託されたもの
今日、私たちの憧れは旅立ってしまう…
白雪姫先輩に見せられる最後の姿…褒めてくれるかな…?
『送辞、在校生代表、九条麗奈。』
『はい!』
『まだ冷たい風の中、春の訪れを感じつつ、私は離したくないと思うこの手を先輩方の背中に当て、そっと押す役目をいただきました…
ー卒業式が辛いなんて初めてだ…
ー生徒会室
コンコンッ
『まだ居てくれてるかしら?』
『白雪姫…』
『もう会えないと思ってたよ〜』
顔を涙で濡らしながら抱きつく麗奈…
『あらあら、私の為に泣いてくれてたのね。』
『ご卒業、おめでとうございます。』
『ありがと、真冬。』
『やだよ〜…卒業しないで〜』
『私だってもっとここに居たいけど、もう、あなたと一緒には居てあげられないの。ゆるして?』
『うぅ…』
私は涙で言葉が出なく、白雪姫先輩の胸に顔を埋めて抱きつくしか出来なかった…そうすると、少し落ち着いた気がした。
『ふふっ、送辞の時のかっこいい麗奈ちゃんはどこに行ったのかしら?』
『先輩、やっと泣きましたね…』
『こっそり泣いてたのよ?皆んな私を泣かそうとしてくるんだもの。』
『それに…ここじゃないと私はちゃんと泣けないわ。』
『ここに居る時だけは白雪姫って感じしなかったですもんね。』
『弱音も聞かれちゃったものね。』
『麗奈、今日、私はあなたに渡したいものがあるの。これからちょっと付き合ってくれる?』
『渡したいもの?』
『真冬とはここでお別れね…』
『はい…』
『(白百合の会か…)』
ー真冬と別れを告げ、着いたのは普通のマンション…
エレベーターに乗ると先輩はいろんな階をデタラメに押して着いたのはあるはずのない冷たい空気が流れる地下だった…
誰もいない音もしない、真っ暗な空間。
『あなたはここで待ってて。』
そこにある一つの黒い影。
言葉を交わすこともなく、ただバッジを返すだけの卒業式だった…
最後の別れ際、そっと白雪姫先輩が私に何かを握らせた…
『これはあなたに持っていて欲しいの。これはあなたの役にたてるかもしれない。でも、とても危険だから…あなたが使わない道を選べたなら…きっと…』
そう言って、今まで見た事のない真剣な表情をした私の憧れ、白雪美姫は振り返る事なく、私は小さくなる彼女をただ見送るしか出来なかった…




