白百合とグロリオサ
そして…その日がやってきた…
協力者のおかげでひよりちゃんも会場に入れる事が出来た…
『ひよりちゃんは私が守るからね。』
『うん。私も、麗奈ちゃんを守るよ。』
ーーでは時間となりましたので、始めさせて頂きます。
『今回のお集まり頂いたのは白百合の会にある脅迫状が届いた事についてです。
内容を説明させて頂きます。』
【白百合の会に裏切り者がいる。】
【何者かが徽章の無い者を出入りさせてる疑いがあるため、今日、会場内で徽章の提示をお願いします。】
『と、言うことで今から抜き打ちで白百合の会の徽章の提示をお願い致します。』
そう言うと順番に壇上へ上がりスクリーンに徽章を映していく…
そして私、ひよりちゃん、白雪姫先輩の順で並んだ…
私は自分の白百合の徽章を写すと立ち止まった。
『皆さん…この徽章をご存じですか?』
ひよりちゃんが私の徽章を写す。
グロリオサの徽章が映った瞬間…スクリーンの画像が消えた。
『すみません、機材のトラブルです。少々お待ちください。』
会場がざわめく中駆け寄る人影…
『今です。』
白雪姫の号令と共に次々と取り押さえられた。
『機材トラブル?でしたらこれで如何ですか?』
そう言って小型プロジェクターでスクリーンにグロリオサの徽章を映し出した。
『消せ!!』
叫び声が響く。
『黙りなさい。』
『わたくしたちはこの組織を壊す為に来ました。』
『そして、本来の白百合の会に戻します。』
静まる会場に不敵な笑い声が響く…
『フフフフ……』
『やってみなさい…そんな徽章…誰も知りませんよ…』
『皆さん、私たちは何のためにここに居るんでしょうか?』
『もし、この徽章を持っている方が居たら回収させてください。』
静まり返る会場…
誰一人私たちの言葉には耳を貸してはくれなかった…
『こんな…こんな、人を不幸にするだけで良いんですか?』
『私たちは好きな人や友達の為に悩んで、聞いて欲しくてここに居るはずです…』
ひよりの言葉は誰にも届かずに、会場は静かなままだった…
『麗奈ちゃん…』
『ひよりちゃん、大丈夫。大丈夫だから続けて…』
『どうして誰も動こうとしないのですか?
皆さんもこんなの間違ってるってわかってるはずです。』
『変えたい。変わってほしいって言ってくれた白百合の会の皆さんの署名だってこんなにあるんです。』
『なんで誰も…なんで……』
それでも変わらない状況に私たちが諦めかけたその時…後ろから近づく気配があった…
『ひより、変われ。そんなんじゃ誰も動かない。』
そこに居たのは…
『佐藤さん…どうしてここに……』
バン!!
映し出された手が離れ、そこにあったのはグロリオサの徽章だった。
『みんな、聞け。』
『あたしはダチを捨ててここに来た。』
『今あんたらが持ってるこの徽章がどれだけ重いものかはあたしがいちばん知ってる。』
『だからこそ聞いてくれ!』
『このままで良いのか?』
佐藤さんはひよりから目を背けて躊躇うように言った…
『あたしはダチ2人を守るために、そこに居るあたしの……』
『あたしの幼稚園の頃の大切な友達を捨てた。』
私たちは何を言っているか分からなかった…
『ずっと一人で泣いてたあたしに、この折り紙を折ってくれた…初めて出来た優しい友達に…ずっと酷いいじめをして泣かせてたんだ…』
そう言って生徒手帳に挟んであった色褪せたチューリップの折り紙をスクリーンに映した…
それはひよりが幼稚園の頃1番仲が良かったみずちゃんに友達になろうと言ってあげたものだった…
『みず…ちゃん…』
『誰かの為に…誰かを守るためにお前らか戦ってるのはわかる。』
『でも、それで誰かを傷つけちゃ意味がねーんだよ!!』
『お前らが守ってる奴らは、そんなの望んで無いって気付けよ!!』
『そこに居る奴は…自分の立場を捨ててあの子をあたしのいじめから救ってくれた人だ…』
『どうか…信じてやってくれないか?』
『あたしにいじめられて泣く事しか出来なかったあの子の…ひよりの願いを叶えつやってほしい…』
『お願いします。』
そう言って頭を下げる佐藤さん。
『麗奈ちゃん、白雪姫先輩…』
私は麗奈ちゃんからもらったグロリオサの徽章をスクリーンに映るように置き、白雪姫先輩も同じ様においた…
『お願いします。』
『麗奈ちゃんを信じてください。』
『お願い致します。』
私にはその沈黙が長く続いた気がした…
やがて、足跡が聞こえスクリーンにグロリオサの徽章がまた映された。
『私だって…もう限界…ずっと嫌だった…』
それを皮切りに一人、また一人とスクリーンに写される徽章は増えていった…
足音が途絶えた頃ステージ横に居た人物が姿を現した…
『もう居ないかしら?』
現れたのは桜台高校の校長先生だった…
『じゃあ、これで最後ね。』
そう言って徽章を置いた。
『では、皆さんにお聞きします。』
『白百合の会の会長の辞任に反対する方はおられますか?挙手をお願いします。』
手を上げたのは数名だった…
『では、白百合の会、会長とグロリオサの解散を決定させて頂きます。』
『そして…』
白雪姫先輩は優しく頷く桜台高校の校長先生の顔を見ると続けた…
『グロリオサの組織幹部の方々には後ほど開かれる白百合の会の議題にて制裁を決定致しますので、それまでお待ちください。また、誰一人逃しませんので必ずご参加お願い致します。』
『では、これにて終了させていただきます。』
白雪姫先輩はそう締め括ると退席を促した…
そして、会場に誰も居なくなったあと、私たちはやっと緊張から解放されたのだった…
『あとは制裁をどうするかと、白百合の会の会長を決めるだけね。』
そんな白雪姫先輩をみて私たちはお互いを見合わせていた…
『そんなの…』
『ねぇ…ひよりちゃん、』
『うん。』
私たちの会長はもう決まっていた…




