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小さな抵抗と優しい嘘

帰り道…


『みんなびっくりしてたね。』


『うん…私も…白雪姫先輩に会えるなんて思ってなかったから…』


『実はね、白雪姫先輩にひよりちゃんの事話したの昨日なんだ。』

『ずっと連絡出来なかったんだけど、突然連絡が来て…その時ひよりちゃんの事話したら…ひよりちゃんも私の妹にするって!』


『妹に?』


『内緒なんだけど、実は先輩ね、お姉ちゃんって呼ばれるの好きみたいなんだ。』


『そうなんだ…でも私なんかが妹なんて…』


『多分白雪姫先輩もひよりちゃんを守ってあげたいって思ったんだと思うよ。』

『…優しい人だからね。』


『うん…』



『あっ…。』



何かに気づいて急に腕にしがみついて俯くひよりちゃん…


『どうしたの?』



『佐藤さんたちが…』



私たちが向かう先にはあの3人が居た…


『その校章が守ってくれるからもう大丈夫だよ。』


『でも…』


『ひよりちゃんはこれから私たち精蓮学園の憧れの人になるんだよ。』

『だからあの3人も…うぅん…他の人だってひよりちゃんには簡単に手は出せない。』


『それでも、私は…』


『じゃあ、周りに人もいっぱい居るし…これならどう?』


麗奈はひよりに耳打ちした。


『私、そんなのーー

『シッ』



そう言って3人の前を横切る瞬間。

麗奈は小声で合図した。


『いくよ。せーのっ!』


私たちは小さく舌をだして…



『「ベー」』



同時に走り出した。



しばらく走ったが、2人の後ろにあったはずの影はもう見えなくなっていた…



麗奈とひよりは見合わせると…


『ふっ…』

『ふふっ』



あの日の笑顔がそこにはあった…



『見た?』


『うん。見た!びっくりしてたね。』

『すごく怖かったけど…ありがとね。』




そうして2人はひよりの家に到着した…


『私、ひよりちゃんのお母さんに伝えないといけない事があるんだ…』


『うん…』


ひよりは、玄関のドアを開けた。


『お母さん、ただいま!いまちょっと良い?』


奥から母親の声が聞こえる。


『おかえり。どうかしたの?』


そう言って奥から出てきた。


ひよりちゃんのお母さんと目が合った…


『こんにちは、本日は、昨日お渡しした書類の事でお伺い致しました…』


『あら…このあいだの…』


そう言って2人の制服を見る。


『実は…』


『まず上がって。ここでは話せないでしょ。』


『ひより、私お飲み物用意するから中へ通してあげて。』


『うん。どうぞ。』


『お邪魔します。』


そう言って母親は奥へ向かった…



『麗奈ちゃん、こっち。』


そして、麗奈は客室へ通され怒鳴られる事を覚悟しながら机に新たな書類を用意した…


『お待たせ。』


そう言って、飲み物を配り終えると母親は私たちの前に座った。


『この度は桜台高校の退学届にご承諾頂きありがとうございます。』


『本来なら理事長にご説明して頂くのですが、訳あって、私、九条麗奈がご説明させていただきます。』


その間、ひよりちゃんとひよりちゃんの母親は麗奈の話を静かに聞いてくれた。


『経緯はひよりさんの為にもお話は出来ないので…本題ですが…』


『雨宮ひよりさんに精蓮学園へ編入して頂きたく参りました。』


そう言って机に置かれた封筒から精蓮学園の入学案内の一式を取り出した。


『編入?』

『と言う事は試験を受けるのよね。』


『そちらに関しては一切必要ありません。』

『ですが、ただ一つ、条件がございます。』


『条件?』


『はい。』

『ひよりちゃんには精蓮学園の生徒会長となって頂きます。』

『そのための書類がこちらです。』


そう言って、麗奈の承諾印の押された

【精蓮学園、生徒会長譲渡承諾書】を差し出した


『(気付かれる前に進めなきゃ…)』

『生徒会長の権限を持って、私から生徒会長を引き継ぐ事でひよりちゃんは精蓮学園へ入学可能となるのです。昨日は驚かせてしまい申し訳ありませんでした…』


『内容はわかったわ。でも、何故あなたたちの制服が入れ替わっているの?』

『それに何で昨日泥だらけで帰ってきたの?何か関係あるのよね?』


『(泥だらけ?そんなの)』


『あれは…私がいじ…

『ひよりちゃん。私から説明するから。』


ひよりちゃんの言葉を遮って続ける

『今ひよりちゃんが着てるこの制服ですが、生徒会長のみが着る事が出来る特注なんです。生徒会長は胸の校章が金なんですよ。』


『それが今日の式に間に合わなくて急遽私の制服を着てもらったんです。』

『その帰り道、途中まで一緒だったのですが、その時私が水溜まりに落ちるところをひよりちゃんが庇ってくれて…』


『えっ…』


驚いた表情て麗奈を見るひより…

その姿をひよりの母は見逃さなかった…


『でもあの時泣いて…

『私を助けてくれたんです!!』


声を荒げて明らかに嘘だとわかるが母親は何も言い返さなかった…


そして一つ問いただした。

『あなたはひよりにとって何?』


『それは…

『お母さん、私の友達に失礼だよ!』

『麗奈ちゃんは私のいちばんの友達なんだよ。』

ひよりは少し赤くなり、そう答えた。


『ひよりちゃん…』


『ごめんなさい、私がいじわるだったわ。』


『それと、もう一つ…制服の事なんですが…』


『この制服…私に頂けませんか?』


『何言ってるの?それはあなたの制服じゃない。』


『お母さんこそ何言ってるの?』


やっぱり…気づいてたみたいだ…


『バレてましたか…』


『洗濯した時にね。』


ひよりに制服の裏側の刺繍をみせる。


【雨宮ひより】

【九条麗奈】


『書いちゃった…』


そして麗奈はひよりに内側の刺繍も見るように促した。


【九条麗奈】

【雨宮ひより】


私は驚きと喜びでニヤけそうになった…


『では、月曜日からひよりさんは正式な手続きが終わるまでは保健室登校となりますが、よろしくお願い致します。』


『こちらこそ、ひよりの事…よろしくね。』


『では、失礼します。』


それから麗奈は少しの間会えない事は伝えないままその場を後にした…




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