生徒会長
ー転校式
隣で緊張しているひよりちゃんの手を握りながら私は最前列の席に居た。
司会を務める真冬、
壇上には精蓮学園理事長が居た…
『転校生、白崎結菜。』
『はい。』
結菜ちゃんが桜台高校生の座る席から壇上へ上がる…
そして、転校任命書を受け取り、私たち精蓮学園の生徒が座る席に戻ってきた…
それを見送ったあと、理事長も自分の席へ戻った…
『続きまして、精蓮学園生徒会長。』
『九条麗奈さん、壇上へ。』
『はい!』
『呼ばれたよ。ひよりちゃん。』
『えっ…私、呼ばせてないよ。』
『早く!ひよりちゃんも呼ばれたんだから。』
そう言って麗奈はひよりの手を引き無理矢理壇上へ向かった…
会場が一気にざわめいた
演台の前に立つと2人は一礼した。
『ひよりちゃんはそこに居て。』
小声でそう言って回り込み演台の向かいに立つ麗奈。
『雨宮ひよりさん。』
『今日あなたはこの桜台高校を退学することになりました。』
『そこに至る理由として、今あなたが着ている、その、「生徒会長のみ」が着ることの許された制服にあります。』
『すごく…』
麗奈はひよりの制服姿を眺めるように続ける。
そして優しい口調で続けた。
『すごく、似合っていますよ。』
それはあの日、麗奈が言った言葉の本当の意味を示していた…
予想外の言葉にやっと静かになった会場にまたざわめきが聞こえ始めた。
そのざわめきを静寂に変えるように麗奈が続ける。
『今日、あなたには…これを受け取って頂きます。』
麗奈は内ポケットから白い封筒を取り出した。
そして、誰も聞き間違える事のないようにはっきりと告げた。
『本日をもって、わたくし、九条麗奈は精蓮学園の生徒会長を辞任致します。』
『そして、雨宮ひよりさん。』
『あなたを、精蓮学園、生徒会長に任命致します。』
会場がどよめきで埋め尽くされた。
『まてよ。なんであいつが…』
『精蓮学園の生徒でもない奴がなんでだよ!』
罵声もあった…
『うるさい!!』
私は怒鳴り声をあげていた…
祝福されない事はわかっていた。
だからこそここで任命したかった。
ひよりは小さい声で言った。
『そんなの…受け取れません…』
麗奈はひよりの横に移動した
『そう言うってわかってた。だから私が居るんだよ。』
そう言って彼女の手を取り優しく生徒手帳を渡した。
一拍置いて真冬が次に移行する
『続いて、生徒会長の挨拶。』
麗奈はひよりの手を握って演台に並んで立った。
そして、ポケットから紙を取り出すとひよりに読むように合図した。
『初めまして…たっ、たった今精蓮学園の生徒会長を引き継がせて頂きました、雨宮ひよりです。』
ゆっくりと、指でなぞりながら…
『私の就任に意義のある方は多いでしょう。』
『ですが、私を選んだのは元生徒会長の九条麗奈、そして、』
ひよりは予想外な文章に言葉が詰まってしまった…
『ひよりちゃん、頑張って。』
『うん…』
涙を堪えて続けるひより…
『そして、卒業された…白雪美姫、元生徒会長も私の就任を認めて頂いております。』
『至らぬところもありますが、よろしくお願い申しあげます。』
そしてひよりと麗奈は深く頭を下げた…
会場がまたざわめく…
『そんな嘘だれが信じるんだよ。』
『そうだ、もう居ない奴の名前までだして…そこまでして…』
コツッ………コツッ………
会場に響く革靴の音…
舞台袖からその場を制する人物が現れた。
『わたくしの公認では不服かしら?』
会場が凍りついたように音が消えた。
『白雪姫…』
『ひよりちゃんに会いたいって来てくれたんだよ…』
そして
『わたくしが雨宮ひよりさんは生徒会長にふさわしいと判断致しました。それでも意義のある方がいらっしゃるならわたくしがお聞き致します。』
美姫は周りを見渡したが誰も声を上げるものは居なかった…
『いらっしゃらないようですね。』
真冬に合図をする…
『では、これで、転校式、生徒会長任命式を終了致します。』
式は無事に終わり、
その後、私はひよりちゃんの家へと向かった…




