催する運びとなりました。』
『うそ…』
思わず言葉が出てしまっていた…
白雪姫先輩から聞いた徽章の話…
『徽章は絶対に無くしちゃダメよ!』
『…再発行出来ないんですか?』
『もし無くしてしまったのが組織に見つかると重い罰に処せられるの。過去に私が会議で決定したのが「両親の解雇。」「海外転勤」「両親の不倫が原因で離婚」って言うのがあったわ。』
『そんな事どうやって…』
『それを意図的に出来る人物が白百合の会には居るって事よ。』
『だから絶対に無くしてはダメよ。良いわね。』
私は自分の徽章があるか確認して強く握りしめていた…
『今回の彼女の処分ですが、父親を横領で…
『申し訳ありません…』
突然女性の声が入り黒い影が現れた…
『申し訳ありません、ただいま連絡があり…
ー数分前…精蓮学園防音室…真冬は目の前の少女から背を向け電話の向こうの異様さに恐怖を感じていた…
『はい、こちら警察本部です。』
『(名乗らないのは白百合の会の連絡方法の一つになっているからか…)』
『き…徽章…ありまし…た…うぅ…せ…制服の…ポケ…ポケットに…穴が…穴が空いてて…中に.うゎ〜あぁ……』
『そうか、了解した。ではこちらの番号に徽章を肩に付けた画像を送るように。処分は後ほど報告する。』
ガチャッ…
『(証拠写真か…泣いてる事は伝わってる筈だが…
電話では信用出来ないって事か…
確かに肩に徽章を付ける奴なんて居ないからな…)』
そういう事には慣れているんだろう…
対応は事務的で…それだけだった…
その後、警察本部から精蓮病院へ連絡が行き担当者は慌てて大会議室へ向かったのだった…
『失礼致しました。』
『先程彼女から連絡があり、事情を考慮した結果、彼女の処分は軽くなり転校となりました事をお伝え申し上げます。』
私はその言葉に全身の力が抜けて深く安堵していたのに徽章を握り締めた右手は強くなっていた…




