麗奈の秘密
あれから数日後…
私の編入試験の合格が決まった…
それを真冬にいちばんに知って欲しくて…真冬の待つ保健室に入った。
『真冬。やっと見つけた。』
『やっと満点で合格したよ。』
嬉しくてつい真冬に抱きついていた。
『見て。』
『麗奈まて!!』
気づいたのに…私の言葉は止まってはくれなかった…
『編入試験合格…通…ち…』
『編入…試験?』
私は頭が真っ白になった…
『何でひよりちゃんが…今日はお昼で帰ったって…』
『課題忘れちゃったの思い出して…』
『そんな事より編入試験って何?』
『あっ…えっと…』
『麗奈、もう言い訳は無理だ…』
『話すしかない。』
『でも…』
『私は…知りたいな…』
私はためらったがひよりちゃんのお願いには逆らいたく無かった…
『うん…わかった…』
全部隠すつもりだったのに気付かれてしまった…
浮かれてしまった私のミスだ、
『実はね…』
私はひよりちゃんに全て話した…
生徒会長は継承じゃなくて譲渡した事、
私はそのせいで退学になった事、
ひよりが特例で編入し生徒会長になる代わりに私が編入試験の満点を取る事で編入の許可が降りる事。
違う方法もあった…
でも私は、この方法に賭けた。
『なんで…そんな事…』
『麗奈ちゃんがそこまでするってわかってたら私が編入すればもっと簡単に…』
『それじゃダメなの。』
『それじゃ、ひよりちゃんを生徒会長に出来ないの。』
『私はそんなの…』
『ひよりちゃんが生徒会長にならなかったら意味がないの。』
『これは…私のわがままだから…』
『だから見て。』
私はひよりちゃんに合格通知を見せつけた。
『ほんとだ…全部満点…凄いね!』
ひよりちゃんは笑ってくれた。
翌日の放課後、定期生徒会集会が前倒しで開かれた。
『本日はご存じの方も居ると思いますが新しくこの学園の生徒になった編入生のご紹介させていただきます。』
『壇上へどうぞ。』
私たちは壇上へあがると2種類のざわめきがあった…
一つは歓迎する声
もう一つは忌避する声…
『麗奈ちゃん…私…』
『大丈夫。私が居るから。』
真冬が私たちを紹介した。
『再編入した九条麗奈さんと、桜台高校を退学後、我が校へ編入した雨宮ひよりさんです。』
私たちは一緒にお辞儀をした…
『よろしくお願いします。』
『よろしくお願いします。』
『では、続いて、生徒会長就任式を致しますので、九条麗奈さんはお戻りください。』
『はい。』
『ひよりちゃん、頑張ってね。』
『うん。』
ひよりちゃんにエールを送ると私は席に戻った。
そして、それは誰のものだったかひよりは感じてしまった…
『生徒会長の挨拶。』
『はっ…初めまして…私が新しく生徒会長になった、雨宮ひよりです。』
私は麗奈ちゃんがそばから居なくなって不安になり、いつものように少し俯いてしまうと…
『ひよりちゃん頑張ってー!』
『何あの子、顔赤くしてめっちゃ可愛いくない?』
会場からは歓迎と励ましの声が溢れた。
そしてひよりは知ってしまった。
『(さっきの酷い言葉ってまさか…麗奈ちゃんに言ったの…?)』
『よろしくお願いします…』
悪意に気づいてしまったひよりはそう言うのがやっとだった。
今日、麗奈ちゃんと一緒に作った就任の挨拶は一行も読むことが出来ずに悔しさだけが残った…
そして放課後、私は麗奈ちゃんと真冬さんが待つ校門へ向かった…
ーーので、お願いします。』
『麗奈さんの頼みだからね…』
『シッ』
麗奈ちゃんたちの話し声が聞こえた。
『麗奈ちゃん、真冬さんお待た…』
一瞬嫌なものが見えた。気がした…
『ひよりちゃん!』
『は…早かったね。』
『あっ生徒会長。やっぱり可愛いね。噂になってるよ。』
そこには2人の他に3年生も数人居た。
『あ…ありがとうございます…』
何か違和感と身に覚えがある感覚…
私はすぐにその場を離れたくて2人の手を引いて居た…
『す、すみません、急ぎの用があるのでし、失礼します。』
私は聞けなかった…
でもあれは間違いなく私が今まで苦しんできたものだった…




