離れた机と繋がる想い
私は憂鬱な気持ちで学校へ向かった…
そして、くまのストラップを握りしめ教室に入る。
『佐藤さん、真冬、おはよう。』
今日のペア授業は一日遅れた私たちだけ…
ひよりちゃんの席にくっつけられたままの私の机…
私は机を窓際いっぱいまで離して胸ポケットにくまのストラップを覗かせるようにしまい、窓の外を眺めるように座った…
教室が少しざわついたが、『やっぱりね』と言う声が聞こえ、誰も気にはしていなかった…
ひよりちゃんの視線に気づくと、胸にしまったくまのストラップを優しく撫でて私は気づいてもらえるように祈るしか無かった…
授業中はまだマシだった…
昨日まで書き続けたノートを読み返すだけで気持ちを落ち着かせる事ができた…
そして昼休み…くまのストラップを握りしめながらお弁当を持ってひよりちゃんの前を横切った…
『佐藤さん、真冬、一緒に食べよ!』
少し驚いたような顔をする佐藤さん。
『あたしは良いけど…良いの?あいつ1人で』
佐藤さんはひよりちゃんを指差して言った
『えっ?あいつって?』
くまを握る手が強くなる…
『バレたらまずいんじゃない?』
『大丈夫だよ。今日で最後だし。』
『バレそうになったら、ご飯食べようとしたらあいつがどっかいって帰って来なかったって言えば良いし。』
『佐藤さん、麗奈も我慢してたんだよ…』
そう言って私たちは教室を離れた…
今日のお昼はすごく長く感じた、ほとんどひよりちゃんの悪口で…早くチャイムが鳴って欲しいとずっと思っていた…
お弁当を食べ終えた私たち。
教室に戻る最中に真冬が口を開いた。
『麗奈、明日の最後の対抗戦気をつけろよ?』
『あぁ、制服の事?』
『何かあったの?』
麗奈は制服の校章を指差した。
『佐藤さんも気づいてると思うけど、私の制服特別でしょ?だからあいつずっと私の制服狙ってるみたいで…』
『着たいって事?』
『多分…』
『着たいなら着たら良いけど、下手したら退学だよ?あいつがどうなろうと良いけど、入れ替えられたら私あいつの制服着なきゃいけなくなるから多分キレるかも…』
『まぁ、そうなっても精蓮学園のみんなも多分切れてるからな…大変なんだよ…私たちも…』
私は真冬と顔を見合わせた。
教室に戻るとひよりちゃんの姿はなかった…
『あれ?あいつは?』
私は思わず聞いてしまっていた…
『あいつ多分トイレじゃない?』
『どこかわからないけどいつも昼はトイレで食べてるらしいってあたしの友達が言ってた。』
私は頭が真っ白になった…
『(私のせいで…お昼くらい一緒に食べられたはずなのに…)』
『麗奈。』
真冬の声で我に帰った…
そして後ろをひよりちゃんが通り過ぎて席に戻った…
『麗奈、もうチャイムがなるぞ。』
『あっ…うん…』
私は生徒手帳を取り出してメモを書いて破った。
そして、席に戻る瞬間、ひよりちゃんの机に折り曲げたそれを落とした。
その後席に座って胸ポケットのくまを撫でる事で落ち着きを取り戻そうとしていた…
隣でそのメモを読むひより…
【ひよりちゃんは1人じゃないよ】
ひよりはそれを大切そうに胸ポケットにある自分の生徒手帳の中にしまった…




