白百合の蕾
私たちの会話を聞き終えて佐藤さんは何も言わずに去ろうとしていた…
『みずちゃん!』
『誰だよ…それ…』
ひよりちゃんが握る手が強くなるのを感じた…
『みずちゃんは、私の友達だよ…』
『あたしじゃない。』
『私を守るために来てくれたの?』
『こんな事で許したなんて言うなよ。』
きっとひよりちゃんはもうとっくに許してる…だからこそ私が言わなきゃ…
『許さないよ。許す訳ないじゃん。』
『友達を守る為だった?そんなの知らない。』
『でも…ひよりちゃんと逢えたのはあなたのおかげだから…ありがと…』
みずちゃんは私の手を見て言った。
『ひより、その手はずっと離すなよ。』
『うん。』
『私が絶対守るから安心して…みずちゃん。』
『うるせー。お前に言われる筋合いはねーよ。』
そう言って嬉しそうに去っていった…
『じゃあ私たちも帰りましょうか?』
『そうだな。』
そう言って白雪姫の手を握る真冬。
『真冬?』
『なんだ?』
何か違和感があるのに気づけない私にひよりちゃんが言った。
『真冬さん。そのくま白雪姫先輩とお揃いですか?』
『気づかれちゃったわね。このしろくま。真冬ちゃんにもらったのよ。』
『2人みたいにお揃いでつけて欲しいって顔を真っ赤にしながら…』
『シッそれは言わないで!』
『でもその手…』
『付き合ってるんだから当たり前だろ?』
『えっ?』
私とひよりちゃんは一瞬意味がわからずに見合わせた。
『あら?知らなかったの?』
『えっ…だって、真冬は私の事が好きだったんじゃ…』
『もし私が麗奈の事が好きだったなら、今頃ひよりに嫉妬してるだろ?』
『麗奈はひよりの話ばっかり私にするからな。』
ひよりちゃんは赤くなって俯いた。
『ちょっと、言わないでよ!!』
そんな話をしながら私たちは家路に着くのだった…
そして次の週…
白雪姫先輩は、白百合の会を招集した。
『本日は白百合の会にご参加頂きありがとうございます。』
『まず初めに白百合の会が刷新され、新しい会長を決める必要があります。』
『わたくしと致しましては、今回、元ある姿に戻るきっかけになった中心人物である、九条麗奈さん。または、雨宮ひよりさんにお願いしたいと考えております。』
まだ自分がなる事に納得がいかない白雪姫先輩。
そんな先輩の背中を押す様に私は言った。
『と、白雪姫先輩がゴネている訳ですが…』
『私は白雪姫先輩なら正しい道に導いてくれると信じています。』
『白雪姫先輩が新会長にふさわしいと思う方は拍手をお願いします。』
その瞬間、会場が揺れるほど大きな拍手が湧き上がった…
『決定。ですね。』
『はぁ…』
白雪姫先輩は観念したかのように…そして、少し嬉しそうにため息を吐いた。
『不束者ですが、よろしくお願い致します。』
『では、今後の運用方法等、色々決めたい事ばかりですが、まず、先日のグロリオサの会の制裁についてお話しさせて頂きます。』
『前会長、グロリオサの組織の中心人物の犯罪的行為は絶対に許す事は出来ません。このまま警察に連行する事も考えましたが、白百合の会が明るみに出る訳にもいきませんので、白百合の会からの永久追放、そして、敵対行為等、白百合の会について一切関わらないよう通告致します。』
『そして、もしそれを破れば、法的手段に出る事をお忘れなく。』
『次に、幹部の方々についてお話します。刷新された白百合の会に相応しく、お咎めなしとさせて頂きます。』
会場にざわめきが起こる。
『お咎めなしと言っても、やって頂く事はあります。』
『これまでグロリオサの組織が原因で悲しい想いをしてきた方々への救済、元々のあるべき姿へ戻して頂きます。白百合の徽章を奪われた方々や白百合の会に関わった方々も全てです。』
『いじめの標的となった方々をこの白百合の会へ招き入れてください。』
『そして、その陰で動いて頂く組織を立ち上げます。』
『まだ悩んでいて咲く事のできない人を救う組織の名は「蕾」です。』
『以上とします。』
『意見のある方は気軽におっしゃってください。』
会場からは意見が飛び交った。
『そんなんじゃ被害にあった人は報われないです。』
『いじめをしてた人と一緒になんて怖いです。』
『白百合の会は…』
一斉にひよりちゃんに注目が集まる。
『白百合の会は罰なんて与えちゃダメなんです。』
白雪姫会長が続ける。
『厳し過ぎれば何も変わらない。』
『許し、助け合い、共に歩く事こそがわたくしたちが望んだ本当の白百合の会でしょう?』
その言葉に誰も反対する人は居なかった…
『では、これで決定とさせていただきます。』
『はい!!』
『麗奈さん。なんですか?』
『相談があります。』




